○グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル イベントラボ 『[世界を変えた書物]展-人類の知性を辿る旅』(2015年11月6日~11月23日)
三連休旅行に出かける直前に、この展覧会の噂を聞いて、見に行こうと決めた。金沢工業大学ライブラリーセンターが所蔵する「工学の曙文庫」から選りすぐりの稀覯書を展示公開する企画。「工学の曙文庫」とは、工学の観点から、科学的発見、技術的発明の原典初版を集めたもので、グーテンベルクによって印刷技術が発明された15世紀以降の書物2,000余冊のコレクションから、今回、約130冊が出品されていた。いくら稀覯書でも、書物の展覧会なんてお客が入るんだろうか?と思ったが、入場無料&写真撮影可というポリシーが受けてか、ずいぶんたくさんお客さんが入っていた。
会場デザインが面白くて、狭い入口をくぐると、第1室「知の壁」は、壁一面の書架に本物の書物(洋書)が並んでおり、その間に展示品が混じっている。写真は、オーヴィル・ライトの自筆署名がある米国航空協会競技認可証(1929年)。この部屋には、手稿や書簡など「書物」の範疇に入らない資料も並んでいて面白かった。あと申し訳ないが、壁の洋書は、ツタヤ図書館みたいにダミーではないものの、百科事典とかブックス・イン・プリントとか、わりとどうでもいいもの(紛失しても困りそうにないもの)が多くて、ちょっと笑ってしまった。
第2室「知の森」の展示品は、1点ずつ独立ケースに入っている。ガラス&鏡の二重底になっていて、必ず表紙が見えるのはありがたかった。乳白色のヴェラム装が好き。「力・重さ」「光」「物質・元素」などテーマごとに5~6点の稀覯書が展示されている。
↓ヨハネス・ヘヴェリウス『天文機械上巻』(1673)
↓レギオモンタヌス『アルマゲスト(偉大なるプトレマイオス)』(1496)(解題)
↓ヨハネス・ケプラー『天文学の光学的部分を扱うウィテロへの補遺』(1604)(解題)
愛書家が目を輝かすような、いわゆる稀覯書だけでなく、年代的にはずっと新しいが、間違いなく後世に残る科学史上の発見・発明の記録、フレミングの『アオカビ培養基の抗菌作用』(1929)(ペニシリンの発見!)やワトソンとクリック『核酸の分子的構造』(1953)(二重らせん!)やアインシュタインの『一般相対性理論の基礎』(1916)もあった。「書物」に入るかどうかは微妙だが、アポロ11号の月着陸交信記録(1969)や合衆国戦略爆撃調査団による「広島、長崎に対する原子爆弾の効果」も。湯川秀樹の「素粒子の相互作用について」も「1935年,初版」とあったが、表紙を見たら「Proceedings of Physico-Mathematical Society of Japan」(数物学会誌)だった。この場合「初版」とは「最初に世に出たとき」(あるいは、後世に残すよう記録に留められたとき)くらいの意味なんだろう。
私は根っから文系人間だが、一時期は天文学に凝ったり、航空学に親しんだり、素粒子物理学を学ぼうかと考えたこともある。その移り気のおかげで、かなりの書物に懐かしさを感じて楽しめた。最近読んだ本でいうと、荒俣宏『サイエンス異人伝』を思い出した書物と著者が多かった。会場では、本展の監修者でもある金沢工大の竺覚暁(ちく かくぎょう)先生が熱心にギャラリートークをされている姿をお見かけした。
三連休旅行に出かける直前に、この展覧会の噂を聞いて、見に行こうと決めた。金沢工業大学ライブラリーセンターが所蔵する「工学の曙文庫」から選りすぐりの稀覯書を展示公開する企画。「工学の曙文庫」とは、工学の観点から、科学的発見、技術的発明の原典初版を集めたもので、グーテンベルクによって印刷技術が発明された15世紀以降の書物2,000余冊のコレクションから、今回、約130冊が出品されていた。いくら稀覯書でも、書物の展覧会なんてお客が入るんだろうか?と思ったが、入場無料&写真撮影可というポリシーが受けてか、ずいぶんたくさんお客さんが入っていた。
会場デザインが面白くて、狭い入口をくぐると、第1室「知の壁」は、壁一面の書架に本物の書物(洋書)が並んでおり、その間に展示品が混じっている。写真は、オーヴィル・ライトの自筆署名がある米国航空協会競技認可証(1929年)。この部屋には、手稿や書簡など「書物」の範疇に入らない資料も並んでいて面白かった。あと申し訳ないが、壁の洋書は、ツタヤ図書館みたいにダミーではないものの、百科事典とかブックス・イン・プリントとか、わりとどうでもいいもの(紛失しても困りそうにないもの)が多くて、ちょっと笑ってしまった。
第2室「知の森」の展示品は、1点ずつ独立ケースに入っている。ガラス&鏡の二重底になっていて、必ず表紙が見えるのはありがたかった。乳白色のヴェラム装が好き。「力・重さ」「光」「物質・元素」などテーマごとに5~6点の稀覯書が展示されている。
↓ヨハネス・ヘヴェリウス『天文機械上巻』(1673)
↓レギオモンタヌス『アルマゲスト(偉大なるプトレマイオス)』(1496)(解題)
↓ヨハネス・ケプラー『天文学の光学的部分を扱うウィテロへの補遺』(1604)(解題)
愛書家が目を輝かすような、いわゆる稀覯書だけでなく、年代的にはずっと新しいが、間違いなく後世に残る科学史上の発見・発明の記録、フレミングの『アオカビ培養基の抗菌作用』(1929)(ペニシリンの発見!)やワトソンとクリック『核酸の分子的構造』(1953)(二重らせん!)やアインシュタインの『一般相対性理論の基礎』(1916)もあった。「書物」に入るかどうかは微妙だが、アポロ11号の月着陸交信記録(1969)や合衆国戦略爆撃調査団による「広島、長崎に対する原子爆弾の効果」も。湯川秀樹の「素粒子の相互作用について」も「1935年,初版」とあったが、表紙を見たら「Proceedings of Physico-Mathematical Society of Japan」(数物学会誌)だった。この場合「初版」とは「最初に世に出たとき」(あるいは、後世に残すよう記録に留められたとき)くらいの意味なんだろう。
私は根っから文系人間だが、一時期は天文学に凝ったり、航空学に親しんだり、素粒子物理学を学ぼうかと考えたこともある。その移り気のおかげで、かなりの書物に懐かしさを感じて楽しめた。最近読んだ本でいうと、荒俣宏『サイエンス異人伝』を思い出した書物と著者が多かった。会場では、本展の監修者でもある金沢工大の竺覚暁(ちく かくぎょう)先生が熱心にギャラリートークをされている姿をお見かけした。