付け焼き刃の覚え書き

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「幻の黒船カレーを追え」 水野仁輔

2017-10-23 | 食・料理
「だいたい学者というのはね、文献を信用しすぎるんです」
 隠したい事実は誰も文章になど残さないと五島軒の若山社長。

 京都に京風ラーメンがなく、広島に広島風お好み焼きがなく、台湾に台湾ラーメンがないように、欧州には欧風カレーはない。そして日本のカレーライスはインドのカレーとはまったく違うし、イギリス経由で入ってきたと言うけれど、いつどうやって……となると分からないことばかり。本当にイギリスから来たのだろうか?
 そんな疑問を解決すべく、カレー好きが高じて仕事になった著者が、妻子を置いてカレーのルーツを求め、長崎、函館、横須賀、舞鶴と日本全国、さらにはインド、イギリス、ドイツ、スイスと世界中を飛び回る。

「私に言わせればね、あんなのは手抜きをしたいコックのやることですよ」
 タマネギを炒めたりはしないとレストラン吾妻の竹山正昭シェフ。

 その過程で浮上してくる新たな謎。タマネギを飴色になるまで炒めるというのはもはやカレー作りの基本だけれど、そんなの味に関係ないという。ならば、最初にタマネギが形が残らなくなるまで脱水して炒めろとは誰が言い始めたのか?

「よく海軍は毎週金曜日の昼がカレーだったって話を聞くでしょう。でもね、私の知る限り、旧帝国海軍にそんな習慣はなかったんですよ」
 海上自衛隊舞鶴基地の広報担当者の話。

 いろいろ掘り起こされてくるエピソード。
 そして欧州へ。
 ブレンドされたスパイスという意味でのカレー粉はあるけれど、カレーライスはどこにある。日本にイギリスから伝わってきたらしいというカレーは?
 そして立ちふさがる誤訳の壁。
 ぱらぱらっと書店の店頭で軽く立ち読みし、面白かったのでそのまま購入。

「新生児と2人の子供を抱え、日々を送ることがどれだ大変でどれだけ孤独なのか、あなたにも少しはわかってほしい」
 日本からインドに届いたメール。

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