村上龍 1988年 角川書店
あるだけ読み返してる村上龍の小説。
1998年10月5日発行だけど、私の持ってるのは同年11月5日で既に4版を重ねている、けっこうすごいね。
短編小説集っていうか、連作って言ったがいいんだろうか、登場人物は同じかどうかよくわかんないけど、それぞれの話に直接のつながりはなさそうだけど、まあ似たような雰囲気でできている物語の集まり。
主人公になるのは女性で、“ママさん”に命じられて仕事することになるホテルの部屋へ派遣されて、バッグに入ってる道具がそこらへんへブチまけちゃったら恥ずかしくなる代物で、プレイの最中には「お前にはもう人格はないんだ」とか言われて、無理やりいろんな言葉を口に出して言うことを強要されたりして、あとはとにかくネバネバ・ベトベトって、そういう感じのお仕事をする、うら若き女性たちの語る物語。
文体がね、たぶんこれ用に開発したんだと思うんだけど、たとえば、
>あなたもねとあたしは言ってあたしは泣きながらタクシーに乗りそのタクシーの運転手があたしの曲がった鼻を見てボクシングでもやってたんですかと聞いたので口論になりあたしは座席から身を乗り出して運転手の首をしめて車は左へ滑り不忍通りのガードレールをこすって駐車中のトラックに衝突し運転手は頭を割ってあたしは左側頭部を打ち右の眼球が左に寄ってしまった。(「鼻の曲がった女」p.62)
みたいな感じのばっかで、これでも短いほうの文なんだけど、句読点とかなしで、たぶん若い女性の思考の流れのままにって意図だと思うけど、長々と情景とか感情とかを続けて書きつけてくスタイルが、だんだんとエスカレートしてく一方で、書いてく側は面白いだろって思ってんだろうけど、私にはちょっとツイていけないというか、辟易しちゃうようなとこがある。
まあ、そういう手法もありかと思うけど、桃尻語訳とか(←実際にぜんぶ読んだことないけど)に比べたら、そんなに成功してる感じはしない、私には。
うーん、ひさしぶりに読み返したけど、コインロッカー・ベイビーズで衝撃受けて、愛と幻想のファシズムで突き動かされて、ずっと追っかけるように読んでったけど、このへんでヤーメたってなったのかもしれない、私にとっての村上龍って。その後ちょっと離れてったもんな、たぶん。
収録作のタイトルはつぎのとおり。
「トパーズ」
「公園」
「受話器」
「鼻の曲がった女」
「紋白蝶」
「ペンライト」
「子守り歌」
「サムデイ」
「OFF」
「イルカ」
「卵」
「バス」
あるだけ読み返してる村上龍の小説。
1998年10月5日発行だけど、私の持ってるのは同年11月5日で既に4版を重ねている、けっこうすごいね。
短編小説集っていうか、連作って言ったがいいんだろうか、登場人物は同じかどうかよくわかんないけど、それぞれの話に直接のつながりはなさそうだけど、まあ似たような雰囲気でできている物語の集まり。
主人公になるのは女性で、“ママさん”に命じられて仕事することになるホテルの部屋へ派遣されて、バッグに入ってる道具がそこらへんへブチまけちゃったら恥ずかしくなる代物で、プレイの最中には「お前にはもう人格はないんだ」とか言われて、無理やりいろんな言葉を口に出して言うことを強要されたりして、あとはとにかくネバネバ・ベトベトって、そういう感じのお仕事をする、うら若き女性たちの語る物語。
文体がね、たぶんこれ用に開発したんだと思うんだけど、たとえば、
>あなたもねとあたしは言ってあたしは泣きながらタクシーに乗りそのタクシーの運転手があたしの曲がった鼻を見てボクシングでもやってたんですかと聞いたので口論になりあたしは座席から身を乗り出して運転手の首をしめて車は左へ滑り不忍通りのガードレールをこすって駐車中のトラックに衝突し運転手は頭を割ってあたしは左側頭部を打ち右の眼球が左に寄ってしまった。(「鼻の曲がった女」p.62)
みたいな感じのばっかで、これでも短いほうの文なんだけど、句読点とかなしで、たぶん若い女性の思考の流れのままにって意図だと思うけど、長々と情景とか感情とかを続けて書きつけてくスタイルが、だんだんとエスカレートしてく一方で、書いてく側は面白いだろって思ってんだろうけど、私にはちょっとツイていけないというか、辟易しちゃうようなとこがある。
まあ、そういう手法もありかと思うけど、桃尻語訳とか(←実際にぜんぶ読んだことないけど)に比べたら、そんなに成功してる感じはしない、私には。
うーん、ひさしぶりに読み返したけど、コインロッカー・ベイビーズで衝撃受けて、愛と幻想のファシズムで突き動かされて、ずっと追っかけるように読んでったけど、このへんでヤーメたってなったのかもしれない、私にとっての村上龍って。その後ちょっと離れてったもんな、たぶん。
収録作のタイトルはつぎのとおり。
「トパーズ」
「公園」
「受話器」
「鼻の曲がった女」
「紋白蝶」
「ペンライト」
「子守り歌」
「サムデイ」
「OFF」
「イルカ」
「卵」
「バス」