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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

うずまき猫のみつけかた

2012-08-13 16:33:05 | 村上春樹
村上春樹 1996年 新潮社
いやさ、村上春樹をなるべく順に読み返してんだけどね。
長編小説にくらべて、エッセイはすぐ読める。
(小説は、読みだしちゃえば時間はかかんないんだけど、そのぶん一気に読む時間をあらかじめ作っといてから取っ掛かるのが望ましいんで、走り高跳びに向かうかのように集中してスタートできるタイミングをはかったりしてる。)
これは「村上朝日堂ジャーナル」ってなってるんで、村上朝日堂の一環なんだろうけど。
(つまり、安西水丸氏の絵がついてる。)
書かれたのは、1994年から翌年にかけて、村上さんがボストンの隣のケンブリッジに住んでた時期のこと。
なので、ボストンマラソンへの参戦とかについても書いてある。
村上さんは、夜更かし・深酒をするタイプぢゃなくて、早寝早起き、毎日ランニングして、原稿の締め切りにも遅れないという健康的な作家として有名なんだけど、そんなこんなで、
>この本の基本的メッセージは「一に足腰、二に文体」です。
と最初に宣言している。
でも、書いてあることは身体と文章力の鍛え方なんかぢゃなくて、近所の猫のことのほうが多かったりするんだけど。
でも、いま読むと、おや?この本にこんなことが書いてあったっけ、って改めて発見することもある。
ひとつには、
>そういった「小確幸」のない人生なんて、かすかすの砂漠のようなものにすぎないと僕は思うのだけれど。(118p)
で出てくる、その後も村上さんのエッセイ雑文のなかで、大きな位置を占める(と私は思う)“個人的な「小確幸」(小さいけれども、確かな幸福)”についての言及。この語の登場というか定義づけって、この本からだっけ?
もうひとつ今回気になったのは、
>僕は学校を出て以来どこの組織にも属すことなく一人でこつこつと生きて来たわけだけれど、その二十年ちょっとのあいだに身をもって学んだ事実がひとつだけある。それは「個人と組織が喧嘩をしたら、まず間違いなく組織のほうが勝つ」ということだ。(65p)
ってとこ。これって、あの「壁と卵」スピーチの元なのかなあと。
このころから、というかジャズ喫茶始めて生活しはじめてから、ずーっとベースの考え方って変わらず持ってたものなんだろうなと。
ほかに、気になるといえば、
>でもアメリカに住んでいると、けっこうマリファナを吸う機会はある。(略)あえて断る理由もないから「やろう」ということになって、
なんて、私が初めて読んだ当時は引っ掛んなかったんだけど、けっこう大胆に衝撃的なこと書いてあったりするとこもある。
そんなこと気にするのは、しょうむないんだけど。(なぜか村上さんの表記は、「しょうもない」ぢゃなくて「しょうむない」なのに気づいちゃったら、これがまた気になって気になって。関西弁なの?)
コメント
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