付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

★戦略級MMO転生

2023-04-15 | ランキング・カテゴリー
 転生ものというジャンルがあって、その中に物語世界、ゲーム世界への転生があって、その中で多数勢のファンタジーRPGとか、乙女ゲームとか、FTPとかあるのだけれど、その中で戦略級ファンタジーゲーム世界への転生というのもときどきあります。
 プレイヤーが主にモンスター勢を集めて軍団を編成して、他のプレイヤーと勢力争いするゲーム世界への転生。『大戦略』とか『信長の野望』とかのファンタジー版。ボードゲームなんかでもちょくちょく見かけます。
 話としては、よくあるファンタジー世界にいきなり一国の戦力を凌駕するモンスターの軍団が出現! そんなものが近所に湧いて出た国も困惑するけれど、ただの人間なのにいきなりそんなモンスター軍団の首魁に祭り上げられているプレイヤーも困惑。ゲームと違って、こいつら本当に言うこと聞いてくれるんだろうな?……というのがスタート時の基本スタイル。物語としては、異世界に来たけれど人間の世界からは拒絶され、モンスターと呼ばれる相手の方がむしろ話が通じるのでつき合いだしたら巨大勢力になってしまった……という『月が導く異世界道中』などに代表される展開が王道でしょうが、その大勢力の成立過程を「ゲームで頑張って強くした」と省略してしまうところがポイントです。

オーバーロード』 丸山くがね(2010)
 一世を風靡したMMORPG「ユグドラシル」もサービス終了。ところがギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の拠点に残っていたギルドマスターのモモンガは、自分がログアウトできないことに気がついた。しかも、ノンプレイヤーキャラクターであるギルドの下僕たちが意志を持って話し始め、拠点の周囲は見知らぬ異世界になっていたのだが、問題は『アインズ・ウール・ゴウン』はPCもNPCもモンスターばかりで、PK上等の悪役プレイに徹していたということで……。 
 MMORPGをプレイしていたはずなのに、ログアウトできなくて、気がついたらゲームがリアルになっていた……という最近流行の異世界召喚のバリエーションでファンタジーの王道。ただし、主人公側が冷酷で残忍で人間国家がどんどん破壊されていくのに、むちゃくちゃ強くて人間にはどうしようもなくて翻弄されていくあたり、単純な異世界転移ものではなく、相手側から見たディザスター、カタストロフものと理解した方がいいかもしれません。

エステルドバロニア』 百黒雅(2012)
 VRMMOの中でもクソゲーとの評価の高い戦略ゲーム「アポカリスフェ」がメンテナンス開始前にトラブルから運営がシステムを強制切断。それによって脳が焼き切れた青年は、気がつけばゲームそのままの世界に立っていた。支配するのは魔物の国家エステルドバロニア。しかし、その王カロンはあくまで非力な人間、ゲームなら反乱が起きてもデータの増減だが、この世界ではどうなるか予想もつかない。一癖も二癖もある配下の扱いを1つ間違えたら死にかねないのだ……。
 異世界で魔物の王を務めることになってしまった青年が、それぞれ好き嫌いの激しい国民をまとめ、周辺諸国と対抗しながら発展させていく冒険譚。

魔王様、リトライ!』 神埼黒音(2016)
 ゲームの開発・運営をしていた大野晶は、世界の6割を支配する大帝国を支配する「魔王」と呼ばれるキャラにログインしたまま異世界へと飛ばされてしまっていた。そこはまったく未知の世界だったが、400万人を超える人間の殺戮に関与した委員会の長官としてのステイタスは健在であり、なぜか制限がかかっているとはいえ管理者権限さえ部分的に行使できる姿はまさしく魔王であった……。
 どこにでもいる社会人が、圧倒的な力を持つ「魔王」となってしまった異世界放浪譚。中身は小心者の一般人でも能力は魔王級。召喚した腹心NPCはゲームの世界が現実だという認識で、フレーバーテキストとしてのサイドストーリーも現実にあった過去の出来事。新たな世界で大帝国を立ち上げるぞと野望に燃える部下たちを、魔王が取り繕おうとその場その場で適当な言い逃れをするのを、まさに先読みの先を読むものと誤解してさらに忠誠を篤くするインフレスパイラルの作品。

異世界国家アルキマイラ~最弱の王と無双の軍勢~』 蒼乃暁(2017)
 魔物の軍団を指揮して覇権を競い合うVRシミュレーションゲーム『タクティクス・クロニクル』をプレイしていた大学生が、プレイ中にそのまま異世界転移していた。仮想ゲームの世界では無い現実の異世界に、ゲームでの拠点である街ごと、無数のモンスターの軍団とその幹部ごとである。戦闘力が皆無の脆弱な人間にすぎないプレイヤー、アルキマイラ国王ヘリアンにこの一騎当千の魔物を掌握し、紛争が続く周辺諸国との国交が樹立できるのだろうか……?
 異世界で魔物の王を務めることになってしまった大学生が、あれこれ苦悩しながら成長し、国をまとめて発展させていく冒険譚。大学の授業はしっかり聴いておくもんです。

異世界黙示録マイノグーラ』 鹿角フェフ(2017)
 戦略級ファンタジーSLG「Eternal Nations」に似た異世界に転生してしまった伊良拓斗だったが、彼の勢力は邪悪属性文明「マイノグーラ」。ゲームそのままではないけれど、属性がすべてに影響する世界で、善の勢力とは無条件で敵対してしまうため、なんとか中立陣営と交流誌ながら邪神ポジの足場固めしていこうとするのだが、その前に別のシステムのゲームから転生させられた魔王軍が出現する……。
 2人きりの再スタートから始まる「シミュレーション系のゲームでプレイしていた勢力丸ごと異世界転移」。シミュレーション系とかRPG系とか、それぞれ理(ルール)の異なった勢力がぶつかりあうことになる展開に、現地人には大迷惑な話です。
 

コメント
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