22期生の塩谷です。
突然ですが、私の自宅は県庁から歩いて数分のところにありますが、車で30分も走ると農業を営む方々の大きな畑が広がっています。その農家のお一人と既に10年以上のお付き合いをしていて、時々お手伝いにも行っています。お手伝いの時間は3時間と短いですが、冬は寒いし、夏は暑いし結構大変です。
その農家の方は、広大な畑でトマトを中心に季節に応じた野菜を作っており、お手伝いに行った時は売り物にならないものをいただきます。これが驚くほど美味しい。自分で作ったものは何でも美味しいというノリではなく、食べた人みんなが口を揃えてそう言っていただくので本当に美味しいのだと思います。
形や大きさが適当でないという理由で、廃棄されているものがあることをご存じの方も多いと思います。日頃、家庭菜園をしている方からすると、色や形、大きさがきれいに揃っているスーパーの野菜が逆に不自然にさえ感じているのではないでしょうか。不揃いであっても味や栄養が変わらないのであれば、捨ててしまうのは勿体ないし、採れたてはスーパーのよりも美味しいと思います。
一方、こんな話もあります。年始に大手の食品メーカーに勤める知人と話していた時のこと。「これから食料品はもっともっと値上がりする。全国一律に同じ品質の製品を安定して供給することは今後難しくなるのではないか」と怖いことを言われました。そのメーカーは原料である野菜の多くを輸入しており、年々買うのが厳しくなっているとのこと。私から「日本の野菜を使えないのか」と聞くと、量が足りないし、無理に集めようとするとコストが掛かり、今のような価格で作れなくなるということです。やはり私では想像もできない量を纏めて購入しているから、今の価格で全国に提供できるようです。
これらのことを考えると、国内の食料分野における構造的な問題がここにきて顕在化してきているように感じます。今あげた例でいえば、メッシュを小さくし、地域で生産したものを地域で食べることがこれまで以上に大切なことになってくる、要は地産地消が一つのポイントになりそうです。地域に根差した企業・ブランド・少量製品が地域でもっと消費されるようになれば、その地域でしか食べられないものが増え、それを食べたい人がそのためにその地域に出向く、ご当地グルメにも益々磨きがかかるかもしれません。
ただ、食料分野の課題が言われるのは今に始まったことではありませんので、そう簡単に実現できることではないと思いますし、これだけで食料不足や価格高騰の解決策にはなりません。ただ、世界の人口が爆発的に増加している状況下、これまでどおり簡単に食品が買えるという状態でなくなることも想像し、消費者である私たちが意識を変化させ、購買行動に結び付ける時が来ているのではないかというお話しでした。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。