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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

エンド・オブ・ザ・ワールド

2011-01-23 20:48:38 | 岡崎京子
岡崎京子 1994年 祥伝社
ヲカザキの短編集。このころから、短編も、だんだんと、どんどんと、なかみがヘビーになっていきます。
「エンド・オブ・ザ・ワールド」
45ページ。金持ちの父親の娘であるモリーと、新しい母親のつれてきた息子イースが、ふたりで両親を撃ち殺して逃亡する。家から逃げ出した車を始末して以降、カネもないし、行くあてもなく旅する話。
「VAMPS」
44ページ。会社をやめて小説を書いている立花正平は、祖父の残した屋敷に住んでいるけど、ひとりでは広すぎるので、空室をひとに貸すことにする。そこへやってきた若草一家はトシをとらない母と三姉妹で、正平は三女のさくらと恋におちる話。
「ひまわり」
16ページ。小学6年生の青木ジュンイチくんの夏休みのある日の一こま。同級生と学校のプールに行こうとしたところで、うちで経営するアパートの元住人で19歳のハルミさんに呼びとめられる。そこでショックな話を打ち明けられて、結局プールはさぼることにしちゃうんだけど、ラスト1ページがけっこう好き。短くても完結してる一篇。
「水の中の小さな太陽」
46ページ。
なんで短編のページ数いちいち数え上げてるかっていうと、あとがきでヲカザキが、「エンド・オブ・ザ・ワールド」は読み切り45ページというのが初めてで、テンパって描いてたって語ってて、かたや「水の中の小さな太陽」は、もっと長くなるはずのハナシで、40ページの話を考えてると何故かエピソードがぎゅうぎゅうになって、12ページ分とか20ページ分削って描くことになるんでキツイ、と語ってるから。
物語は、ミーナこと美奈子って高校三年の女の子が主人公で、見た目優等生なんだが、ウラではワルい顔をもってて、学校の先生の弱み握って脅してたりする。ときどき、彼女が子どものころ溺れかけたエピソードが挟まるのがタイトルの意味だけど、それにしても、このころから短編でも、愛だの恋だのの行く末として暴力的な表現になる展開が増えてるよーな気がする。「pink」のころの明るさは、無いなー。ちなみに物語は当然のごとくデッドエンド(?)を迎える。
「乙女ちゃん」
16ページ。タイトルは、市役所を定年退職して、毎日が日曜日になった父親が、スカートをはくようになったのを、近所のひとがそう呼んでいるってとこからきてる。主人公はその娘、28歳のOL。べつに不幸せぢゃないんだけど、家族のこととか気になっちゃって、なかなか結婚する気になれない、って登場人物の心理、ときどきヲカザキ作品に出てきますね。

それにしても、最近マンガばっか読んでんなぁ。たまには活字も読まねば。

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