付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「転生! 太宰治」 佐藤友哉

2018-10-26 | 過去転移・人生やり直し
「題を見ただけでは。なにがなんだかわからない本があふれているというのは、今が、余白を楽しめる時代となったということです」

 一頃、ラノベの新刊はシリーズ物の続刊以外はすべて買っていて家計をかなり圧迫したのだけれど、そのうちウェブ小説の書籍化が新刊の大半になっちゃったんで、まず小説家になろうとかカクヨムで書籍化作品は最新話まで読み、そこで面白くて、話がだれず、イラストや装丁もしっかりしているものを中心に購入するようにしたのだけれど、そうすると、なろうを読むのに忙しくて買った本を読む暇がないのね。

 そんな中で久々に中身を読まずに買ったのが、この本。イラストは『幼女戦記』でお馴染みとなった篠月しのぶ。
 転生といっても、信長の弟とか兄貴になったとか乙女ゲームのヒロインになったとかいうパターンではなく、入水自殺したはずの太宰治が気がついたら現代の東京に濡れ鼠で立っていて……という『帰ってきたヒトラー』パターン。
 ただ、ヒトラーが政治に絡んで生々しい風刺劇になったのに、こちらは文芸とかブログとかカルチャー方面なので、まだ笑って読めます。というか、自分の死や作品について語る同業者の文に一喜一憂したり、自分の自殺遍歴をさんざん揶揄した川端康成が自殺したのを知って「人のことあれだけ言っておいて」と怒ったり、書店で自分の本が未だに美少女写真とかが表紙になって売っているのを喜んだり感心したり、勢い余って転生ラノベを買い込むあたりは可愛いよね。ただ、いきなり心中しようとするのはやめてください、太宰先生。

【転生! 太宰治~】【転生して、すみません】【佐藤友哉】【篠月しのぶ】【星海社フィクションズ】【メイド喫茶】【地下アイドル】【カプセルホテル】【芥川賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする