こんにちは!
稼プロ!24期生の松田です。
日本では、2025年以降、多くの中小企業が廃業の危機に直面すると言われています。その主な原因は、団塊世代が後期高齢者となり高齢化が進む中、後継者不足によって事業承継が進まない企業が増えていることです。この問題は、地域経済や産業基盤に深刻な影響を与えるだけでなく、日本全体の競争力や国力にも影響を及ぼす可能性があります。
一方、インドは若年層の多さを背景に世界最速の経済成長を遂げており、市場規模も拡大を続けています。IMFの予測では、2025年に名目GDPで日本を上回り、2027年には米国、中国に次ぐ世界第3位となる見通しです。その勢いから、『覚醒する14億人経済インドが世界を回す』といった特集がビジネス誌で取り上げられるなど、注目を集めています。しかし、インドには日本とは異なる課題もあり、それを克服するうえで、日本からの投資や技術力、ノウハウなどにますます期待が高まっています。奇しくも両国は『日印ビジョン2025 特別戦略的グローバル・パートナーシップ』の締結10周年を迎え、この協力関係は両国の持続的成長において一層重要性を増しています。
本稿では、2025年問題のうち、後継者不在による廃業リスクの解決策のひとつとして注目されるスモールM&Aの現状と課題、その改善策を詳しく考察します。そして、事業承継を達成した中小企業が次に取り組むべき成長戦略の方向性を考察します。日本の中小企業が直面する事業承継問題は、単に承継を果たすだけでは「成功」とはいえません。縮小する国内市場では、外資の参入や急速な技術革新により競争が激化しており、日本市場に留まるだけでは将来的な行き詰まりが懸念されます。だからこそ、事業承継をゴールとせず、その先を見据えた成長戦略を描き、新たな変革に挑戦することが求められます。その一つの方法として、インドなど成長市場の中小企業との海外連携を通じて、持続可能な未来への方向性を模索し、行動を検討することは有効と考えられます。
「縮む日本」と「拡大するインド」という対照的な経営環境にある両国の中小企業が、緊密に連携することで新たな可能性を切り拓き、持続可能な未来に向けた成長を相互に実現できると期待されます。このテーマは私のライフワークそのものであり、今後の連載を通じてその詳細を掘り下げていきます。
2025年問題が迫る日本の中小企業
高齢化する経営者と進まない事業承継
日本の中小企業では、経営者の高齢化が深刻な課題となっています。中小企業庁の調査によると、2023年時点で経営者の平均年齢は60.5歳となり、33年連続で過去最高を更新しました。60代以上の経営者が全体の過半数を占め、80代以上の経営者も5.3%に達しています。
さらに、中小企業庁は、2025年までに平均的な引退年齢とされる70歳を超える中小企業の経営者は245万人となり、そのうち127万人が後継者未定であるという試算を公表しています。社長交代率は14年連続で3%台の低水準にとどまり、後継者が見つからず企業の世代交代がほとんど進んでいない実態が浮き彫りになっています。このままでは多くの企業で事業の継続が難しくなり、地域経済や産業基盤に重大な影響を及ぼすことが懸念されています。
後継者不在が招く廃業の危機
後継者が見つからず、事業承継が進まないことを原因として廃業を余儀なくされる中小企業が増加しています。中小企業庁の推計によると、後継者不在の企業のうち半数近くが今後10年以内に事業継続を断念するリスクは高まっており、その中には黒字経営の企業も多く含まれています。この「黒字廃業」はさらに顕著になると予測され、2025年を境に中小企業が次々と廃業に追い込まれる「大廃業時代」の到来が懸念されています。
こうした事態は、地域経済や産業基盤に深刻な打撃を与え、年間22兆円以上の経済損失や650万人の雇用喪失を引き起こすと試算されています。特に中小企業は地域経済や雇用の維持を支える中核的な存在であるため、この問題の解決が遅れれば、連鎖的な影響がさらに広がる可能性があります。
持続可能な未来のために官民連携が急務
事業承継問題への迅速な対応は、地域経済の持続可能性を守るために欠かせません。迫り来る2025年問題を乗り越えるためには、官民が連携し、廃業や倒産を防ぐための支援体制を強化することが急務となっています。
中小企業庁が主導する「事業承継・引継ぎ支援センター」の取り組みも全国規模で進展しており、各地の商工会議所や振興公社との連携も深まっています。この動きを受け、中小企業診断士をはじめとする専門家にも、公的機関と協力して事業承継支援や後継者育成に積極的に取り組む役割が求められています。
2025年問題を解決することは、中小企業の生き残りにとどまらず、地域経済、ひいては日本の産業基盤を支えることにもつながります。持続可能な未来を実現するため、官民一体の取り組みが、今こそ必要です。
事業承継問題の背景と克服への道筋
後継者不在による廃業リスクには、経営者と後継者候補の双方が抱える心理的バイアスや構造的問題が深く関係しています。こうした要因が複雑に絡み合うことで事業承継が停滞し、日本の中小企業は今、重大な局面に直面しています。この問題を解決するには、背景を正確に理解した上で、具体的な解決策を示すことが必要です。
経営者が事業承継をためらう理由
1.後継者に関する懸念
経営者は「後継者が見つからない」という問題に加え、たとえ親族や社内に候補がいても「能力が足りないのではないか」といった不安を抱えることが少なくありません。親族や社員の中に適任者が見当たらない場合、外部の候補者に対する期待も低くなりがちで、結果として問題を先送りするケースが多く見られます。
また、親族の後継者候補と事業承継について長年十分な話し合いが行われていないことが多く、双方がそれぞれの思い込みにとらわれてすれ違いが生じることもよくあります。この認識のズレは時間が経つほど大きくなり、気づいたときにはそのギャップを埋めるのが困難になることも少なくありません。
2.計画や準備の不足
事業承継には長期的な計画が欠かせませんが、多くの経営者は目先の業務に追われ、取り組みを先延ばしにしてしまいがちです。その結果、後継者の育成や引き継ぎの準備が不十分なまま時間が経ち、事業承継に最適なタイミングを逃すケースが少なくありません。
3.経営者の心理的要因
経営者が「自分がいなくなれば会社が回らない」という思い込みや、長年築き上げてきた会社への強い愛着が、事業承継の決断を鈍らせる大きな要因となっています。また、人生100年時代といわれる中、事業を引き継いだ後に自分の役割を見失う不安も、事業承継を先延ばしにする要因の一つです。
親族や社員の後継者候補が事業承継に躊躇する理由
1.自分の能力や適性への不安
後継者候補は「自分に経営の適性があるのか」「家業を維持していけるのか」といったプレッシャーに直面しやすいです。相談相手が身近におらず、ひとりで悩み不安が募るほど、事業を引き継ぐことへの意欲が低下し、躊躇する要因となっています。
2.業界や会社への魅力不足
家業の業界や会社に将来性を感じられない場合、若い世代は他のキャリアを選ぶ傾向があります。特に、伝統的なビジネスで革新や挑戦の可能性が見えないことは、後継者のモチベーションを大きく低下させる要因となっています。
3.親や周囲からの期待へのプレッシャー
「親の期待に応えられるだろうか」「周囲から“コネで継いだ”と思われるのではないか」という心理的負担が、後継者の決断を鈍らせる要因となります。
これらは、コミュニケーション不足や心理的バイアスによる勝手な思い込みから生じるケースが多いといえます。
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