付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「雪中の奇跡」 梅本弘

2012-06-07 | 戦記・戦史・軍事
 すぎやくんに資料を頼んでいたのだけれど、発見されなかったとのことで別の本が到着。第一次ソ連-フィンランド戦争を描いた『雪中の奇跡』。知りたかった部分については詳しくはないけれど、充分に用が足せたから良しとしよう。不足分はインターネットの英語サイトで補填。図版は記録写真や戦争博物館の実機写真や映画のスチール等でけっこう豊富。満足。

 1939年11月にソ連と小国フィンランドの間で勃発した冬戦争。戦車・装甲車3000両、航空機2500機を擁し、その延べ兵力は150万にも達するというソ連軍に対して、迎え撃つフィンランドは人口すべて合わせても370万人で装備は旧式ばかり。各国はソ連の無法な侵略に抗議の声を上げても積極的に動くことはありませんでした。
 けれどもフィンランド軍は戦い、持ちこたえました。雪に閉ざされたフィンランドでいったい何が起こったのか……豊富な写真とともにその経緯を語ります。

「我々は、我軍の将兵の死体を埋めるのにちょうどよいくらいの土地を獲得した」
 あるソ連の将軍の言葉。

 でも、一般的には「冬戦争」はおろか「独ソ戦」すらマイナーなんだよね。
 大多数の日本人にとって、「第二次世界大戦」とは「太平洋戦争」であり、せいぜい満州までの認識なのかも知れません。
 ただ、いくら正しくても誰も助けてくれないことは幾らでもある、それでも戦わなければいけないときがあるということを突きつけてくれる本書は必読だと思います。(2008-02-12 2012-06-07改稿)

【雪中の奇跡】【梅本弘】【大日本絵画】【フィンランド】【冬戦争】【Model Graphix】
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「アリス×アカデミー」 関涼子

2012-06-07 | 時間SF・次元・平行宇宙
 彼には誰にも知られていない超能力があった。
 それは、その人が生まれてからこの方ついてきた嘘の回数がわかるというものだ。
 特別な嘘つきでなくても人は普通にちょっとした誤魔化し程度の嘘をつく。だが、聖マチルディス女学園の理事長の娘である西園寺ありすの嘘カウンターは0のままだ。信じられないことだけれど、彼女は生まれてこの方1つも嘘をついていないのだ。
 そのありすが彼に告げる。自分の名前はアリス・サイオンジ、宇宙海賊なのだと……。

 平行世界に飛ばされてしまい入れ替わってしまった2人の少女の冒険譚の、学園篇。こちらもエピローグで対となる伏線を張って続編の可能性を匂わせつつ幕。SF映画やSF小説のタイトルをもじった章題も、1章と最終章が2冊共通なのも特徴で、比較して読んではじめて愉しめる気がします。
 試みとしては面白く、講談社の青い鳥文庫とか角川書店の角川つばさ文庫とか集英社みらい文庫とかポプラポケット文庫みたいなところから出しても良かったかなと思います……って、小学館なら小学館ジュニア文庫なんだろうけれど、あそこのラインナップとは微妙に傾向が違うし。

【アリス×アカデミー】【彼女のついたウソ】【関涼子】【深崎暮人】【GA文庫】【生徒会】【土下座】【ナマ足】【ダンスパーティー】
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