「ミスター・スポックは、実はユダヤ人だったというわけさ」「長寿と繁栄を」のバルカン式挨拶は、ユダヤ教の祝福のポーズから来ているとレナード・ニモイは語る。
テレビドラマ『宇宙大作戦(スタートレック)』も続編や外伝シリーズが延々と製作されているため、1966年開始の初代は今では「The Original Series (TOS)」と呼ぶか「宇宙大作戦の方」で区別しますが、本書では「クラシックシリーズ」と区分。そのクラシック版について、主に出演者やスタッフへのインタビューを中心にまとめたものです。
第１章は最初のシリーズ企画が立ち上がり、却下されたり手直しされたりしながら、試行錯誤で作品が作り上げられていくショービジネスの世界の顛末を、ミスター・スポックを演じたレナード・ニモイの半世紀と共に語ります。ピーター・フォークでもテリー・サバラスでもテレビ番組で人気者になるとそれでイメージが固まってしまい、視聴者から役者本人とキャラクターを同一視されるようになって苦悩するものなのです（昔ＮＨＫが放映していたイギリスBBCが制作したドキュメンタリー『ヒーロー達の20世紀』(1993)でやってた）。
第２章ではニモイ以外の演者へのインタビューを中心に当時の現場の様子を語ります。役が与えられた経緯とか、シャトナーはスポック人気に自分の出番が減らされないかとセリフの量を毎回かりかりチェックしていたとか……。
第３章は、本放送後の映画シリーズ６作の制作日記で、ちゃんと『スタートレック２』のリカルド・モンタルバンにも取材してます。
あとは、ソフト・カタログとして当時日本で手に入る書籍・ビデオ・ＬＤの商品紹介。このあたりは完全に日本オリジナル。合間にＳＦ作家・斎藤伯好のコラムが入ったり、『ネクスト・ジェネレーション』や『ディープ・スペース・ナイン』の写真が掲載されていたり。写真はスナップとか集合写真、ポートレイトが多いかな。
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