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情報局所属の公認ESP、アン・ジュールは人によって「正しい考え方」というのが変わるのも当然だとセイ・ペンタ・テュパールに告げる。
レッド・星(セイ)と呼ばれている上区を仕切る不良グループのリーダーの正体は、古き良き伝統を今に再現するお嬢様学校、聖フェミニン女学校に通う黒髪の美少女、徳永星である。
だが彼女には保護者であるパパ・シュウしか知らない秘密があった。セイは地球には存在しないはずの第5世代(ペンタ)の火星人だったのだ……。
犯罪者の流刑地であり、恒星間戦争のあおりで一度はロスト・コロニーとなってしまった火星に生き残っていたのは、世代を重ねることで超能力を身につけて過酷な環境に適応してきた白い髪に赤い目だった……という設定で始まるSFコミック。地球人と火星人、超能力者と能力を持たない者、人類と銀河系文明とさまざまな対比が行われ、対立が生じ、誰にもコントロールできない(しかし自分たちならできると信じている)未来へと物語は流れていきます。
まともなSFマンガを読みたければ「まず少女マンガ!」というのが常識みたいだった1970年代末期の作品で、掲載誌は「週刊少女コミック」。この「スター・レッド」は自分の周りでは日本SFの神髄みたいな扱い。モノ・ジ・トリ・テトラ・ペンタといったギリシャ数字の数え方は科学で学ぶより先にこれで憶えました。
それ以外の人の評価はどうかと思えば1980年に第11回星雲賞コミック部門を受賞していますから、その時代のベストと考えても良いのでしょう。
21世紀になってリメイクされた『宇宙戦艦ヤマト2199』においても、火星出身者という設定のパイロット・山本玲が白い髪に赤い目というのも、その名残ではないでしょうか。
日本SFにおいて「火星人」というものはタコ型ではなく、白い髪に赤い目というのがお約束になったのです。るーるー。
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