22期生の塩谷です。
本日は私の大変お世話になっている経営者から伺った話をご紹介します。
突然ですが「川に浮かぶ丸太は、川の流れより川を速く下ることはできない。では同じように考えると、帆船(ヨット)はモーター等の外部動力を用いずに、風(風速)よりも早く進むことはできないか」と切り出されました。実はこの問題、イギリスの1000年近い歴史を持つ大学の過去の入試で出題された問題とのことです。
「引っかけ」のようには感じますが、やはり「風速より早くは進めない」が正解と思えます。しかし、実際は、風を受け続けることに加えて、帆の凸形状がつくり出す「揚力」を活用することで、風速よりもずっと早く進めるだけでなく、あらゆる方向に向かって進むことができます。
この「揚力」を活用した構造の帆船が発明される前は追い風は風の力を利用する一方、向かい風では帆を降ろして「人手=漕ぎ手」の力で前に進むというのが、当時の「常識」でした。その常識に対し「風の吹いてくる方向に船を漕がずに進むにはどうしたらよいか」という「必要」が、その後の発明(揚力の活用)に繋がったということです。
その方曰く、我々が日常で何気なく目にしている風景は我々を「常識」という思考停止にしてしまい、新たな発想を模索する機会から我々自身を遠ざけてしまうという力を持っているのだそうです。その方は続けて「常識は変化するもの、何かあればその理由やメカニズムを考える、そして日頃から他に方法はないかと改めて自ら問いただし続ける必要がある」。技術の進歩と相まって、「今までの常識がある日突然通用しなくなり。「新しい常識」に取って代わられることは、今後、あらゆる領域で増えていくことなので、日々考え続けなさい」とのメッセージをいただきました。
この話を聞いて私が最初にイメージしたのが、バリューエンジニアリング(以下VE)という手法です。VEの詳細説明は割愛しますが、お客様が「必要」としている「真の目的」を探り出し、その目的を達成するための手段を繰り返し繰り返し分解整理していき、最終的にはお客様だけでは見つけられなかった価値向上を果たすというものです。簡単ではない作業なのですが、自分たちの見えている常識やそれを支えている技術について予断を持たず、広く深い知見を集めVE活動に取り組むことで、新たな価値創造に繋げるのに適した技術がこの常識を覆すことに使えそうだということです。
次に考えたのが、常識を覆すのに関与することは非常に難しいということです。常識に慣れ親しんでいると、常識を覆そうとする人が変わった人に見えてしまう、或いは面倒なことをする人に見てしまいかねません。私も無理だとかやめておけと言ってしまいそうです。常識を覆すような大きな変化を起こす人は強い信念を持っていないと挫折する可能性があるのではないかということです。
自分が常識を覆すほどのことができればいいなと思いますが、それ以前に新たなことにチャレンジする人の応援をすることはあっても、足を引っ張ることのないようにしないといけないと考えた次第です。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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