
小学4年生の斎藤亜璃子は誰よりも勇敢だった。
ミナ=アリス・原田は交際相手のプロポーズを拒絶した。相手の海外転勤についていけない、「父を置いていけない」と。けれども、彼女の父親、原田詩也は彼女が5歳の時に死んでいた。
死んだことになっていた。
原田詩也は不老不死の吸血鬼として、今も彼女と暮らしていたのだ……。
ファミ通文庫で展開していた「吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる」の後日譚。
演劇を題材にした青春小説で、大好きで面白かったのだけれど、売上的には今ひとつだったらしくストーリー半ばの5巻にて打ち切り。読者として不完全燃焼だったところにこの1冊。
ただ、もともとのシリーズが好きだったので、この主人公・詩也の娘の視点から綴られる物語は、面白いけれど辛くもありました。
ここで語られている物語の大半が、本当はシリーズ本編として語られるはずだった物語の断片と思われるので、これらのエピソードは完全版として読みたかった。この話はミナの物語としてだけ読みたかった。
挿話として読めるだけ幸せなのかも知れないけれど、「オズの魔法使い」と亜璃子の物語とか、繭奈と弟の物語とか、雫といちこ女史と「あやかし姫の恋」の顛末とか、それこそ「屋根裏の散歩者」「千夜一夜物語」「ファウスト」とかまでちゃんと読みたかったな。
【吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる~Long Long Engage】【野村美月】【竹岡美穂】【エンターブレイン】【カドカワ】【×のドラマティック青春ノベル】【ある吸血鬼の過去と現在の物語】【演劇】【吸血鬼】