見もの・読みもの日記

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2020年11月関西旅行:紀三井寺展(和歌山市博)+紀三井寺

2020-11-29 20:58:22 | 行ったもの(美術館・見仏)

和歌山市立博物館 創建1250年・日本遺産認定記念特別展『紀三井寺展』(2020年10月31日~12月13日)

 和歌山市内に1泊し、翌日は朝9時開館の和歌山市立博物館からスタート。こじんまりした施設だが、地域に密着した面白い展示をしてくれる博物館である。宝亀元年(770)に開かれた紀三井寺は今年2020年、開創1250年を迎え、50年に1度の秘仏・本尊の御開帳が行われている。また、2019年に「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」が日本遺産に認定されたことを記念し、本展では寺宝約50件を公開している。

 仏像は、紀三井寺の開祖と伝えられる唐僧・為光上人坐像(室町時代)など4件。撫で肩で彫りの浅い、やわやわした感じの十一面観音菩薩立像(平安時代)が印象的だった。右手に水瓶(蓮華のつぼみが刺さっている)を持ち、左手は身体の脇に垂らす。腕が長く、手指も長い。頭部には長い頸を持つ頭上面。ほかに小さめの古風な天部立像と宋風様式の洗練された弥勒菩薩坐像。なお、ほかにもたくさん紀三井寺の仏像の写真パネルが飾ってあって興味深かった。仏像以外では、紀三井寺参詣曼荼羅、熊野歓心十界曼荼羅、五鈷杵・五鈷鈴などの密教法具、本堂棟札、勧進帳や寄進状などの文書類も展示されていた。

 1階の受付に『紀三井寺』と題した図録っぽい冊子があったので買おうとしたら、受付のお姉さんに「これはお寺さんで売っている冊子ですけどいいですか?」と確認された。なるほど奥付に「紀三井寺開創1250年記念図録/紀三井寺/2020年3月」とある。寺宝のカラー写真が豊富で役立ちそうだったので買っていくことにした。「展覧会の図録はつくってないんですか?」とお訊ねしたら、「ほんとは総持寺さんの展覧会を予定していたんですが、コロナで中止になって、急に紀三井寺さんをやることになって」とのこと。えええ、そんなことが。あとでホームページを確認したら、2020年5月9日~6月7日に『総持寺の至宝』が入っていた。この企画展は、2021年に延期になったそうである。

■西国第二番 紀三井山金剛宝寺(紀三井寺)(和歌山県和歌山市)

 博物館のあとは、南海和歌山市駅前からバスで紀三井寺へ。いつも粉河寺とセットでお参りしているので、ここも2012年以来8年ぶりである。バスを下りると、なんとなく見覚えのある景色だったが、紀三井寺正門への道が思い出せない。スマホの地図をたよりに歩いていったら裏門に出てしまった。しかし、そこにも拝観券売り場があったので、車も通れる裏参道のだらだら坂を登っていくことにする。あとで気づいたが、途中の山上駐車場には本堂につながるエレベーターが設置されていた。バリアフリーに向けた努力、大変よい。

 さて、本堂。

 「救世殿」の扁額の下に「南無観」の提灯が下がる。

 御朱印をいただき、秘仏ご本尊の拝観を申し込む。本堂内陣に入り、須弥壇のお厨子を拝したあと、本堂の奥に続いている大光明殿(文化財収蔵庫)に入れていただいた。2012年2008年にも入っているので三度目になる。左右の端には曼荼羅が掛けてある。弧を描くステージのような須弥壇の中央には、左に秘仏本尊十一面観世音菩薩立像、右に秘龕仏・千手観世音菩薩立像。金色の枠にガラス扉(?)のモダンなお厨子の中にいらっしゃった。千手のほうが小顔で洗練された雰囲気なのに対して、十一面はやや武骨な感じがした。それぞれに結縁の紐が結ばれ、参拝者の位置に垂れていた。

 秘仏ご本尊2躯の外側には、左に帝釈天立像、右に梵天立像。どちらも左手に蓮華のつぼみを持ち、古様でおだやか。和歌山市博で購入した冊子に、どちらも観音像であったかもしれない、という解説が記されていた。帝釈天の隣りには、天衣をひるがえし、塔を捧げ持つ毘沙門天立像。目を見開き、口も開いて威嚇する表情。梵天の隣りの空白が気になったので、出口のお坊さんに聞いてみたら、和歌山市博で見た十一面が、ふだんはそこにいらっしゃるのだそうだ。お坊さんに「缶バッジ貰っていってね」と言われたので、御朱印受付で和歌山市博のパンフレットを見せて、参詣曼荼羅をモチーフにした缶バッジをいただいた。

 仏殿の大千手十一面観世音を拝して、表参道の長い石段を下り、紀三井寺駅へ向かう。

 次の列車まで30分くらい時間があるが、駅前に喫茶店もなかったなあと思いながら、スマホで検索してみたら、なんだか「庭のパン屋さん」というお店があることが分かった。

 おそるおそる入ってみたら、しっかりしたハード系の手ごねパンのお店で悪くなかったので、ランチ用の総菜パンをテイクアウトしてみた。それと季節もののシュトーレンも。

 いま朝食とおやつに少しずつ食べている。紀三井寺をしのびながら。


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