付け焼き刃の覚え書き

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「魔術師クノンは見えている」 南野海風

2022-04-13 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「ふふふ。剣術なんてものはですな、元々まともではないのですよ。弱い奴が強くなるために身に付ける技術ですからな。
 自然界で言えば、弱者が強者へと変じる不自然な行為なのです。これをまともと言えますかな」

 老師オウロはそう言って笑った。

 倒された魔王の呪いか、英雄の家系にはしばしば何らかを失った者が生まれるという。
 クノン・グリオンは生まれた時から目に光が失われていた。本人や家族にとっては不幸だけれど、この盲目の少年の誕生は国家にとっては慶事であり、ヒューグリア王国の第九王女ミリカ・ヒューグリアとの婚姻も7歳にして決まっている。
 大好きな家族の顔も見えない、聞こえるのは婚約者となった少女の陰鬱なため息。
 けれど、そんな少年の生活が決定的に変わったのは、彼に水魔法使いとしての才能が見いだされたこと、そして家庭教師ジェニエとの出会いだった……。

 メモしたはずのデータが見つからないので、再度まとめてみる。

 盲目で陰鬱な少年が魔術の取得と侍女の影響で変に陽気になっていき、今までの反動か周囲もツッコミが難しい言動で周囲を振り回していく成長譚。ポジティブ過ぎる侍女イコとのコンビネーション、ひどいことを笑顔でさわやかに言い放つ主人公との会話が愉しいです。着任して早々教えることがなくなって悶絶して四苦八苦するジェニエの奮闘も素晴らしい。
 出会いと別れの1巻。

【魔術師クノンは見えている】【南野海風】【Laruha】【カドカワBOOKS】【天才少年の発明ファンタジー】
コメント
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