13期生の佐野です。
3/30の日経電子版に、「会社一筋、燃え尽きに注意 ドラッカーが指摘 ドラッカーに学ぶココロの処方箋(3)」というお題の記事がでていました。会社勤めの中高年は結構注目された方が多かったのではないでしょうか。詳細は記事をご覧いただくとして、まだご覧になっていない人向けに、まずはどんな話だったのかについて、くだりの部分をご紹介します。
”会社や仕事一筋に歩んできた人が、定年後嘱託という形で雇用延長の道を選んだものの、部下と立場が逆転し疎んじられたうえに閑職が与えられ、家に帰っても家族に相手にされず、猛烈に働いた若かりしころを思い出しながら、今の自分の姿の惨めさを嘆いて酒びたりの日々を送り、やがて気づくとアルコール依存症となっていた・・・”
実際私の周りにも、同じようになってしまった先輩が結構いらっしゃいました。ところが、いつしかこんな社会に陥ることを、かのドラッカー先生は見抜いておられたようです。数々の著書のなかで次のように述べられています。(以下、記事からの抜粋です)
「いまや会社は、社員を会社人間にしておくことが、本人のためにも会社のためにも危険であり、いつまでも乳離れできなくさせる恐れのあることを認識すべきである。」『現代の経営』(1954)
「自分の仕事以外に、興味を示さず学ぼうとしない人は、会社という立場からみても、決して優秀な人材とは言えない」『明日のための思想』(1960)
「高度成長期では、働く人の人生設計は会社や組織の成長とともあったが、社会が知識を基盤に構成され、知識労働者が主役になる『ネクスト・ソサエティ』ではそうでなくなる」「ほとんどの人間にとって、同じ組織の仕事を続けるには、40年、50年は長すぎる。飽きてくる。面白くなくなる。惰性になる。耐えられなくなる。周りの者も迷惑する」『ネクスト・ソサエティ』(2002)
そして具体的な処方箋として、著書『明日を支配するもの』において、副業やNPO活動に参加することを勧めています。本業と並行して別のことに取り組む形態のキャリアを、”パラレルキャリア”と呼んでいます。本業を失うことになっても、副業やNPO活動が残ることで、モチベーションが維持できて燃え尽きることがない、ということのようです。
恥ずかしながら、この言葉今回初めて聞きましたので、早速”パラレルキャリア”というキーワードでググってみました。すると、次のような興味深いサイトが画面上に並びました。
・パラレルキャリア支援サイト もんじゅ http://monju.in/
・二枚目の名刺 http://nimaime.com/
・サービスグラント http://servicegrant.or.jp/
・a-con http://www.a-conweb.net/index.php/category/home/
いずれもパラレルキャリアを望みたい人と、人材を求めるNPO法人とのマッチングをすることを目的としたサイトです。自分の挑戦したいことなど希望を打ち込めば、それにあったNPO法人を探してくれます。
こうしたサイトが注目を浴びている(検索サイトの上位を占める)のは、それだけパラレルキャリアを求めている人が増えているからなのかもしれません。日本の企業はまだ副業を認めていないところも多いですが、ボランティア活動ならOKというところは徐々に増えており、それに呼応する形でこのマーケットが成長しているのではないかと思います。
今後企業が積極的にパラレルキャリアを推奨するようになり、当たり前の世界になってくれれば、前段の定年後に燃え尽きてしまうような人は減ってくるでしょう。定年後も引き続き日本経済を支えてくれる人々が増えれば、少子高齢化に伴う経済縮小化の歯止めが期待ができます。
ということで、中高年サラリーマンは定年に備えてパラレルキャリアに邁進!といきたいところですが、そんな人々にドラッカー先生はこういう警鐘も鳴らしています。
「時間は最も希少な資源。時間をマネジメントできなければ、なにもマネジメントできない」『経営者の条件』(1966)
パラレルキャリアは自己責任です。中途半端で結局どちらも無になるようなことがないよう、自身をしっかりマネジメントしていかなければなりませんね。
でも、本業と副業をうまくやりくりしないと、燃え尽きかねませんね。
社会通念としては制限されていますね。でも、セカンドキャリアのためだけでなく、会社で一定期間過ごした人が次のステップに向けた階段を上るためにも、副業をうまく活用するのは、いいことじゃないかと思うのです。
コメント有難うございます。
これまでドラッカーにあまり真剣に向き合ってこなかったのですが、今回の記事をきっかけに、すごく興味を持ち始めました。私もこれから勉強させて頂こうと思っています。
大草先生
私たち企業内診断士も立派なパラレルキャリアですよね。定年後燃え尽きているヒマは無さそうです!
診断士の受験時代も、受験勉強で学ぶことを仕事に活かすよう努力していました。
これだけでも、社内の空気の流れは、好転しましたが、診断士合格と同時に、「独立」ということについて考えされられる日々で、振り返ると、会社以外の消費生活アドバイザーのCS研究会の延長線上での独立となっていました。
パラレルキャリアではありませんが、会社以外の世界を持つってとっても大切だと思います。