付け焼き刃の覚え書き

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「八城くんのおひとり様講座」 どぜう丸

2021-07-19 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人には、人ごとの性質というものがある。性質には限界がある。できること、できないことが。そこを間違えたら悲しいことになる」
 人は自分にできる事をするしかないのだから、無理はするなと寅野つぐみ。

 八城重明は他人とつるむのが好きではない。いわゆる「ぼっち」で「陰キャ」だ。しかし、そんな八城にリア充グループの人気者である花見沢華音が「私に、一人の過ごし方を教えてほしいの!」と頼み込んできた。四六時中誰かと居るのも疲れてしまうけれど、いざ一人になると何をしたら良いか分からないというのだ。
 嫌々ながら、一人で楽しく過ごすための「ぼっち術」を教えてみることにしたのだが……。

 リア充非リア充とか陰キャ陽キャやらを対立させるラブコメが一頃流行っていたけれど、多様性の時代ってそういうものが対立しなくても良い状況のことだよねと、「ぼっち=一人でも平気な強い人」とか「ぼっち=人づきあいの苦手な陰キャ」みたいに見るのではなく、性質が違うだけだし気分ってあるよねと、表と裏からの二本立てで優しく見守りながら描く青春ラブコメ。つまり対立解消後の新世代小説。見方によっては主人公を変えた中編2本。
 読後感は、ともかく「みなさま、お幸せに」……かな。

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