連休前後に出かけて、報告の機会を逃していた展覧会を簡単に。
■東京芸術大学大学美術館 『皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界』(2009年4月14日~6月14日)
尼門跡(皇女や貴族の息女が住職となる寺院)に伝えられてきた伝統文化を紹介する展覧会。本展は、大聖寺、宝鏡寺、曇華院、光照院、円照寺、林丘寺、霊鑑寺、中宮寺、法華寺、三時知恩寺、 慈受院、宝慈院、本光院の13の寺院を取り上げる(Wikiの「尼門跡」には、もう1ヶ所、近江八幡の瑞龍寺が挙がっている)。中宮寺に伝わる「天寿国繍帳裂」(国宝)が見たくて、4月中に出かけた。他は特に期待していなかったのだが、尼僧たちの画才や学識に驚く。徳厳理豊尼の「涅槃図」は、広い庭にパラパラと散った動物たちが可愛い(花を捧げ持つサルの姿あり)。尼門跡に禅宗が多いことも意外だった。10歳未満で入寺して生涯を信仰と学問に捧げるって、過酷な運命だなあ、と思った。
■同上 『芸大コレクション展 春の名品選』(2009年4月14日~6月14日)
前期(~5月17日)を見てきた。白鳳の銅造・菩薩立像は華やかな造形で、後ろ姿が可憐。木造・不空羂索観音立像はトルソー状態で、ギリシャ彫刻のようにリアルな表情をしている(→以上、収蔵品データベースに画像あり)。面白かったのは『古図抄出』と題された巻子本。硯とか不机とか、具体的なテーマを決めて、さまざまな古絵巻に描かれた図像を集めて、模写している。要するに、図像のレファレンス・ツールを作ろうとしているのである。
■東京国立博物館 特集陳列『平成21年新指定国宝・重要文化財』(2009年4月28日~5月10日)
若冲の『菜蟲譜』(栃木・佐野市立吉澤記念美術館)が出ていたので見に行った。昨年、栃木県立美術館の『朝鮮王朝の絵画と日本』では「菜譜」が開いていたが、今回は「虫譜」が見られて、楽しかった。祝・重文指定。赤楽茶碗(乙御前)もね。意外とよかったのは、栃木・輪王寺蔵の『木造天海坐像』。江戸モノも、いいものはいい。
■同上 特集陳列『黒田清輝のフランス留学』(2009年3月3日~4月12日)
だいぶ前に見に行ったものだが、絵画作品よりも、父宛ての書簡が興味深かったので書いておく。法律家を志してフランスに渡った黒田が「今日ハ已ニ法律家も多キ世中」「又今日ハ獨逸學ノ世ニ御座候」と、時勢の変化に翻弄され、将来の進路に悩む有様が読み取れた(→原文)。
■東京芸術大学大学美術館 『皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界』(2009年4月14日~6月14日)
尼門跡(皇女や貴族の息女が住職となる寺院)に伝えられてきた伝統文化を紹介する展覧会。本展は、大聖寺、宝鏡寺、曇華院、光照院、円照寺、林丘寺、霊鑑寺、中宮寺、法華寺、三時知恩寺、 慈受院、宝慈院、本光院の13の寺院を取り上げる(Wikiの「尼門跡」には、もう1ヶ所、近江八幡の瑞龍寺が挙がっている)。中宮寺に伝わる「天寿国繍帳裂」(国宝)が見たくて、4月中に出かけた。他は特に期待していなかったのだが、尼僧たちの画才や学識に驚く。徳厳理豊尼の「涅槃図」は、広い庭にパラパラと散った動物たちが可愛い(花を捧げ持つサルの姿あり)。尼門跡に禅宗が多いことも意外だった。10歳未満で入寺して生涯を信仰と学問に捧げるって、過酷な運命だなあ、と思った。
■同上 『芸大コレクション展 春の名品選』(2009年4月14日~6月14日)
前期(~5月17日)を見てきた。白鳳の銅造・菩薩立像は華やかな造形で、後ろ姿が可憐。木造・不空羂索観音立像はトルソー状態で、ギリシャ彫刻のようにリアルな表情をしている(→以上、収蔵品データベースに画像あり)。面白かったのは『古図抄出』と題された巻子本。硯とか不机とか、具体的なテーマを決めて、さまざまな古絵巻に描かれた図像を集めて、模写している。要するに、図像のレファレンス・ツールを作ろうとしているのである。
■東京国立博物館 特集陳列『平成21年新指定国宝・重要文化財』(2009年4月28日~5月10日)
若冲の『菜蟲譜』(栃木・佐野市立吉澤記念美術館)が出ていたので見に行った。昨年、栃木県立美術館の『朝鮮王朝の絵画と日本』では「菜譜」が開いていたが、今回は「虫譜」が見られて、楽しかった。祝・重文指定。赤楽茶碗(乙御前)もね。意外とよかったのは、栃木・輪王寺蔵の『木造天海坐像』。江戸モノも、いいものはいい。
■同上 特集陳列『黒田清輝のフランス留学』(2009年3月3日~4月12日)
だいぶ前に見に行ったものだが、絵画作品よりも、父宛ての書簡が興味深かったので書いておく。法律家を志してフランスに渡った黒田が「今日ハ已ニ法律家も多キ世中」「又今日ハ獨逸學ノ世ニ御座候」と、時勢の変化に翻弄され、将来の進路に悩む有様が読み取れた(→原文)。