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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ステーキを下町で

2015-10-01 20:08:31 | 読んだ本
平松洋子 画・谷口ジロー 2015年8月 文春文庫版
『孤独のグルメ2』の巻末に解説文を寄せている平松洋子さんの本。
『サンドウィッチを銀座で』がけっこうおもしろかったので、この夏に文庫の新刊がでたところを買って読んでみた。
初出は2010年7月から2012年12月の月刊誌に掲載されたものらしい。さんまが不漁だとか、地震で存続が危ぶまれた「うに弁当」を食べにいくとか、そういうのは当時の話題だったんだろう。
さて、個々の料理はいいとして、著者の
>(略)いつのまにか、やわらかいことがおいしさの条件になってしまった。(略)おとなのごはんは離乳食ではありません。(略)噛んで、噛みしめなくて味わわなくてどうする。(略)(p.161「ぐっと噛みしめる」)
みたいな意見には、おもいっきり同意しちゃいます。
だけど、レモンかけちゃうのは同意できない。
>(略)はらりとほどけたごはんにもウニの味わいがじわっと沁みこんで、まことに上品な味わい。添えた薄切りのレモンを搾ってみると、きりっとさわやかな切れ味がいや増した。(略)(p.211「三陸の味、北リアス線に乗って」)
って、せっかくウニおいしいのに、それはないでしょう。
さてさて、一読したとき一番おもしろかった章は、餃子の王将でした。
料理の味というよりも、会社の基準の原価率を守れば、どんなメニュー出すかは店長の裁量に任されてるんだとかって、お店のシステムみたいな話が興味深い、そりゃ知らなかった。
もう何年も私自身は餃子の王将には入ってないけど(これは近くに店がないとこに住んでたのが長かったのと、量多いのは食えなくなったことによる)、むかし誰かに聞いたことには、メニューの書き方で大阪流だか京都流だかのふたつの系統があるとかって話だったと思うんだが、なんかそういうわけでもないらしい。
メニューの名前となかみと値段を律儀に書いてたりするが、たとえば炒飯について「ごはんに独特のパラパラ感と風味があるのは、あらかじめ味をつけて炊いているからだ。(p.131「はじめての「餃子の王将」」)」なんて細かい取材情報があると、食いもの・料理についてはどうでもいいと言いつつも、やっぱ妙にひきこまれる。
それでもなんでも、最高のつけあわせは、2頁見開きか1頁の、谷口ジロー氏のマンガである。
コンテンツは以下のとおり。
・梅さんの豚丼
・黒豚ラブ
・津軽の夜はいがめんち
・朝の大衆酒場、夜はスナック
・ステーキを下町で
・てぃーあんだの味
・はじめての「餃子の王将」
・根室のさんまにむせび泣き
・ぐっと噛みしめる
・鮟鱇がもっくもっく
・赤目四十八瀧、運命のうどん
・三陸の味、北リアス線に乗って
・ただいま東京駅、発車時刻三十分前
コメント
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