リチャード・マシスン/小田麻紀訳 平成二十三年 角川文庫版
というわけで、前回書いたように、1959年から1964年にわたって作られた、テレビドラマ「ミステリーゾーン」(原題The Twilight Zone)が今でも充分おもしろいっつーわけだが。
それを見たおかげもあって、リチャード・マシスンが読みたくって、これは2月ごろに買った中古の文庫。
1956年に書かれた「スティール」が原案となって映画「リアル・スティール」が公開されたんで、「STEEL AND OTHER STORIES」って短編集が2011年に出たのを全部翻訳したもの。
こないだ読んだ「アイ・アム・レジェンド」もそうなんだけど、新たに映画つくられたりすると改めて新しく文庫版が出たりするんだが、私の読みたい古本は一向に入手困難が解消されないんで困ったもんだ。(誰かリメイク企画して「激突!」をもいっかい映画化してくんないかね。)
それにしても、すごいね、50年も経ってまだ映画化されるって、と思うんだけど、新しいその映画のほうはなんか薄い記憶しかないんだが、「ミステリーゾーン」のなかの(シーズン5の第2話)邦題「四角い墓場」ってドラマのほうがおもしろいような気がする、わずか25分くらいの枠なんだけどね。
時は1980年なんだけど、ロボット同士のボクシングの試合があって、そこへ参戦させる旧いロボットがとうとう試合当日に壊れて修理不能なもんだから、金をもらうために元ボクサーがロボットのなかに入って自らリングに上がって、最新型機械とファイトするって話だ。
ほかの作品も、基本的にはあまりハッピーエンドにはならない系なので、昔は映画化なんかには向いてなかったんぢゃないかなという気がする。
いよいよ爆弾が投下される日がきたので、みんなしてこれから何十年も生活する地下深くへ降りていく『下降』とか。
タイムトラベルする装置をつくって、過去へ送り込まれる研究者が行った先は、イエスが十字架にかけられる日のゴルゴタの丘だという『旅人』とか。
SFとはいっても、輝かしい未来の派手な活劇ってわけぢゃなく、なんか陰鬱な感じの話が多い、そこがいいんだけどね。
昼食のレストランで出会った相手の男は、自分のことを細かいとこまでよく知っているのに、こっちは相手のことを知らない、相手はこっちの名前も勤め先も陸軍時代の経歴も知ってて言うことは合っている、でもこっちは相手が何者かわからない『境界』なんかはちょっと不条理系。
そんななかで、百万長者の御曹司らしい若きタルバート・ビーン三世が、ある日、
>「考えてもみてください。毎日、この国のいたるところで、人びとは卑猥なジョークを口にしています。(略)
>「だれがそれを考案しているんでしょう?」(略)
>「ぼくはこういうジョークの源を突き止めたいんです」
と思い立って、ニューヨークやサンフランシスコへ飛び回って、ジョークを知っているか、それは誰から聞いたのかとか調査する、『ジョークの起源』は、なかなかおもしろい。
コンテンツは以下のとおり。
リアル・スティール/Steel
因果応報/To Fit the Crime
結婚式/The Wedding
征服者/The Conqueror
日記さんへ/Dear Diary
下降/Descent
なんでもする人形/The Doll That Does Everything
旅人/The Traveller
時代が終わるとき/When Day Is Dun
ジョークの起源/The Splendid Source
レミング/Lemmings
境界/The Edge
サンタクロースをたずねて/A Visit to Santa Claus
ドクター・モートンの愚行/Dr.Morton's Folly
時の窓/The Window of Time