セバスチアン・ジャプリゾ/望月芳郎訳 1964年 創元推理文庫版
『新車のなかの女』を買った後すぐぐらいか、ことし3月下旬に古本のワゴンセールで見つけて、ぜひ読んでみようと買った、1972年17版の古い文庫。
穂村弘の『きっとあの人は眠っているんだよ』には新訳の文庫が出てるって紹介されたんだけど、まあ古いのを読んだほうが情緒があるような気がする、あくまで気がするだけだけど。
で、穂村さんも書いてたんだけど、この文庫の巻末の“ノート”にも、1962年にこの小説がフランスで出版されたときの宣伝文が紹介されてる。
>私がこれから物語る事件は巧妙にしくまれた殺人事件です
>私はその事件で探偵です
>また証人です
>また被害者です
>そのうえ犯人なのです
>私は四人全部なのです
>いったい私は何者でしょう
ということなんだが、登場人物すくないし、最初に被害者出てくるから、被害者で犯人っていったら、そーゆーことだろうかって、なんとなく察しはつくんだが、読み終わっても何かスッキリわかった気にはならない。
そうそう、『新車のなかの女』でも、いきなりヒロインが襲われて負傷するとこから始まるんだが、本書も全身に重傷を負って、口もきけなければ記憶も定かぢゃないヒロインの描写から物語は動き出す。
全身大やけどで包帯でぐるぐる巻きにされてる女性が、徐々に心身を回復していく過程で、なにがあったか探ってくことになるんだが。
後日に付添いをしてくれる女性から、南仏のどっかのヴィラで午前二時に倒れてるのを見つけられて、頭から足まで真っ黒で手や口には黒焦げの衣服の断片がつまっていて、髪は全部燃えつくし、頭のてっぺんには手のひらぐらいの傷があって、みんなに死んだもんだとばっかり思われるような状態だったと聞かされる。
同じ火事で死んでしまったのは、年もだいたい同じくらい二十歳の女の子、ふたりはとても仲が良かったというが、生き残ったほうは記憶していない。
ケガが治ってきて、自分であちこち歩き回って、いろんな人に会ううちに、なんか妙なことばかりだと気づいていく、手紙を受け取ったんだけど、差出人に会ってみたら出してないって言われるとか。
自分はいったい誰なのか、って迷いだしてしまうあたりは、『新車のなかの女』にも似ているねえ。
さてさて、そんなこんなしているうちに、金持ちの伯母さんが亡くなって、遺産相続の話が出てくるんだが、事件の晩にいったい何があったのか、だんだんわかってくると、とんでもないことに気づかされるわけで。
どうでもいいけど、さっきの宣伝文句同様、本文の各章の見出しも謎めいている、順に以下のとおり。
・私は殺してしまうでしょう
・私は殺しました
・私は殺したかったのです
・私は殺すでしょう
・私は殺したのです
・私は殺します
・私は殺してしまったのです
『新車のなかの女』を買った後すぐぐらいか、ことし3月下旬に古本のワゴンセールで見つけて、ぜひ読んでみようと買った、1972年17版の古い文庫。
穂村弘の『きっとあの人は眠っているんだよ』には新訳の文庫が出てるって紹介されたんだけど、まあ古いのを読んだほうが情緒があるような気がする、あくまで気がするだけだけど。
で、穂村さんも書いてたんだけど、この文庫の巻末の“ノート”にも、1962年にこの小説がフランスで出版されたときの宣伝文が紹介されてる。
>私がこれから物語る事件は巧妙にしくまれた殺人事件です
>私はその事件で探偵です
>また証人です
>また被害者です
>そのうえ犯人なのです
>私は四人全部なのです
>いったい私は何者でしょう
ということなんだが、登場人物すくないし、最初に被害者出てくるから、被害者で犯人っていったら、そーゆーことだろうかって、なんとなく察しはつくんだが、読み終わっても何かスッキリわかった気にはならない。
そうそう、『新車のなかの女』でも、いきなりヒロインが襲われて負傷するとこから始まるんだが、本書も全身に重傷を負って、口もきけなければ記憶も定かぢゃないヒロインの描写から物語は動き出す。
全身大やけどで包帯でぐるぐる巻きにされてる女性が、徐々に心身を回復していく過程で、なにがあったか探ってくことになるんだが。
後日に付添いをしてくれる女性から、南仏のどっかのヴィラで午前二時に倒れてるのを見つけられて、頭から足まで真っ黒で手や口には黒焦げの衣服の断片がつまっていて、髪は全部燃えつくし、頭のてっぺんには手のひらぐらいの傷があって、みんなに死んだもんだとばっかり思われるような状態だったと聞かされる。
同じ火事で死んでしまったのは、年もだいたい同じくらい二十歳の女の子、ふたりはとても仲が良かったというが、生き残ったほうは記憶していない。
ケガが治ってきて、自分であちこち歩き回って、いろんな人に会ううちに、なんか妙なことばかりだと気づいていく、手紙を受け取ったんだけど、差出人に会ってみたら出してないって言われるとか。
自分はいったい誰なのか、って迷いだしてしまうあたりは、『新車のなかの女』にも似ているねえ。
さてさて、そんなこんなしているうちに、金持ちの伯母さんが亡くなって、遺産相続の話が出てくるんだが、事件の晩にいったい何があったのか、だんだんわかってくると、とんでもないことに気づかされるわけで。
どうでもいいけど、さっきの宣伝文句同様、本文の各章の見出しも謎めいている、順に以下のとおり。
・私は殺してしまうでしょう
・私は殺しました
・私は殺したかったのです
・私は殺すでしょう
・私は殺したのです
・私は殺します
・私は殺してしまったのです
