
菊乃井の村田吉弘の言葉。
フランスの日本料理について友人と口論した英国出身のフードジャーナリストが、「おまえは日本料理のなんたるかを知らない」と手渡された辻静雄の著作に一念発起。この際、日本の食を徹底的に食べ尽くそうと(勢いで同行することになった妻子と共に)日本に渡って食べて回った3ヶ月の記録。
日本に来て、日本ならではの食事を愉しんだ外国の人の話はちょくちょく読みますが(アンソニー・ボーデインとか)、この人は本当に徹底的に食べて回っています。思い出横丁で焼きそばや焼き鳥を食べ、相撲部屋でちゃんこ鍋、道頓堀でタコ焼きやお好み焼きに串カツ、北海道でカニやラーメン、京都で懐石や流し素麺、博多でラーメンを食べ(とにかく行く先々でラーメンは食べろと言われたらしい)、沖縄でゴーヤや泡盛を堪能と、まさに北は北海道から南は沖縄まで、庶民の味から美食家の隠れ家までとことん食べ尽くしています。残念ながら名古屋には立ち寄っていないようですが、ここまで食べて回っていたら、日本の料理について語る資格は十分あると思います。
そもそも、この旅が辻静雄の本から始まっているので辻調理師専門学校を訪れるのは当然としても、ちゃんと服部栄養専門学校も訪問しているし、そこから「料理の鉄人」に話が飛び、「ビストロSMAP」のテレビ収録を見学してその功績を讃えているという流れ。料理はクリエイティブな仕事であり、別に家庭で男が料理をしていても恥ずかしいことでも何でもないという風潮が形成された過程を追っているのです。
言われてみれば、そういうことなのかなあ……。
「味覚が戻るのに10年かかりましたよ!」
父親にイギリス留学させられた辻芳樹の言葉。
ブースは、なぜ日本のフランス料理の第一人者が、よりによって跡取り息子をスコットランドなんぞに送り出したか理解に苦しんだ。
【英国一家、日本を食べる】【マイケル・ブース】【亜紀書房】【異邦人食紀行】【夕張メロン】【焼きそば】【ちゃんこ】【ポケモン】【ラーメン博物館】【鯖寿司】【相撲】【昆布】【ビートルズ】【ごちそうさまでした】