○奈良国立博物館 『第67回正倉院展』(2015年10月24日~11月9日)
恒例の正倉院展。土曜日は「馬頭観音3か寺と金剛院をめぐる」バスツアーに参加し、東舞鶴→京都→奈良へ移動して落宿。日曜の朝に備える。近年は、8時過ぎに行くと「開館と同時」に入れないことが多かったので、気合を入れて、朝7時に近鉄奈良駅を出発した。博物館に到着すると、さすがにまだ20人くらいしか並んでいなかった(代表者が並んでいるグループもあったので、開館前にはもう少し増えた)。その後、7時50分頃まで人が増えなかったのに、8時前後から急に人が多くなって、列は二重に折り返し、またたく間に三重になった。
開館予定時間の9時より5分ほど早く、列が動き出す。2時間待ったおかげで、まだ人影がまばらな会場内に入れた。『紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)』に直行し、展示ケースに張り付く。ルイ・ヴィトン柄とはよく言ったものだ。基本はパターン柄なのだが、細くなった鶴首(つるくび)や糸を締める海老尾(えびお)の部分の模様の処理がまた繊細で素晴らしい。前回出陳は1998年だというから、私は初めて見るかもしれない。実は、2009年(第61回)にも『紫檀木画槽琵琶』が出ているのだが、私はオモテ面のに気を取られて、裏面の木画については何も記録を残していない。画像を見ると別物らしいが、今年と同じ倉番「南倉101」がついている?
結局、宮内庁の「正倉院宝物検索」を見て、自己解決した(このデータベースすばらしい!)。倉番「南倉101」を割り当てられている琵琶は4件あって、同じ『紫檀木画槽琵琶』で呼ばれるものが「第2号」と「第3号」である。2009年の琵琶は「第2号」、今年の琵琶は「第3号」だった。今年は『彫石横笛(ちょうせきのおうてき)』と『彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)』という管楽器も出ている。素材は蛇紋岩。表面の彫刻も細密で、演奏しにくくないのかなあ、と不思議だった。会場内に、実際に一音ずつ演奏してみた音源が流れており、尺八は意外と高い音だった。
まだ会場内が混んでこないので、はじめに戻り、『平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)』を見る。正倉院の螺鈿の鏡としては、やや小型な感じがする。『山水花虫背円鏡(さんすいかちゅうはいのえんきょう)』は峻厳な山岳が東西南北にそびえており、丸に十字の文様に見えて面白かった。唐からの舶載品。だいたい開館から20分くらいは、会場内を自由に動けて気持ちよかった。2時間並ぶだけの甲斐はある!
後半で印象的だったのは花氈(かせん)すなわちフェルトの敷物。青や藍で草花文を染めた長方形の敷物が2件。さらに八稜型のもの(褥心氈/じょくしんのせん)もあった。裸足で乗ったら気持ちよさそう。
文書資料では、事務文書の上に自作の七夕の詩を繰り返し習書したものが面白かった。関連して、七夕(乞巧奠)の儀式に用いられたと思われる銀針(大きい!)や糸玉。ここに『紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)』も。中国・唐代には、旧暦2月に皇帝が臣下に一尺のものさしを下賜する習慣があったそうだ。昼夜の時間が等しくなることにちなむのだという。
そのあと、奈良博の仏像館が休館中(平成28年春リニューアルオープン)で、仏像不足を感じたため、興福寺の国宝館に寄った。この日は、十大弟子像に心惹かれた。
※11/3補記。琵琶の首は鶴首(つるくび、かくしゅ)とも鹿首(しかくび、かのくび)とも言うらしい。正倉院展図録では「鹿頸(ししくび)」。難しい。
恒例の正倉院展。土曜日は「馬頭観音3か寺と金剛院をめぐる」バスツアーに参加し、東舞鶴→京都→奈良へ移動して落宿。日曜の朝に備える。近年は、8時過ぎに行くと「開館と同時」に入れないことが多かったので、気合を入れて、朝7時に近鉄奈良駅を出発した。博物館に到着すると、さすがにまだ20人くらいしか並んでいなかった(代表者が並んでいるグループもあったので、開館前にはもう少し増えた)。その後、7時50分頃まで人が増えなかったのに、8時前後から急に人が多くなって、列は二重に折り返し、またたく間に三重になった。
開館予定時間の9時より5分ほど早く、列が動き出す。2時間待ったおかげで、まだ人影がまばらな会場内に入れた。『紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)』に直行し、展示ケースに張り付く。ルイ・ヴィトン柄とはよく言ったものだ。基本はパターン柄なのだが、細くなった鶴首(つるくび)や糸を締める海老尾(えびお)の部分の模様の処理がまた繊細で素晴らしい。前回出陳は1998年だというから、私は初めて見るかもしれない。実は、2009年(第61回)にも『紫檀木画槽琵琶』が出ているのだが、私はオモテ面のに気を取られて、裏面の木画については何も記録を残していない。画像を見ると別物らしいが、今年と同じ倉番「南倉101」がついている?
結局、宮内庁の「正倉院宝物検索」を見て、自己解決した(このデータベースすばらしい!)。倉番「南倉101」を割り当てられている琵琶は4件あって、同じ『紫檀木画槽琵琶』で呼ばれるものが「第2号」と「第3号」である。2009年の琵琶は「第2号」、今年の琵琶は「第3号」だった。今年は『彫石横笛(ちょうせきのおうてき)』と『彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)』という管楽器も出ている。素材は蛇紋岩。表面の彫刻も細密で、演奏しにくくないのかなあ、と不思議だった。会場内に、実際に一音ずつ演奏してみた音源が流れており、尺八は意外と高い音だった。
まだ会場内が混んでこないので、はじめに戻り、『平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)』を見る。正倉院の螺鈿の鏡としては、やや小型な感じがする。『山水花虫背円鏡(さんすいかちゅうはいのえんきょう)』は峻厳な山岳が東西南北にそびえており、丸に十字の文様に見えて面白かった。唐からの舶載品。だいたい開館から20分くらいは、会場内を自由に動けて気持ちよかった。2時間並ぶだけの甲斐はある!
後半で印象的だったのは花氈(かせん)すなわちフェルトの敷物。青や藍で草花文を染めた長方形の敷物が2件。さらに八稜型のもの(褥心氈/じょくしんのせん)もあった。裸足で乗ったら気持ちよさそう。
文書資料では、事務文書の上に自作の七夕の詩を繰り返し習書したものが面白かった。関連して、七夕(乞巧奠)の儀式に用いられたと思われる銀針(大きい!)や糸玉。ここに『紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)』も。中国・唐代には、旧暦2月に皇帝が臣下に一尺のものさしを下賜する習慣があったそうだ。昼夜の時間が等しくなることにちなむのだという。
そのあと、奈良博の仏像館が休館中(平成28年春リニューアルオープン)で、仏像不足を感じたため、興福寺の国宝館に寄った。この日は、十大弟子像に心惹かれた。
※11/3補記。琵琶の首は鶴首(つるくび、かくしゅ)とも鹿首(しかくび、かのくび)とも言うらしい。正倉院展図録では「鹿頸(ししくび)」。難しい。