
作家・吉門喬介の言葉。
観光立県をめざす高知県は、観光部の下にあらたに「おもてなし課」を設置し、高知出身の有名人に観光特使を依頼するが、看板ばかり変えても体質は変わらないお役人仕事。おもてなし課職員の掛水は、特使に依頼した作家・吉門喬介にその手際の悪さや発想の貧困さをめちゃくちゃに罵られ……。
今では観光大使とかふるさと大使とかどこの県も普通にやっていて、ちょっと調べただけでも名前がずらりと挙がってきますが、挙がってくるだけで、部外者が「ああ、なるほど」と納得できるような成果を上げている人は多くありません。すぐにピンと来るのは、滋賀県の西川貴教か栃木県のU字工事くらい。この話の序盤のおもてなし課職員の“お役所仕事ぶり”がごくありきたりな姿だとすると、それも納得かな。
そんなことを考えながら読む前半はちょっと辛い。というか、この話における物語上の困難の大半は、登場人物たちの“お役人気質”にあって、初っ端から前例踏襲、形式主義、縦割り行政、上から目線、反対のための反対……なんてものを連続で突きつけられるとお手上げ気分。それを思うと、「イナズマロック フェス」って凄かったんだなあ……。
ただ、これが動き出すと、話が一気呵成に流れ始め、掛水と多紀の“上司と部下”以上“恋人”未満の関係も良いスパイスになって面白くなります。箸にも棒にもかからなかった職員たちが少しずつ変わりだし、かといって県庁全体が変わったわけでもないので障害はいくらでも出てくるのだけれど、役人の泣き所は役人がいちばんよく知っている!とばかりに反撃しての攻防にもにやりとさせられます。
読後の感想は「なんか馬路村に行きたくなっちゃいました」かな。
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