見もの・読みもの日記

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丸善ジュンク堂「民主主義ブックフェア」問題備忘録

2015-11-14 22:44:26 | 街の本屋さん
MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店におけるフェア再開について(2015年11月13日)

 事の起こりを整理しておくと、丸善ジュンク堂書店渋谷店が9月20日頃からブックフェア「自由と民主主義のための必読書50」を開始し、10月19日から書店員がツイッターで「夏の参院選まで闘います!」などと発信した。これに対し、選書が偏っていると批判を受けたことと、書店員が(規則に反して)非公式のツイッターアカウントを開設していたことを問題視し、同店は10月21日にブックフェアの棚を「自主的に」撤去。内容を見直し、11月13日から「今、民主主義について考える49冊」に変更して再開した。

朝日新聞:ジュンク堂民主主義フェアを見直し 店員ツイートに批判(2015/10/23)

The Huffington Post:丸善ジュンク堂、民主主義フェアを再開 外された本は...【前回との比較一覧】(2015/11/13)

 結局、最初の選書リストから40冊が外され、別の本に差し替えられた。以下に全部転記してみたのだが、どう見ても最初の選書のほうが魅力的である。メディアや街頭で活躍している著者だけでなく、古典作品も含めて、いまの日本で起きている事柄と強くリンクしている。差し替え版のほうは、いかにも「キーワード:民主主義」で検索してみたら出来ました、という無難なリストで、書店員の顔や書店の個性が全く見えない。まあ渋谷店がターゲットとする「売れ筋」は、ハイエクやアレントではなく、池上彰あたりなのかもしれないが。

 最初のリストは、明示的なキーワードに「自由と民主主義」がついていない本について、「お客さん、実はこの本は自由と民主主義を考える視点から読めるんですよ!」とささやかれているようで、「なるほど、そこか!」と書店員さんと無言で会話する面白さがある。書店や図書館のブックフェアの楽しみは、そういうキャッチボールではないのか。だから「偏っていない」ブックフェアなんて、全然面白くない。私は、日本の書店がこぞって嫌韓・嫌中本で棚を埋めているような状況にはうんざりしていたが、いま敢えて嫌韓・嫌中本フェアをやる書店がいたら、それは(消極的にだけど)支持してもいい。

 そして、フェアであってもなくてもいいから、ここに載るくらいの本はちゃんと棚に常備しておいてほしい。丸善ジュンク堂の名前にかけて。私が望むのはそれだけです。

※私の読書記録があるものはリンクしておく。

■「必読書50」には選ばれたが「49冊」からは外れた本(40冊)
・SEALDs 民主主義ってこれだ!(SEALDs)
・時代の正体:権力はかくも暴走する(神奈川新聞「時代の正体」取材班
右傾化する日本政治(中野晃一)
社会を変えるには(小熊英二)
・私たちは"99%"だ!:ドキュメント ウォール街を占拠せよ(『オキュパイ!ガゼット』編集部
・デモいこ!:声をあげれば世界が変わる 街を歩けば社会が見える(TwitNoNukes)
・デモ!オキュパイ!未来のための直接行動(三一書房編集部)
・日本人は民主主義を捨てたがっているのか?(想田和弘)
・ぼくらの瀕死のデモクラシー(枝川公一)
・革命のつくり方(港千尋)
・希望の政治学:テロルか偽善か(布施哲)
・希望はなぜ嫌われるのか:民主主義の取り戻し方(コリン・ヘイ)
・立憲主義について:成立過程と現代(佐藤幸治)
・日本国憲法 新装版(学術文庫編集部)
・増補新版 法とは何か(長谷部恭男)
・読むための日本国憲法(東京新聞政治部編)
・憲法とは何か(長谷部恭男)
・国家の暴走:安倍政権の世論操作術(古賀茂明)
・タカ派改憲論者はなぜ自説を変えたのか:護憲的改憲論という立場(小林節)
・憲法は、政府に対する命令である。(ダグラス・スミス)
・悪あがきのすすめ(辛淑玉)
・検証・法治国家崩壊(吉田敏治他)
・ソフト・パワー(ジョセフ・ナイ)
・隷属への道(F.A.ハイエク)
・リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください:井上達夫の法哲学入門(井上哲夫)
・キング牧師(辻内鑑人、中條献)
・I Have a Dream!(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)
・戦争プロパガンダ 10の法則(アンヌ・モレリ)
・ヒトラー演説:熱狂の真実(高田博行)
劇画ヒットラー(水木しげる)
・独裁者のためのハンドブック(ブルース・ブエノ・デ・メスキータ、アラスター・スミス)
・永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編(カント)
・アメリカのデモクラシー(1上下、2上下)(トクヴィル)
・国家(上下)(プラトン)
・自由論(ジョン・スチュワート・ミル)
・一九八四年 新装版(ジョージ・オーウェル)
・動物農場(ジョージ・オーウェル)
・精読 アレント『全体主義の起源』(牧野雅彦)
・イェルサレムのアイヒマン:アクの陳腐さについて(ハンナ・アレント)
・人間の条件(ハンナ・アレント)

■「必読書50」「49冊」ともに選ばれた本(15冊)
若者のための政治マニュアル(山口二郎)
ぼくらの民主主義なんだぜ(高橋源一郎)
・統治新論(大竹弘二)
・民主主義の条件(砂原庸介)
輿論と世論(佐藤卓己)
・デモクラシーとは何か(R.A.ダール)
・民主主義って本当に最良のルールなのか、世界をまわって考えた(朝日新聞『カオスの深淵』取材班)
・哲学する民主主義(ロバート D.パットナム)
・18歳が政治を変える!(高橋亮平)
民主主義ってなんだ?(高橋源一郎、SEALDs)
・来るべき民主主義(國分功一郎)
・アメリカを占拠せよ!(ノーム・チョムスキー)
・香港バリケード(遠藤誉)
・世界を動かした21の演説(クリス・アボット)
・「デモ」とは何か(五野井郁夫)

■「49冊」のみに選ばれた本(34冊)
・はじめてのデモクラシー講義(岡田憲治)
・民主主義という不思議な仕組み(佐々木毅)
・民主主義(文部省)
・自由と民主主義をもうやめる(佐伯啓思)
〈私〉時代のデモクラシー(宇野重規)
・民主主義のつくり方(宇野重規)
・ポピュリズムを考える(吉田徹)
・民主主義とは何なのか(長谷川三千子)
・リベラリズム/デモクラシー 第2版(阪本昌成)
・ダール、デモクラシーを語る(ロバート A.ダール)
・民主主義理論の現在(イアン・シャビロ)
・銃を持つ民主主義(松尾文夫)
・日本とフランス二つの民主主義(薬師院仁志)
・民主主義対民主主義 原著第2版(アレンド・レイプハルト)
・国家はなぜ衰退するのか 上(ダロン・アセモグル)
・国家はなぜ衰退するのか 下(ダロン・アセモグル)
・野党とは何か(吉田徹)
・政治をあきらめない理由(ジェリー・ストーカー)
・デモクラシー(バーナード・クリック)
・民主主義の本質と価値(ハンス・ケルゼン)
・池上彰の選挙と政治がゼロからわかる本(池上彰)
・選挙は誰のためにあるのか。(松田馨)
・多数決を疑う(坂井豊貴)
・きめ方の論理(佐伯胖)
・選挙のパラドクス(ウィリアム・パウンドストーン)
・選挙の経済学(ブライアン・カプラン)
・熟議の日(ブルース・アッカマン)
・人々の声が響き合うとき(ジェイムズ S.フィシュキン)
・そうだったのか日本現代史(池上彰)
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