付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「黒いチューリップ」 主演:アラン・ドロン

2022-03-28 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブルを題材としたデュマの『黒いチューリップ』という話があって、これは文字通りオランダ戦争と球根バブルを背景にした黒いチューリップの球根の行方を求める浪漫小説なんだけれど、これをアラン・ドロン主演で映画化した際に監督が原作をいじって、フランス革命前夜に貴族から財貨を奪う仮面の騎士という「怪傑ゾロ」もどきの「黒いチューリップ」の物語にしちゃいました。登場人物の名前もストーリーも舞台も時代もなにもかも別物。昨今の「原作に愛もリスペクトもない映画化なんてクソ食らえ」派ではありますが、映画としては嫌いじゃないのよ。こいつは活劇として面白いんで。

 フランス革命勃発前。剣の達人でもあるギヨーム伯爵は、亡命を企てる貴族から金品を奪う義賊「黒いチューリップ」として裏で活躍していたが、世間との評判とは裏腹に自分の私腹を肥やすのが目的だった。ところがある日、ギヨームは宿敵である憲兵隊長ラ・ムーシュと戦って顔に傷を負ってしまう。このままでは正体が露見してしまうと彼は外観が瓜二つな弟ジュリアンを身代わりにするのだが、ジュリアンはギヨームのお題目を真面目に信じて民衆のために戦い始めた……。

 ジェラール・カルビ作曲のテーマ曲がカッコいいのよ。活劇映画のテーマはかくあるべしってやつで、ノリが良くて、テンポが独特で、覚えやすいのだ。
 白馬もカッコいいのよ。

【黒いチューリップ】【La Tulipe Noire】【アラン・ドロン】【ドーン・アダムス】【ヴィルナ・リージ】【クリスチャン=ジャック】【ジェラール・カルビ】
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「キングスマン:ファースト・エージェント」  監督:マシュー・ヴォーン

2022-01-22 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ボーア戦争において赤十字活動をしていた英国貴族のオックスフォード公は、息子コンラッドの目の前で妻を失い、息子には二度と戦争を見せないと今際の際の妻に誓ったのだが、その10年後。謎の秘密結社によって世界大戦の危機が迫っていた……。

 特定の国家に属さないスパイ組織「キングスマン」の設立秘話で、駆け足で語る第一次大戦史からロシア革命まで。オックスフォード公と息子コンラッド、その家庭教師ポリーに執事ショーラが大英帝国の危機に挑みます。
 3作目だけれど内容的には0話。紳士なので下品なエログロバイオレンスは控えめ。勢いで見せるけれど構成は今ひとつ歯切れが悪いかな。「マナーが人を作る」は使い方が悪いと思うよ。ラスプーチン戦が山場。大戦の戦場が派手すぎてスパイのアクションが埋没した感はあります。秘密兵器があまり出てこないのも反省点じゃないかしら。

【キングスマン:ファースト・エージェント】【20世紀フォックス】【マシュー・ヴォーン】【超過激スパイ・アクションシリーズ】【レイフ・ファインズ】【ハリス・ディキンソン】【リス・エヴァンス】【ジェマ・アータートン】【ジャイモン・フンスー】【ボーア戦争】【西部戦線】【ロシア革命】【召使いネットワーク】
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「ダイヤモンドは永遠に」 イアン・フレミング

2022-01-07 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「実際に行うより、小説で読むほうがいいわよ」
 ティファニー・ケイスなら、この死とダイヤモンドの顛末をこう評するだろう。

 上司Mよりダイヤモンド密輸ルートの解明を命じられたイギリス秘密情報部員007ことジェームズ・ボンドは運び屋のフランクスと入れ替わり、監視役のティファニー・ケイスの手引きでニューヨークへダイヤを運びこんだ。
 密輸ルートを仕切っていたのは、アメリカのギャング団スパングルドだったのだ。しかし、その背後には謎の首魁ABCが存在していた……。

 シリーズ4作目で「死だけが永遠だ」という言葉に対して「ダイヤモンドも永遠だ」という、なにか宝石商のCMのようなテーマが与えられたアクション活劇。敵方の美女が寝返るのもいつも通り。

【ダイヤモンドは永遠に】【イアン・フレミング】【ユナイト映画】【創元推理文庫】【クイーン・エリザベス号】【ラスベガス】【ピンカートン探偵社】
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「ロシアから愛をこめて」 イアン・フレミング

2022-01-06 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ソ連職員タチアナ・ロマノーヴァ伍長が暗号解読器スペクターを手土産に西側亡命を求めているという情報を入手したMI6はジェームズ・ボンドを送り込むが、それはソビエト連邦の秘密情報機関スメルシュの罠であった。
 スメルシュは西側の情報機関に打撃を与えるため、その象徴とも言うべき情報部員ボンドを殺そうと、チェスの天才にしてスメルシュ企画課長のクロンスティーンが立てた計画を遂行していたのだ……。

 東西冷戦のさなか。とりあえず共産主義国家を敵にしておけば冒険小説が成立していた時代の代表作。
 フレミングによる「ジェームズ・ボンド」シリーズの5作目で、確かに作者が主人公を殺してシリーズを終わらせたかったことが想像できるラストシーンです。逆に言うと、続編を書かせたい編集者がよくこの終わらせ方を許したな……という感想。最近、新訳が出たけれど、こちらは1964年版。ショーン・コネリーをレイアウトした表紙が時代を感じさせます(裏表紙はダニエラ・ビアンキ)。

【ロシアから愛をこめて~秘密情報部007号】【イアン・フレミング】【ショーン・コネリー】【ダニエラ・ビアンキ】【ユナイト映画】【創元推理文庫】【007危機一発】【暗号解読器】【オリエント急行】
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「ミスターサルトビ」 宮崎惇

2021-06-15 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「この男、野球賭博団のボス林隆徳」
 警察官が見つけた男は、拘束された上に罪状を記したメモが付けられていた。
 謎の主人公が悪人を罪状を記した紙と共に官憲の前に転がしていく……というのは『快傑ズバット』みたいね。文句がそのまま。

 暴走トラックに轢かれそうになった少年、鈴村英夫を救った青年は、なおも走ろうとするトラックを念の力で急停止させた。英夫とその姉の早苗は、この青年にミスターサルトビのあだ名をつけたのだが……。

 身軽に飛び回るだけでなく、念の術で暴走トラックの動きを止めたり、人の心を読んだり、獣を操り、腹話術で相手を欺いたりする謎の青年、佐武郎ことミスターサルトビが、さまざまな事件や悪人に挑む連作短編集。講談社の少年少女小説シリーズとして1969年に刊行されていたジュヴナイルを、1976年にソノラマ文庫から復刊させたもの。ただ、講談社版のタイトルは「ミスターサルトビ」、ソノラマ文庫は「ミスター・サルトビ」。だいたい日本のフィクションでは、忍法か南蛮の技術と言い張ればなんでも通るのです。
 作者の宮崎惇はSF作品やマンガ原作者として活躍した人で、原作を担当した『聖マッスル』が有名で、『ゴルゴ13』とかにも参加していたらしいです。そっかー。

【ミスターサルトビ】【サルトビ登場】【救え、日本シリーズ】【交通戦争】【にせ札を追え】【宮崎惇】【吉田郁也】【ソノラマ文庫】【現代の忍者の活躍を描く痛快アクション】【忍者】【日本シリーズ】【暴走トラック】【腹話術】【催眠術】【読心術】【誘拐事件】【忍法風すかし】
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「ビバ!マリア」 監督ルイ・マル

2021-06-01 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「Ave Maria and Maria!」

 アイルランド人革命家の娘マリアは官憲に追われて潜り込んだ旅芸人ロドルフォのキャラバンで、マリアという踊り子と出あう。ちょうど相方を亡くしたばかりの踊り子マリアは、革命家マリアを新たな相棒として興行を続けることにしたのだが、ロドルフォ一座が興行中の中米サン・ミゲルは資本家と軍と教会が支配する貧富の差が激しい地域。あろうことか、踊り子マリアが囚われの若き革命家と恋に落ち、彼の遺志を継いで革命を成し遂げると言い出した……。

 内容的には、ガール・ミーツ・ガールでストリップショー経由の革命闘争、大戦争。
 社会派映画やドキュメンタリー映像で売り出した気鋭の監督ルイ・マルが、当時のフランス映画界を二分していた人気女優2人を主役に、西部劇のバディものを女性に置き換えて作った超大作コメディ。前半の伏線を終盤で回収しつつギャグにしていくセンスが大好きで、興行的には大成功したけれど、映画評論的には最低だったらしい。2人のマリア(1号と2号)が互いに張り合いながら、人気を得ていく過程はそのまま撮影風景に重なるらしいです。
 女性2人のアクション作品って意外に多くなく、『チャーリーズエンジェル』みたいに3人5人とチームものになるか、女×男のコンビになることが多いのですね。女性のバディものというと、『ダーティペア』(1979)、『女刑事キャグニー&レイシー』(1982)、『デンジャラス・バディ』(2013)……あれ、もうちょい無かった? 50年前の映画なので、今の目で見ちゃうといろいろ残念なところがあって、その最たる部分は女優のアクションに迫力がちと足りないところ。これ、リメイクしてくれないかしら?
 
 前にLDは持っていたけど字幕オンリイで、凱旋興行がカットされたバージョン。今回のBlu-rayは、「月曜ロードショー」の放送2回目バージョンの吹き替え収録。ブックレットもストーリー紹介と作品解説が付いた16頁と読み応えあり。

【ビバ!マリア】【VIVA MARIA!】【ルイ・マル】【ジャンヌ・モロー】【ブリジット・バルドー】【デビット・ハミルトン】【KADOKAWA】【ダブルマリアのダイナマイト人生】【装甲列車】【革命】【機関銃】【バディ】【曲射銃身】
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「バケーションガイド」 ウォルト・ディズニー・ワールド

2020-09-10 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 フロリダのディズニーワールドの開園20周年に、「CELEBRATING MAGICAL YEARS」にはどんなイベントをやるか、今、どんな施設があるかをオールカラー(折り込み込みで)46頁で紹介する小冊子。
 巻頭に来るのがMGMスタジオ(今でいうディズニー・ハリウッド・スタジオ)ってあたりが時代かな。その次がマジックキングダム、エプコットセンターと続きます。そこにはもちろん、マイケル・ジャクソンの姿も。そこからタイフーンラグーン、ビレッジ・マーケットプレイス、ゴルフ場などの紹介がされ、後半はほぼオフィシャルホテルや直営リゾートの案内。
 日本のディズニーランドとかその他のテーマパークも、アトラクションはこれらに負けず劣らずのものになっていますけれど、ホテルだけは勝てません。うん。日本のホテルも豪華で、きれいで、遊び心に富んでいて、サービスも良いのですが、南部の農園をモチーフにした豪華な邸宅とか、カリブ海やポリネシアの島々をモチーフにしたコテージやビラとか、そのホテルの敷地一帯が別空間なんですよね。日本でいうと、オフィシャルホテルが姫路城そっくりとか吉原の街並みまんまとか千と千尋の油屋みたいになっている感じ。土地と自然が余ってないとできない技ですね。
 裏表紙の広告スペースは「PREMIER'S BIG RED BOAT」。ディズニーワールドから豪華客船でカリブ海をクルーズし、ミッキーや仲間たちと一緒に豪華なディナーを楽しむ三泊四日の旅! すげーなー。
 調べたら、このビッグレッドボートは、今はオセアニックの名前でピースボートになっているそうです……。

【VACATION GUIDE】【Walt Disney World Resort 20th Anniversary Edition 1991-1992】
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「名前を聞いたこともない国で、俺はカリスマ作家だったらしい」 Liu-Ⅱ

2020-04-24 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ゆえあって、しばらく隔離されるので……と書くと、このご時世、誤解されちゃうか。
 ちょいとばかり音信不通になって紙の本が手元に置けなくなるので、出先の覚えを兼ねて、何度読んでも面白かった、何度でも読みたくなるウェブ小説をメモしておきます。
 書籍化されていない作品を挙げていくと、けっこうバラエティ豊富です。ウェブ小説は流行りに乗ったワンパターンみたいに言う人は、きっと書籍化作品しか読んでないのですね。

 かつてマンガ誌「週刊少年ステップ」でヒット作を飛ばしたマンガ家、中嶋隆則も一発屋で終わり、鳴かず飛ばずでもう10年。ところが日本ではすっかり忘れ去られていた中嶋も、中央アジアの小国「ヤニベクスタン共和国」ではアニメの影響で爆発的な人気の“カリスマ作家”だったらしい。ところが、招待されて渡航したアジアの辺境で中嶋はクーデターに巻き込まれてしまう……。

 けっしてスーパーヒーローでも超人でもなかったし、そんな存在にはなれもしない男が、危機的状況に追い込まれた時にどう自分の身を守り、そして周りの人々を助けたか、そんなサスペンスとヒューマンドラマとポップカルチャーの物語です。
 文庫1冊くらいの分量で完結してます。執筆への姿勢や作品の評価、作家と編集者の関係といった創作論部分とクーデターに巻き込まれた人間のサバイバルストーリーが両立してきちんと融合した作品。

名前を聞いたこともない国で、俺はカリスマ作家だったらしい】【Liu-Ⅱ】【小説家になろう】
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「大旅行記録」 滬友会

2020-02-17 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 副題は「実録 中国踏査記」。

 昔、上海に東亜同文書院(とうあどうぶんしょいん)という大学がありました。明治34年に設立された日本人学校で、敗戦によって解体されてしまい、引き上げた教師や学生たちが集まって作ったのが豊橋の愛知大学となるわけですが、そこの日本人学生は卒業旅行として中国大陸を旅行するのが常だったそうです。
 卒業旅行と言っても単なる物見遊山ではなく、帰還後は報告書を大学に提出するのが前提で、そのため「スパイ養成学校」と疑われたこともあったのだとか。そりゃあ、5人ほどの学生グループが中国大陸の奥深くまでメモ取りながら移動してたら、そう思うよね。
 その戦火を逃れて日本へ送られたレポートのうちから何回分かを抜粋してまとめたのが本書。おざなりな見聞録でもなければ、取り繕った報告書でなく、学生たちが生身で中国を体験した記録です。収録されているのは「普蒙隊旅行記」(上海-天津-内蒙古 1908)、「入蜀紀行」(上海-武漢-成都 1911)、「香港より北海」(上海-厦門-北海 1912)、「笛聲三万里」(上海-大連-ウラジオストック 1915)、「濱雲蜀水」(上海-香港-雲南-成都-南京 1920)、「青海行」(上海-西安-青海湖-包頭 1921)、「朔北より中原へ」(上海-漢口-包頭-天津 1925)、「北支那紀行」(上海-北京-黒竜江省-京城 1929)、「アムールの流れ」(上海-大連-満州里-黒竜江 1931)のおよそ20年分の一部。

 旅行といっても明治・大正・昭和初期の大陸で、中央政府の権威は失墜していた時代です。しかも旅行先は大陸全土、シベリアからインドまで。卒業旅行と称して軍閥や馬賊が跳梁跋扈している大陸奥地や辺境に送り出す大学といい、平気で出かけていって銃弾にさらされたり濁流にもまれたりしながら何ヶ月もしてからふらりと帰ってくる学生といい、とんでもない時代です。今では無理な話でしょう。
 どこそこで幾らで饅頭を買った、日本で学んだ中国人ほど日本人嫌いになっている、馬賊に襲われ銃弾をかいくぐって逃げた、青竜刀と火縄銃で武装した革命軍に包囲された、こちらでは四川軍が壊滅した、ロシアからの難民と遭遇した、日本人が滅多に訪れないような奥地にまでヨーロッパ人によって大きな教会などの建物が建てられている等々。単に資料の数字だけでは把握できない生きた記録がここに詰まっています。
 旅先で医者のまねごとをしなければいけなくなって、正露丸と天狗目薬でなんとか切り抜けたとか、味の素は賄賂に有効だとか、総じて正露丸・天狗目薬・味の素を大陸旅行の三種の神器というのは、この本で知りました(役立たせる機会は絶対にありませんが)。(2008.8/29 2020/02/17改稿)

【大旅行記録】【実録 中国踏査記】【滬友会】【東亜同文書院】【卒業旅行】【馬賊】【軍閥】【味の素】【近衛篤麿】
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「失われた地平線」 ジェイムズ・ヒルトン

2020-02-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「完全な政治を目指すなら、なるたけ政治はしないことだよ」
 荷運び人、張の言葉。

 1931年5月。革命で騒然とするバスクルから脱出するアメリカ人ら4人を乗せた小型飛行機が行方不明になった。何者かに乗っ取られたのだ。しかし、正体不明の操縦士は飛行中に発作を起こして死亡。飛行機は、ヒマラヤ山脈のさらに奥地に不時着した。
 偶然通りかかった謎の集団に助けられた4人は、不思議な雰囲気のラマ僧院へと案内される……。

 西洋の技術文明と東洋古来の精神文化が組み合わさった不老不死の楽園シャングリ・ラは本当に存在するのか、それとも単なるペテンなのか。正体不明のアメリカ人、女性伝道師、そしてイギリス領事と副領事の4人は、いつしか時が止まったような世界に飲み込まれていきます。「スリルとファンタジー」はあるけれどアクションも猟奇はなく、ただうっすらした狂気が漂う冒険譚でした。
 欧米人視点では秘境チベットなんだけれど、『大旅行記録』とか読んでいると、日本人学生が普通にその辺まで旅行してますよね。で、奥地に分け入った先で欧米人の宣教師が立派な教会を建てているのを見てびっくりするんですが。

【失われた地平線】【ジェイムズ・ヒルトン】【河出文庫】【冒険小説の名作】【崑崙山脈】【シャングリ・ラ】【ラマ僧】【クゥイア・インポッシビレ・エスト】【重慶爆撃】
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「乙嫁語り12」 森薫

2020-01-09 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「できる者、やりたい者がやればいい。彼らがやろうと、私がやろうと同じことです」
 異国の人間がわざわざあちこちの土地の言葉や文化や記録することが必要なのかと言われた言葉に対してのヘンリー・スミス。

 19世紀後半の中央アジアを舞台にイギリス人旅行家ヘンリーを狂言回しとして、年少の美しい嫁「乙嫁」たちの生活を描いた物語ももう12巻。今回は今までの物語に登場した乙嫁たちの暇な一日を描いた「閑暇」など全9編。表紙は爆乳乙嫁と夢乳乙嫁の姉妹妻……というか百合妻。
 パリヤさんはあいかわらずパリヤさんで安心しました。

【乙嫁語り12】【森薫】【ハルタコミックス】【乙嫁ミーツ乙嫁】
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「時の深き淵より」 エドガー・ライス・バロウズ

2019-11-02 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 60年代末から70年代にかけて創元推理文庫とハヤカワ文庫から、それぞれ刊行されていたバロウズの太古世界シリーズの3冊目。創元版は後に全3作が合本として「時間に忘れられた国」として復刻されましたが、こちらは復刊のないハヤカワ版。

 ナチスの潜水艦U33に襲われた商船員たちは逆に拿捕に成功したものの、絶海の孤島キャスバックに漂着してしまった。しかも、Uボートは再びドイツ人によって奪還され、島を脱出してしまう。
 残された航海士ブラッドリーたちは帰還の方法を探るが、島には恐竜や剣歯虎ばかりでなく、自分以外の生き物を殺すことがその文化となっている邪悪な有翼人たちの勢力が存在していた……。

 最近ではまったく見ない巻末解説がポイント。福島正実による秘境SFのジャンル解説やその歴史が、ヴェルヌの「地底旅行」から小栗虫太郎の「有尾人」まで、未翻訳作品も大量に含めて語られているので、それだけでも一読の価値があります。

【時の深き淵より】【太古世界シリーズ3】【エドガー・ライス・バロウズ】【斎藤和明】【ハヤカワ文庫SF】【ロスト・ワールド・テーマ三部作】
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「徹底抗戦都市モスクワ」 小泉悠

2018-06-28 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 モスクワという都市を、軍事都市という視点で刊行した旅行記で、愛国者広場からクビンカ戦車博物館、ブンケル42冷戦博物館、さらには軍事技術フォーラム〈アルミヤ〉までの軍事スポット完全ガイド。
 モスクワ治安機関の制服チェックとか、反政府デモ観戦記まで、秘密主義のようでいて開けっぴろげで、取っつきにくいかと思えばフレンドリーで、でも平和かと思えば突如として緊迫した空気が流れるモスクワという街のあれやこれやを見聞する体験記です。

【徹底抗戦都市モスクワ】【戦い続ける街を行く!】【小泉悠】【速水螺旋人】【名城犬朗】【ホビージャパン】【国防省中央軍事博物館】【赤の広場】【ピャチエターシュカ】【モニノ空軍博物館】【勝利博物館】【ハインド】【ヴァディム・ザドロズヌイ技術博物館】【メトロ】【宇宙飛行士博物館】
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「キングスマン~ゴールデン・サークル」  監督:マシュー・ヴォーン

2018-02-10 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「マナーが作るんだ、人間を」
 天丼ネタ。

 キングスマンとは、ロンドン市内の紳士服店を隠れ蓑にした秘密組織。かつて英国貴族たちが出資して設立した、特定の国家や組織に属さない正義の執行機関ともいうべきスパイ組織だ。このキングスマンがIT実業家ヴァレンタインの野望を打ち砕いたのもつかの間、国際的な麻薬組織がキングスマンに襲いかかってきた。その拠点すべてをミサイル攻撃によって失い、生き残ったガラハドとマーリンは、このような事態を想定されて用意されていた作戦「審判の日」を実行するが、秘密の金庫に保管されていたのは、ただ1本のウイスキーの瓶だけだった。
 2人はわずかな手がかりからアメリカ・ケンタッキー州へと向かったのだが……。

 面白かった。あいかわらずの秘密兵器続出のスパイ活劇。今回はアメリカの従弟組織ステイツマンとの共同作戦。ただ、前作の花火と尻のインパクトが強くて損をしているかな。より下品だし、悪趣味だし、ミンチは花火の代わりにはならないと思います。テーマ曲はカントリーロード。前作のマーク・ハミルみたいなチョイ役かと思いきや、エルトン・ジョンがカメラ目線で大暴れ。なんかクライマックスはすべて持っていかれた気がします。もう70歳なのに、頑張るヒロイン・ポジ。……。
 ランスロットの出番が少なすぎ。次回作に期待。
 そういえば、マーリンはジョン・デンバーが好きだと言っていたなあ。カントリー・ロード熱唱に涙。
 スウェーデン王女ティルデ、リーフレットにも名前がないし、前作こっきりかと思ったらロキシー以上に出番多し。007とは逆だね。スウェーデンの女優さんは知名度が低いからかな?

 3作目があるなら今度はニンジャスパイかと思ったけれど、よく考えたら今なら拠点は香港でカンフースパイとかになりそう。

【キングスマン~ゴールデン・サークル】【20世紀フォックス】【マーク・ミラー】【コリン・ファース】【タロン・アガートン】【マーク・ストロング】【ソフィー・クックソン】【ハンナ・アルストロム】【エルトン・ジョン】【ハル・ベリー】【チャニング・テイタム】【ジェフ・ブリッジス】【ペドロ・パスカル】【ジュリアン・ムーア】【エドワード・ホルクロフト】【サミュエル・L・ジャクソン】【エミリー・ワトソン】【スーパータクシー】【ステイツマン】【投げ縄】【鞭】【老人ホーム】【ロボット犬】
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「素晴らしきヒコーキ野郎」 監督:ケン・アナキン

2018-01-26 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 既にDVDで持っていて、古い映画なので映像的には大差ないのだけれど、テレビ放映時の日本語吹き替えが収録されていたのであらためて購入。収録されているのはホルスタイン大佐の声を滝口順平があててる日本テレビ版。

 ライト兄弟の初飛行からわずか7年後の1910年。イギリスの新聞社が主催して、世界各国から飛行機乗りを集めたロンドン-パリ間の飛行機レースが開かれた。最大の難関はもちろんドーバー海峡だった……。

 138分の映画で、レースが始まるのはおよそ開始後65分くらいから。各国から貴族や軍人や曲芸師たちが集まって、機体調整(というか実質的に新型機開発)しながら本番に臨むまでで丸々半分。吹き替えはもともと2時間枠のテレビ放映にはまるようカットされているので93分。前半はほとんど吹き替えがありません。どうせBlu-rayなんだし、日本語吹き替え版は別途93分版で収録して欲しいなあ。今となっては、テレビ放映短縮版もなかなかテンポが良くなって捨てがたいと思うのだ。
 しかし……わずか50年前の映画とはいえ、石原裕次郎演じるヤマモトの登場する日本って、今なら国辱ものの中国もなにもごった煮にした勘違いニッポンなので『007は二度死ぬ』の不思議ニッポン以上に大笑いです。あれ、グライダーですらないよ、凧だよ! 忍者かよ!
 あと、笑いどころは6役を演じ分けるイリナ・デミックの七変化ぶりですね。

【素晴らしきヒコーキ野郎】【Those Magnificent Men in Their Flying Machine】【20世紀フォックス】【ケン・アナキン】【石原裕次郎】【スチュアート・ホイットマン】【テリー・トーマス】【ジェームズ・フォックス】【ゲルト・フレーベ】【サラ・マイルズ】【ジャン=ピエール・カッセル】【アルベルト・ソルディ】【ゴードン・ジャクソン】【レッド・スケルトン】【ドーバー海峡横断】
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