江東区の情報に詳しいSNSを見ていたら、2022年7月26日(火)に小名木川の高橋(たかばし)橋畔で、3年ぶりの「川せがき灯籠流し」が開催されるというお知らせが流れてきたので、行ってきた。
せがき(施餓鬼)は、餓鬼道で苦しむ衆生に食事を施して供養すること、またはそのような法会を指すが、日本では先祖への追善として盂蘭盆会に行われることが多い。知識としては知っていたが、実際に施餓鬼会を体験したのは、初めてだと思う。
Wikiによれば、水死人の霊を弔うために川岸や舟の上で行う施餓鬼供養は「川施餓鬼」といい、夏の時期に川で行なわれる。確かに「川施餓鬼」で画像検索すると、全国各地の祭礼の様子を見ることができる。また、隅田川の花火大会は、享保18年(1733)に川施餓鬼を目的としておこなわれたのが最初だという。
深川の川施餓鬼は、深川仏教会の主催で、関東大震災や東京大空襲など、河川で亡くなられた方々の供養のために行われている。仕事帰りに立ち寄って、灯籠供養(1,000円)を申し込んでみた。申込書には、霊位(戒名)を指定した供養・〇〇家先祖代々の供養・自然災害死没者供養の三択から、希望を選ぶようになっている。はじめ、新盆を迎える父の戒名を書こうとしたが、母方の祖父は東京大空襲で亡くなっており、この川施餓鬼にふさわしい。しかし戒名は知らないし、母の実家の苗字は私と異なるので、私が施主となっていいものか。いろいろ考えた末、最後の選択肢にしておいた。受付窓口にはお坊さんが並んでいて、灯籠は、担当の方が書き入れて流してくれるとのことだった。
今朝は土砂降りの大雨だったが、幸い、昼間のうちに雨が上がって、川風が涼しかった。読経する僧侶たちを乗せた小舟が、ゆっくり灯籠の間を回遊する。露店が出るような賑やかなお祭りではないが、橋の上や川岸で、三々五々見物する人たち。
生と死が仲良く隣り合わせているようで、こんなふうに供養されるのは幸せだと思った。