付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「女王陛下の魔術師」 ベン・アーロノヴィッチ

2013-05-20 | ミステリー・推理小説
 美中年っぽくて、ちょっと手に取りにくい表紙イラストですね。自分はハリー・ポッターみたいな架空のキャラクターではないと、憮然とする警部はかわいいですが。

 ピーターは「オバマの替え玉に使えるんじゃないか」とジョークの種にされるようなアフリカ系の新米巡査で、彼の配属先の第一希望は殺人課。第一線で活躍して市民のために働きたいというのは立前で、本当は派手に活躍して出世してかっこいい車を乗り回したいだけ……という本音はナイショだ。
 そんな彼が特殊犯罪課に配属されることになったのは、通り魔殺人の目撃情報を通りすがりの幽霊から聞かされたのがきっかけで……。

 こちらもニュートン卿が最後の錬金術師ではなく、科学と魔法を統合した近代魔術の始祖のような位置づけです。一般人は何も知らされてはいないけれど、警察には魔術やオカルトにかかわるたった1人の部署があり、そこに配属させられた新米警官の冒険。ちょうど香月日輪の『全裸男と柴犬男』を読んだばかり。警察の日英オカルト事件対策の比較をするつもりで読了。
 ピーターは今まで魔法のマの字も信じていなかったのに、「この目で見たものは信じる」と、ちょっと適応が早すぎます。もっとも、特殊犯罪課に配属というか英国唯一の魔法使いであるナイティンゲール主任警部に弟子入りするや否や、原因不明の連続殺人は暴動へとスケールアップしていくし、テムズ川で男神と女神の紛争に介入せざるを得なくなるし、メイドは牙がはえてるし……そりゃあ、慣れるしかないですね。 

【女王陛下の魔術師】【ロンドン警視庁特殊犯罪課1】【ベン・アーロノヴィッチ】【山本のり】【ハヤカワ文庫FT】【悪霊】【吸血鬼】【妖精】【パンチ&ジュディ】【テムズ河】【ドルリー・レーン劇場】【暴徒鎮圧】【幽霊ハンター】【エッチング】【女王陛下の平和】
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「全裸男と柴犬男」 香月日輪

2013-05-07 | ミステリー・推理小説
 石田智宏がマンションに帰宅してみると、彼の部屋には見知らぬ全裸の男がいた。
 男は煙草を斜に咥えたまま、智宏を見て言った。
「お前、誰?」

 霊感ゼロの若い刑事が警視庁のオバケ対策部署に配属され、曲者揃いの遊撃捜査班の中で憑依事件やら生き霊相手に仕事をしながら美味しい食事を堪能する話。
 このタイトルとホワイトハートというレーベルに恐れおののきながら購入してみたけれど、いつもの香月日輪で一安心。他作品でちらりと見た顔、聞いたような名前の登場と人物も顔を見せる、『妖怪アパートの幽雅な日常』や『僕とおじいちゃんと魔法の塔』と世界を共有する作品です。これらよりは説教臭さは少なめかな。
 それにしても帯がでかいなー。

【全裸男と柴犬男】【警視庁生活安全部遊撃捜査】【香月日輪】【わたなべあじあ】【ホワイトハート講談社X文庫】【黎明苑】【妖刀】【生霊】【未来視】
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「覆面作家は二人いる」 北村薫

2013-04-24 | ミステリー・推理小説
「知識を結びつけるのが、頭の働きじゃないでしょうか?」
 匿名希望の新妻千秋の言葉。

 姓は「覆面」、名は「作家」。
 若手編集者の岡部が担当することになった、このふざけた名前の新人推理作家は、弱冠19歳で美貌の大富豪令嬢、新妻千明だった……。

 家の中では声も小さなお嬢さまが、1歩(本当に1歩だけ)自宅の門を踏み出すや、性格も一変してケンカ上等の「外弁慶」に。こんなお嬢さまが名探偵ぶりを発揮して、編集のリョースケと組んでさまざまな謎を解決していく覆面作家シリーズの1冊目。
 これは二重人格ではないかとか、いやまて門から出た途端に性格が豹変するなんて嘘っぱちで双子の娘にからかわれているんじゃないかという表題作も含めた3篇を収録。
 ミステリは気軽に読めて、読後感が愉しいのが良いと思うようになりました。

【覆面作家は二人いる】【北村薫】【高野文子】【角川書店】【覆面作家シリーズ】【お嬢様探偵】【サンタクロース】【水族館】【誘拐】【万引き】
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「インテリぶる推理少女とハメたいせんせい」 米倉あきら

2013-04-08 | ミステリー・推理小説
 刺激的なタイトルで予選通過の頃から話題になっていた、第6回HJ文庫大賞の奨励賞作品。

「……せんせいにはわるいうわさがあるのです」
 孤島の中学校に赴任してきた教師が、顧問になった文芸部の女子中学生を次々に襲ったというのである。
 中学1年の比良坂れいは問題の教師と対峙して頭脳戦を繰り広げるのだが……。

 冒頭でドン引きしなけりゃ、けっこう面白い。少なくとも類書は多くない。

「出版社が売りたがっている小説を面白いと思うのは悪いことじゃない」

 主な登場人物は2人。ふざけたタイトルのまま、真っ黒な容疑者とインテリぶる名探偵の会話中心で話が進みますが、センセーショナルな主題なのにアダルト小説というわけではないのがミソ。どちらかというとロジックの積み重ねを愉しむ小説で、論理的であることとバカでないことは両立するとは限らないと言うことを語る作品でもあります。

【インテリぶる推理少女とハメたいせんせい】【米倉あきら】【和遙キナ】【HJ文庫】【文芸部】【メタ】【古典部シリーズ】【謎探偵】【バスケットボール】
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「2」 野崎まど

2013-03-26 | ミステリー・推理小説
「すべての創作は、人の心を動かすためにある」
 映画監督・最原最早の言葉。

 中高年向きのラノベのおすすめということで10作品をあげたツイートがあって、エドワード・スミスの『侵略教師星人ユーマ』とか佐島勤の『魔法科高校の劣等生』とか、そこで紹介されていた既読の作品は確かに面白かったものばかりだったので、未読のそれも面白いんじゃね?とぼちぼち購入開始。
 それで「2」を読み始め、有川浩の『シアター!』みたいな演劇話かと思わせておいて、創作者の性とか、知識や意志の継続による不死性とか、いつものキーワードをちりばめながら読者を大車輪で放り出す豪快さに愕然。さらにどこかで見覚えのあるキャラクターが続々参入。
 読後感は「雨の午後はヤバイゼ」というか、野崎まど版「スーパーロボット大戦」。そうか、『2』というタイトルだけど、これは『[映]アムリタ2』であり『舞面真面とお面の女2』であり『死なない生徒殺人事件2』であり『小説家の作り方2』であり『パーフェクトフレンド2』なのね……と思っていたら、終盤でさらにもう2回ほどひっくり返されました。
 この人の作品はジャンルをひとことでまとめられないものばかりで、これは新本格ミステリだとかホラーだとかSFだとか言うだけでもネタバレになりかねないものが多いのです(だから、この作品がミステリーだというくくりも半分は間違い)。さらに、その登場人物にはささみさんとかハルヒさんとか現実を改変しちゃいそうな常人を超えた者が多いので、たぶん前作群を読まずに読んでいる人は、この伏線も何も無いような後半の展開に怒り出すんじゃないかな。
 中学の同級生に同姓同名がいることもあって、鈴木友子さんは応援したいです。

【2】【野崎まど】【メディアワークス文庫】【ノベル・ミステリー】【進化】【集団遺伝学】【ミーム】【永遠の命の生徒】【Z一歩】【マルチ商法まがいの不老不死の女】
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「クレアが死んでいる」 エド・マクベイン

2013-03-12 | ミステリー・推理小説
「クレアなら誰も主人公を殺したとは言えまい」
 群像劇を書いているつもりだったエド・マクベインが、レギュラーキャラクターのスティーブ・キャレラ刑事を殺すつもりだったのに「主人公を殺すなんてとんでもない!」と編集者に反対され、結末を書き換えさせられたというのは有名な話。
 その憤懣やるかたないマクベインは、代わりにやはりシリーズ序盤から登場しているバート・クリング刑事の恋人クレアに白羽の矢を立てたのでした。まさしく、やつあたり殺人。
 ひどいや!

 本屋での乱射事件の現場に駆けつけた刑事たちは絶句した。被害者の中に、つい先刻までクリング刑事と電話で話していた恋人クレアの姿があったのだ。
 犯人は誰を狙ったのか? 87分署の刑事たちは被害者1人1人の人物像を掘り下げながら、犯人を追い求めていくのだが……。

 今の幸せが、平穏が、次の瞬間も保証されているとは誰にも断言できないのです。「一期一会」という言葉を聞いたとき、まっさきに連想したのが、この話でした。

【クレアが死んでいる】【87分署シリーズ】【エド・マクベイン】【ハヤカワ・ミステリ文庫】【乱射事件】【カーペンター】
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「アコギなのかリッパなのか」 畠中恵

2013-02-27 | ミステリー・推理小説
「政治っていうのは危ない危険地帯、一旦足を踏み入れたら、抜け出すことの難しい未踏査地域だよなぁ」
 佐倉聖の感想。「権力は、失ったら買い戻せない」と言った人もいますが、そんなものです。

 大学生の聖は腹違いの弟を養うため、引退した大物政治家の事務所でアルバイト事務員として働いている。
 そんな聖には“オヤジ”こと大堂会長にあちらこちらの派閥議員から持ち込まれた面倒ごとが回されてくる。やれ、飼い猫の色がくるくる変わるだとか、秘書が新興宗教にはまってしまったとか……。

 日常の謎系の政治家ミステリ短編集。
 最近目立つ日常系学園ミステリと同様、謎そのものは複雑なものではないけれど、その先の解決がメインとなる話です。

【アコギなのかリッパなのか】【佐倉聖の事件簿】【畠中恵】【スカイエマ】【新潮文庫】【ユーモア・ミステリー】【心霊スポット】【ピッキング】【ダイエット】【選挙戦】
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「夜の光」 坂木司

2013-02-12 | ミステリー・推理小説
「願わくば、あなたたちのコーヒーがいつも香り高きものでありますように」

 己の正体を偽り、目的を隠し、決して自分からは動かず、ただジッとチャンスを待つのがスパイだというなら、この天文部に所属する4人は紛れもなくスパイだ。
 誰もが自分の秘密を抱え込み、学校という戦場で自分に課せられた任務を遂行しようと夜を駆ける。
 ただ、手に持ったコーヒーだけが熱く、濃い……。

 4人の高校生がそれぞれの自分語りをしていく中で、彼らの間に投げ込まれる小さな謎が解かれていく物語。ただ、物語における謎の存在が、日常系ミステリというにはあまりにささやかで、これを強行にミステリ呼ばわりすると大半の文芸作品がミステリに区分されかねない気がします。個々の謎そのものよりも、各自が抱える将来の進路、家族のトラブル、恋愛の行方など、誰にも話さない/話せない問題の方が根深いですから。

「イメージが先行してがっかりなんて、よくあることさブラザー。むしろイメージとリアルが一致する方が奇跡なんだ。でもその素晴らしさをすぐ忘れてしまうから、人はいつまでたっても幸せになれない」
 ゲージの言葉。
 人生はスペシャルで特別。でも、特別でありたいと願うことそのものが、ごく普通のことなのだ。

【夜の光】【坂木司】【石川絢士】【新潮文庫】【オフビートな青春小説】【合宿】【文化祭】【養蜂】
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「.(ピリオド)」 瑠璃歩月

2013-01-20 | ミステリー・推理小説
 ローマ県警の女性警官ビアンカは、相手がマフィアとなると歯止めが利かなくなってしまい、とうとう対マフィア特殊警察PSAとの合同捜査チームに飛ばされる。
 マフィア対策のために各部署の精鋭を集めたPSAとの捜査に張り切るビアンカだが、所詮は囮役に使われる程度の価値しか認めてもらえず、しかも包囲したはずの容疑者の少女ニコラに囚われてしまう始末で……。

「礼儀正しい狼は、獲物の唇は食べないのよ」

 少女向けレーベルの百合っぽい設定であおった話は、ろくに色っぽいエピソードもない、警官と便利屋のバディものでした。
 国家警察、軍警察、財務警察、刑務警察、森林警察と幾つもの警察組織が乱立し、腐敗と権力争いが横行する中で、マフィアと戦う女2人のアクション・ストーリー。
 物語的にはややご都合主義すぎるところがないでもないけれど、映画1本分の活劇としては悪くないかな。

【.(ピリオド)】【瑠璃歩月】【玄鉄絢】【一迅社文庫アイリス】【マフィア】【復讐】【人身売買】【ICレコーダー】
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「探偵・花咲太郎は閃かない」 入間人間

2013-01-15 | ミステリー・推理小説
「変態は夢想家の内は大器だよな」
 行動すると小物になるけどとと木曽川さん。

 三代目・花咲太郎は探偵である。専門は犬猫の捜索で、15歳を超えた女性には興味がない。
 そんな花咲太郎と同居しているのは、13歳の美少女トウキ。彼女はロリコンが大嫌いで、なぜか周囲に凶悪事件を引き寄せる体質だ。
 花咲太郎とトウキの往くところ死屍累々。けれど、花咲太郎は閃かないし、推理もしない。専門はあくまで犬猫探しなのだ……。

 あちらこちらで殺人事件に巻き込まれたりするけれど、推理もしないし犯人を積極的に捕まえようともしない探偵物語。普通は最低でも推理だけはするか、犯人を捕まえるかはするけれど、どちらもしないのは珍しい。でも、犯人扱いされる探偵なら、偉大な先駆者が……。
 自称“宇宙人”のエリオットさんは何者なのかとか、どうしてトウキは花咲太郎と同居しているのかとか、いろいろ無視できない謎を放り投げたままおしまい。次巻では明らかになっているのかしらね。

【探偵・花咲太郎は閃かない】【入間人間】【メディアワークス文庫】【殺し屋】【連続失踪事件】【火かき棒】【コナンくん】【川遊び】
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「サクソンの司教冠」 ピーター・トレメイン

2012-12-24 | ミステリー・推理小説
 才色兼備の修道女を名探偵とした、歴史ミステリの長編2作目。

「敵を見れば、当人がどういう人間か、わかります。私は、むしろ、どういう友を持っているかではなく、どういう敵を持っているかで、私という人間を評価してもらいたいと思いますわ」264
 アイルランド王国キルデアの修道女、フィデルマの言葉

 664年夏のローマ。
 フィデルマはアード・マハの大司教から教皇宛の信書を携えて、この街を訪れていた。
 歴史ある大都市にすら虚飾と欺瞞を感じるだけのフィデルマであったが、ここまでの旅に同行していた大司教指名者が殺されてしまう……。

 ミステリとしては並。明白と思われる結論に飛びつかず、順番に現場を調べて証人と話をしていくうちに1つずつ新たな証拠証言が発見されていき、それを順番に積み上げていくことで真相に辿り着くタイプ。歴史小説として読むのが良いかな。

【サクソンの司教冠】【ピーター・トレメイン】【創元推理文庫】【アレクサンドリア図書館】【連続殺人】【ムスリム】
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「小鳥を愛した容疑者」 大倉祟裕

2012-12-15 | ミステリー・推理小説
 銃撃を受けて負傷した鬼警部補が捜査一課から転属させられたのは、警視庁総務部総務課動植物管理係。リハビリ兼ねてという話での閑職だったが、コンビを組むことになった新米巡査の薄圭子は、人間よりも動物を愛する変わり者だった……。

「カメが好きな人に悪人はいないんです」
 薄圭子の言葉。

 動物好きな新米巡査が、動物の生態から不自然な状況を発見して犯人を追い詰めていく探偵譚。十姉妹、ボア、リクガメ、モリフクロウと、容疑者や被害者たちの周囲にいたペットたちが続々登場。でも、作者自身がペット好きだなあと感じるより、こいつは特撮好きだなあと確信する方が先に立ちます。
 良質の動物ミステリ短編集でした。

【小鳥を愛した容疑者】【大倉祟裕】【講談社文庫】【同伴】【ブルトン】【リトラ】【フェミゴン】【バルゴン】
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「荒野のホームズ、西へ行く」  スティーヴ・ホッケンスミス

2012-12-13 | ミステリー・推理小説
「どれだけ道をまちがえても、正しい道ってのは遅かれ早かれ見つかるもんだ……探すのをやめないかぎりな」
 “オールド・レッド”グスタフの言葉。

 仕事にあぶれたカウボーイ兄弟は、ふとしたきっかけで鉄道保安官に採用され、列車に乗り込むこととなった。
 ところが乗り込んだ列車には胡散臭い客と怪しげな貨物ばかり……。

 無学なカウボーイがシャーロック・ホームズの信奉者として、その推理法を実践していくウェスタン・ミステリの長編2作目。

「人間ってのはきっと、自分より立派で尊敬できる相手が必要なんだろうな。まちがいは、その人間になろうとすることだ」

 当時最高の探偵といわれたバール・ロックハートの言葉。

 死体なき殺人あり、列車強盗ありとミステリからアクションまでたっぷり詰まった1冊。ホーボー(渡り鳥労働者)なんて言葉も久々に聞きました。

【荒野のホームズ】【スティーヴ・ホッケンスミス】【ハヤカワ・ポケット・ミステリ】【名探偵】【ウェスタン・ミステリ】【サザン・パシフィック鉄道】【婦人参政権】【ホーボー】【列車強盗】【コロンビア万博】
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「死体置場は花ざかり」 カーター・ブラウン

2012-11-26 | ミステリー・推理小説
「殺人事件を捜査していると、かならず、女にぶっつかるんだ」
 ポルニック部長刑事の言葉。

 身元不明の美女の死体が死体置場から盗まれる。
 捜査を担当したウィーラー警部が匿名の電話に従ってTV局へ足を運んでみれば、今度はセットの棺桶から中年男の死体が姿を現し……。

 ミステリを片っ端から乱読していた高校生時分に購入。
 語呂の良いタイトルに、ユーモア・ミステリを期待して購入したら、軽妙なタッチではあるものの、基本はハードボイルドで、肩すかしを食らった気分……って、それくらいは表紙から予想しないといかんわな。若気の至り。

【死体置場は花ざかり】【カーター・ブラウン】【アル・ウィーラー警部】【モルグ】【メッセンジャー・ジョン】【二重生活】【生首】
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「アデスカを吹く冷たい風」 トマス・フラナガン

2012-11-14 | ミステリー・推理小説
「論理と暴力。このふたつが結びついたあかつき、この世に、不可能なことは考えられぬ。革命すら成就するだろう」
 テナント少佐の言葉。

 ここは<共和国>。
 欧州にある小さな国で、かつては王制で、第二次大戦後の内戦で共和制になり、今は<将軍>の治める国。人々が窮乏で、いまだ苦しみ続ける国。
 テナント少佐という男は、そんな国で憲兵隊として法の正しい執行に挑戦し続けていた……。

 テナント少佐を主人公とした短編4本とその他3本からなる短編集。
 独裁者による軍政下で、組織としての立前に従い、ルールから逸れることなく、かつ独裁者の機嫌を損ねることなく、それでも己の良心に従って行動しようとする無頼派警官の物語。

【アデスカを吹く冷たい風】【トマス・フラナガン】【ハヤカワ・ミステリ】【密輸】【暗殺】【収容所】【戦犯】【青髭】【事後従犯】【傭兵隊長】【ボルジア家】【絵画による尋問】
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