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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

選挙・投票行動

2012-09-17 20:10:10 | 読んだ本
小林良彰 2000年 東京大学出版会
いやあ、前々回、選挙の話になりかけたんで、そんなつながり。
「社会科学の理論とモデル」シリーズの第1巻なんだけど、第2巻以降の10冊は持ってないよ。
実際の選挙結果と、投票行動≒どういう人がどういう理由でどういう投票をするのか、の理論(数理モデル)と、これまでの実証分析の成果を多数紹介してる本。
数理ってのは、理屈ね。
人間ってのは、いい加減でいて複雑な考え方したりする生き物なんだけど、まあ学問の対象としては、自分の利益を最大化しようとするという仮定に立って、社会的な行動を予測とかしないと、議論になんないよね。
だから、投票することで自分の得る効用と、投票にいくコストを比較して、コストのほうがでかければ棄権するとか、そういうモデルっていうか計算式を考えたりして。
候補者側からみると、より多くの有権者の票を獲得するためには、極端な方角に走ると支持が少なくなる、だから一番多そうな意見のとこへ寄っていく、そうしてくと二大政党制であっても、二つの陣営は同じとこ目指してくんで、有権者にとっては選択肢がなくなる、とか。
実際にあった選挙についての計量分析のほうは、日本だけぢゃなくアメリカの例とかも多数ある。
社会科学における計量分析において、なにが面白いって、本来数字ぢゃ表せないものを、どうやって変数に入れてくかっていうアイデアづくりである。
たとえば、選挙が接戦だったら投票に行く=自分の一票が重要な価値をもつなら投票する、ってのは、いかにもありそうな人間の心理。それが投票率に反映されたかどうか証明しようとするんなら、どうするか。たとえば、当選者と次点の者の票数の差を変数にする、とか自分で考えださなきゃなんない。(どっちが鶏・卵って議論は免れないんだけど。)
いわゆる理系とちがって、実験データとかだけぢゃなくて、無理くり自分で説明変数をつくるのが、楽しいんだよね。で、それがハマッて、いい結果(うまい説明)が出たら、これに勝る喜びはない。(実験室で再現不可能なものを科学とは言わない、とか言われちゃうと困るんだけど。)
いわゆる政治的な影響みたいなものを調べて抽出するのが目的の場合、説明変数のなかに、「これで決まるべきもの」と「これで決まっちゃいけないもの」を入れるのがコツですね。
単なる議席数予測のためだけぢゃなくて、人間の社会的行動≒他人にも係る意思決定がどう行われてるのか、なるべく客観的に分析すんのは、大事なことです。
第1章 「選挙・投票行動」に関する理論とモデルを学ぶ意味
第2章 投票参加に関する理論とモデル
第3章 投票方向に関する「地域特性」による理論とモデル
第4章 投票方向に関する「社会的属性」による理論とモデル
第5章 投票方向に関する「政党支持」による理論とモデル
第6章 投票方向に関する「争点態度」による理論とモデル
第7章 投票方向に関する「政治信頼」による理論とモデル
第8章 投票方向に関する「業績評価」による理論とモデル
第9章 投票方向に関する「候補者評価」による理論とモデル
第10章 投票方向に関する「選挙運動」による理論とモデル
第11章 「選挙・投票行動」に関する理論とモデルの課題
コメント
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