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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

夏のレプリカ

2012-10-21 22:47:12 | 読んだ本
森博嗣 2000年 講談社文庫版
というわけで、前回のつづき、シリーズの第7弾を急いで読んだ。英題は「REPLACEABLE SUMMER」。
たまたま、2冊セットということは知らなかったんだけど、2冊同時に買っといたんで、続けて読むことができた。
こちらは、最初が「第2章」から始まっていて、偶数章だけ。
主人公の萌絵さんの元同級生とその家族が誘拐されるんだけど、殺されちゃうのは彼女たち家族のなかの人ぢゃない。
かたやの奇数章のストーリー「幻惑の死と使途」が、テレビ中継のまっただなかで事件が起きるのに比べて、こっちは地味な感じ。
しかし、このシリーズには他にも主人公の犀川助教授か萌絵さんかが、事件の真相に気づく、インスピレーションに打たれるような場面があったと思うんだけど、これまでんとこでは、この作品のその部分が最も印象的ではあります。
(きょう仕事帰りの新幹線のなかで読み終えたばっかりなので、記憶が新しいだけかも。)
(自分の古くから持ってる本を並べてくのが基本のこのブログ、新しいものでも読み終えてすぐノートするのは珍しい気がする。)
で、ストーリーよりも、今回いちばん気に入ったのは、次のようなとこ。
友人同士の会話を引用しちゃうと、
>「そうね、だんだん鈍くなっているんだわ」
>「いいんだよ。その方が生きやすいから」
>「どこへ?」
>「違う違う。生活しやすいってこと」
このなかで、「どこへ?」のセリフは、当然、その前の「イキヤスイ」を「行き易い」と誤認して、出てきたとわかるんだけど、ふつうこういうムダというか、必要ない回り道するフレーズを挟む小説内の会話は少ないと思う。
でも、それが逆にリアルっぽいでしょということなんだろうけど、そういうのが、“オートマチックぢゃない表現”(穂村弘風)として、読んでて引っ掛かりがあって、うまいなあと思った。

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