付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「オリンポスの郵便ポスト」 藻野多摩夫

2017-06-15 | 破滅SF・侵略・新世界
「いい? 自分が人間ではないと思った瞬間から私たちは本当に人間から遠ざかってしまうの。でも、私が自分のことを人間だと思えば、私たちは人間なの」
 長距離郵便配達員エリスの言葉。

 火星植民が始まって200年、隕石嵐の衝突から始まる内戦によって文明が崩壊し、地球との連絡が絶たれておよそ100年。テラフォーミング半ばで放棄された火星は静かに死を迎えようとしていた。
 郵便配達員として働く17歳の少女エリスは、太陽系最大の火山、オリンポス山の天辺にあるという郵便ポストへの配達任務が与えられた。もう誰も足を踏み入れたことのないエリアだが、そこにある郵便ポストに投函された手紙は、神様がどこへでも、誰にでも届けてくれるという都市伝説があるのだ。
 届けるものは依頼者自身。全身機械化された初期移民の生き残り、改造人類(レイバー)のジョン・クロ・メールだった……。

 あるのか無いのか分からない都市伝説のもとに送り出された少女と壊れかけたサイボーグ兵士の旅の物語。
 生きることの意味を問いかけるロードムービーで、良くも悪くも諦めない人間たちを描いたSFで、人生で最初に出会う本がこんな本だったら幸せでしょうね。

【オリンポスの郵便ポスト】【藻野多摩夫】【いぬまち】【電撃文庫】【テラフォーミング】【軌道エレベーター】【バイオスフィア】【ジャックと豆の木】【ゾウの墓場】【宇宙戦争】【ロケットパンチ】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「レーベンスラウム~共栄圏... | トップ | 「ドイツ・アメリカ連合作戦... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

破滅SF・侵略・新世界」カテゴリの最新記事