22期の杵渕です。
前回講義の後の懇親会にて、ブログに載せるようリクエストがあったネタについて語りたいと思います。診断士の方、特にお酒が好きな方の反応がよい話です。
多くの人が常識として知っていても、自分だけ知らないなんてことありますよね。歩んできた人生の中でたまたま出会わなかった言葉。自分にとっての「杜氏(とうじ)」がそれかもしれません。日本の酒造りの最高責任者のことです。私はビール以外の酒はほとんど飲めないということもあって、今まで杜氏という言葉に出会わなかったんです。
初めて出会ったのが、自分が受けた中小企業診断士二次試験の事例問題。
その年の試験の事例企業は、老舗の蔵元の話でした。『A社は従業員ではない杜氏を入れて何名体制・・・』というようなはじまり。杜氏について注釈もなかったので、私はこう思いました。「酒造りの職人のモリさんというのがいるんだな、ふむふむ」と。
言葉の意味を知らない私はモリシと読んでしまったわけです。それで最後まで解いてしまったのですが、幸い文脈としてはそうはずれてなかったのか、奇跡的に合格することができました。ちなみにいうと、四教科の中では中々の得点でした(笑)
私が言いたいのは、ラッキーで受かっちゃいました!という話ではなく、これはまさに診断士の業務に起こり得ることであり、そして診断士そのものの姿を体現したエピソードですよと。
どういうことかというと、診断士は関わった案件が自分の専門分野でないこともざらです。専門知識が乏しくても、問題の本質をとらえていれば診断はできる。自分の持てる知識の中で精一杯、脳で汗をかく事だと。ドラマに出てきそうな昔気質の頑固者のモリさんという伝説の職人さんだと私がとらえたとしても、杜氏と社員たちとの関係性の課題について把握することができていれば、モリさんだろうがハヤシさんだろうがそこはたいして重要ではありません。
協会の方々、私を合格させたことを後悔することはありません。試験合格は単なるスタートであり、ゴールではないのですから。資格取り消しなどお考えにならないよう、お願い申し上げます。
余談ですが、獺祭で有名な旭酒造は経営危機があった時に杜氏に逃げられたのをきっかけに杜氏を置かずに科学的に品質管理をしているそうです。ピンチはチャンスとはこのことですね。
懇親会で今回の話をしたら、かつて酒蔵探訪記をお書きになった某塾長が大爆笑しすぎてお店の方に注意されてました(笑) おもしろい話してすみません。