東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

5Sと7つのムダ

2024-09-25 12:00:00 | 24期のブログリレー

こんにちは。24期生の山口です。
今回は、私の3つのブログコンセプトのうち、「実践に活かせそうなもの」を意識してみたいと思います。

先日、中小企業診断士の1次試験を通過し、2次試験の勉強中の方と話す機会がありました。
製造業に勤務する私は、生産現場を持つ海外工場に赴任したことがあるのですが、ちょうどそのころ1次試験の勉強もしていました。私のいた海外工場では、日ごろから、5Sの徹底を口が酸っぱくなるくらい言って実践しており、そう言えば、その現場を思い浮かべながら1次試験の勉強をしていたなと思い出しました。そこで、今回は、その5Sとこれに絡めて7つのムダについて触れさせて頂きます。

5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾ですね。この5つには順番があることもご存知かと思います。表現の仕方はいろいろあるようですが、順に概要を記載すると以下です。

整理:必要なものと不要なものを区別し、不要なものを処分すること。
整頓:必要なものを決められた場所に置き、必要な時に誰でも使えるようにしておくこと。
清掃:職場や身の回り、使う道具などを手入れし、点検してきれいな状態を保つこと。
清潔:整理・整頓・清掃を徹底し、行き届いた状態を保つこと。
躾 :整理・整頓・清掃・清潔を実行できるように習慣づけること。

生産現場では、徹底的に生産性向上・原価低減を目指し、少しのロスを見逃さず改善を図っていると思います。もし、生産現場で、5Sが徹底されていないとどうなるでしょうか?必要な工具がどこにあるかわからず、いつも探す時間が必要、搬送経路に物が置かれていて、いちいち移動したり、退避させたりしなくてはならない、在庫数が帳簿と合っているか分からず、数えなおさなければならない等々、ムダな時間や労力が掛かりますね。

製造業のムダとりの基本に7つのムダというのがあります。これも、1次試験に出てきました。加工のムダ、在庫のムダ、不良・手直しのムダ、手待ちのムダ、造りすぎのムダ、動作のムダ、運搬のムダですね。頭文字をとって、「カザフテツドウ」など、語呂合わせで覚えた方もいると思います。5Sの徹底は、ムダ取りにもつながることがあります。動作のムダ、在庫のムダ、運搬のムダなどにはダイレクトに効いてきます。しかし、継続することが難しいのです。特に、「躾」の部分、いかに習慣化できるかです。人材の流動性の高い海外の生産工場では、本当に難しいです。習慣化するためには、マネージメント層の強い意志と、従業員への浸透努力、現場のチェックを繰り返し行うことが欠かせません。そのようにして、5Sが浸透し徹底されてくると、現場が正常なのか、異常なのかが一目でわかり、ムダや異常なことがあれば、すぐに対処できるというメリットも得られます。

5Sは、製造業以外でも使えると思っています。ある意味、5Sは基本です。第1回の特別講義の中で、「凡事・基本ができている会社は良い会社だ」とのお話がありました。まさにその通りと思いました。特別講義では飲食店を例に話をされていました。この凡事・基本の徹底をいかに継続できるかどうか、会社の文化・風土・習慣へ落とし込めるかが、良い会社かどうかの分かれ目かなと思います。

ところで、家庭でもたまにテレビやエアコンのリモコンがないとか、○○が見当たらないなどありませんか?5Sと7つのムダの概念を家族に理解してもらい、継続できるようにしたいと思うのですが、これがなかなか思うようにいかないものです。家庭ではあまり言いすぎると逆効果なので、自分の物をやりつつ、背中で見せていく気長な戦法で取り組んでいます。
経営者の皆様はどう取り組まれているでしょうか?機会あれば、いろいろな会社の現場を見てみたいと思います。

最後までお読み頂き、有難うございました。

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何ができる人になるか

2024-09-24 12:00:00 | 24期のブログリレー

皆さん、こんにちは。
稼プロ!事務局スタッフの川元です。

診断士としての活動をしていると、いつも問われる「あなたは何ができる人なのか?」
という問いについて最近考えたことを記そうと思います。

昨年ベンチャー企業から大企業に転職し、一年超が経ちこの期間中なにを出来る人になったか
思い返してみると自信を持ってこれが出来るようになったと言えることがあまりないことに
少し情けない気分になりました。

そんな悩ましい時を過ごす中で、最近なんとなく稼プロの塾生時代につけていた日記を読み返していたら、
「これが出来る診断士になる」とその当時の思いを熱く書いている日の記録を見つけ、「こんなことではいけない。
業務中、業後の時間を使い方を工夫してなんとかしよう」と改めて思わされました。

稼プロで講師に勧められ、つけ始めた日記は迷いが生まれた時に在るべき姿を思い出す指針となりました。
勧められた時は、何の役にたつのか明確には理解できずに始めて続けていましたが、やってみるものだな
と心から思います。

ぜひ現塾生の皆様も、ここで学んだことを愚直にやり通してみてください。

 

 

 

 

 

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バックキャスト思考とは

2024-09-23 12:00:00 | 24期のブログリレー

皆さん、こんにちは。

第24期生の森谷です。今回は私が最近学んだ「バックキャスト思考」について書いてみたいと思います。

きっかけは、社内で流れていた全社員向けメールでした。内容は、資格試験「サステナビリティ・オフィサー」が環境省認定「脱炭素アドバイザー資格制度」の認定を受けたことに伴い、社員も積極的に資格試験に挑戦しようというものです。

中小企業診断士としても、中小企業を支援する1つのキーワードとして「SDGs」「脱炭素」などは最低限知っておくべきテーマである考え、試験勉強をしてみようと決心しました。この試験勉強の問題集に出てきたキーワードが「バックキャスト思考」です。

一般的に「バックキャスト思考」とは、「あるべき未来を描き、そこから逆算して現在おこなうべき活動やその優先順位を決める」という思考法です。この対になるのが「フォーキャスト思考」であり、「現在の延長上にある未来を予測し、自分が行うべき行動を決める」という思考法のようです。 (引用:朝日新聞SDGs Action)

『「バックキャスト思考」で行こう!』(著者:石田秀輝氏、古川柳蔵氏)を読むと、バックキャスト思考を「制約(問題)を肯定して受け止め、その制約の中で解を見つける思考法」と定義しています。

同書の中では、2つの思考法の違いを明確にするものとして以下の問題事例が登場します。皆さんは解決策をどのように考えるでしょうか。

【問題】居間の電球が切れた。

【フォーキャスト思考による解決策事例】電気屋さんで新しい電球を購入して切れた電球と交換する。

【バックキャスト思考による解決策事例】電球なしの生活を楽しむ工夫を始める。例えば、ときどき明かりを全部消して、家族みんなで窓から星や月を眺める新しい暮らしを始める。

「電球が切れた」という制約に対して、「新しい電球と交換する」ことで制約を排除するのがフォーキャスト思考であるのに対して、その制約を肯定した上で解決方法を考えるのがバックキャスト思考であるとのことであり、確かに両者の考え方は大きく異なりますね。

自分自身を振り返って考えると、普段の生活や仕事において、基本的には現在の延長から未来を予測しますし、目の前の問題を排除するにはどうすればよいかと考えることが多く、フォーキャスト思考になっていることに気付かされます。一方で、SDGsや脱炭素など「正解のない問題」に取り組む場合には、発想の転換を図るバックキャスト思考により物事を考えてみることが大事ですね。

私のとっての「正解のない問題」とは、今後のキャリアビジョンの設定でしょうか。バックキャスト思考で考えてみると、まず制約を「年齢から来る残された時間の短さ」と捉え、「残された時間でできることに注力する」と考えて肯定します。次に現状の延長からでない、自分としての「あるべきプロコン像」を思い描き、5年後、3年後、1年後と時間を巻き戻すようにして目標ビジョンを立ててみる、といったプロセスになりそうです。

さて、気になるのは冒頭の試験の結果ですが、1が月ほど集中して勉強した甲斐があり合格しました。とは言え、私が認定を受けたのは、脱炭素アドバイザー資格制度の3つの認定レベルのうち、一番下の「脱炭素アドバイザー ベーシック」です。まだまだSDGsへの道は長いようです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

第24期生 森谷

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正射必中

2024-09-22 12:00:00 | 24期のブログリレー

22期の藤川です。

先日、ある経営者の方から「正射必中」という言葉をお聞きしました。
これは弓道の教えで、矢を射るまでの姿勢や動作、精神状態が正しければ、必ず的に当たるというものです。「的に当たったか」は気にせず、「当てなさい」という指導もしません。代わりに、正しい姿勢、つまり「正射」を教えるのだそうです。

お話を伺った企業では、「会社が自分を大切にしていないと感じる社員が、会社のために能力を発揮するはずがない」という理念のもと、様々な取り組みを行っていました。フィロソフィー研修、経営数値の全社公開、経営計画書の配布に加え、社員による社員のための会社作りプロジェクトや、50以上もの福利厚生施策を実施しておられました。

先代社長から受け継いだ「社長の仕事は社員を幸せにすること」という信念を、正射必中の思いで真摯に実行し続けた結果、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」や「はばたく中小企業300社」にも選ばれ、継続的な事業成長を実現されてきました。

この言葉が意味することは、
・結果よりもプロセスを重視し、正しいプロセスを踏めば、結果は自ずとついてくる
・結果にとらわれず、目の前のすべきことに集中する
ということでしょうか。

成果や結果にとらわれすぎることなく、今の自分の取り組みが「正射」になっているかを考えながら、一射一射を大切にしていくことの重要性を考えるきっかけとなった、とても貴重な機会でした。

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5つのあ

2024-09-21 12:00:00 | 24期のブログリレー

こんにちは!

稼プロ!24期生の松田です。

本稿では、海外駐在員の心構えとして知られる「5つのあ」についてインドの事例を交えながら解説し、持続可能な成長のための道筋を探ってみたいと思います。

先日、中小企業会館でインド駐在経験者とのパネルディスカッションに参加する機会をいただきました。まずは、この場をお借りして、企画運営に携わってくださった皆様に心より感謝申し上げます。

あせらず

インドは巨大な成長市場であり、ビジネスチャンスの宝庫ですが、短期間で成功を収めるのは難しいのが現実です。日本企業は、「日本の有名ブランドだから売れるはず」との期待を抱きがちですが、これはよくある誤解です。インド市場は多様な顧客ニーズにあふれており、さらに独特な商習慣や複雑な流通構造、法規制にも対応する必要があるため、簡単にはいきません。インドビジネスでは、長期的な視点を持ち、焦らずに取り組む姿勢が重要です。

短期的な利益を求めて焦ると、予期せぬ問題が次から次へと発生します。例えば、市場ニーズや顧客の購買意思決定プロセスの理解不足や、現地のパートナーとの連携が円滑に進まないことなどから計画通りにいかず、目標利益の達成までには通常相当な時間を要するものと考えた方がいいでしょう。「千里の道も一歩から」というように、小さな成果を積み上げながら、徐々に市場に適応していくことが重要です。例えば、小規模なパイロットプロジェクトを実施し、その結果を基に顧客のニーズを深く理解しつつ、事業を段階的に焦らず展開していくことが効果的でしょう。

あわてず

インドでは、日本と異なる時間感覚やビジネスの進め方に面食らうことが多々あります。プロジェクトが進むうちに、当初の計画とは異なり、予想外の展開になることもしばしば。日本の企業は、計画を立てたらその通りに進行することを重視しますが、インドでは状況に応じて計画を柔軟に変える文化があります。交渉の現場では、急な条件変更や「ちゃぶ台返し」も珍しくありません。このような場面に直面しても、慌てずに対応することが重要です。

日本人が現場で慌てることのないように、事前に様々なシナリオを想定し、シミュレーションを行い、交渉で適切なカードをきれるよう用意しておくことが有効です。それでも、インドでは想定外の出来事もしばしば起こるため、冷静かつ柔軟に対応できる姿勢が重要です。慌てて対処しようとすると、交渉がこじれたり、相手の信頼を失う可能性があります。相手の変化に対して慌てずに「そうきたか!」と冷静に前向きに受け入れる柔軟性が、成功に繋がります。

あきらめず

インド市場では、困難に直面することは避けられません。初期段階はその連続といっても過言ではないでしょう。しかし、これを諦めずに乗り越えることで、ビジネスチャンスを得ることができます。インドビジネスにおいて重要なのは、失敗から学び、それを次の成功に活かす姿勢です。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という有名な言葉の通り、成功には理由があり、失敗にも原因があります。    

インドのビジネス環境は急速に変化しており、状況は常に複雑化しています。そのため、粘り強く取り組む姿勢が必要です。短期間で結果が出ないからといって諦めてしまうと、そこで成長の機会を逃すことになります。スズキがインド市場で成功した背景には、決して諦めずに市場に適応し、QCDS(品質、コスト、納期、サービス/安全性)などで信頼関係を構築し続けたことが挙げられます。結果がすぐに出なくても、長期的な視点を持ち、諦めずに成果につながる要因を地道に積み上げることが、インド市場での成功の鍵となります。

あてにせず

インド市場の成長性やポテンシャルを過信するのは大きなリスクが伴います。インド市場に対して過度の期待を抱くと、思い通りに進まない時に冷静さを失い、適切な判断ができなくなるからです。例えば、インドの豊富な労働力を期待しても、思ったように人材を維持できないことが多々あります。インドでは転職が非常に多く、優秀な人材を確保しても、すぐに離職するケースが後を絶ちません。せっかく日本本社に派遣し、技能研修を施した人材が、突然退職する事例も少なくありません。

こうした現実を踏まえ、外部に依存するのではなく、自社でコントロールできる部分に注力することが重要です。実際、ある企業はインドの人海戦術に頼らず、少数精鋭の体制を整備し、デジタルマーケティングを効果的に実施しました。その結果、顧客リーチをインド全土に拡大し、ビジネスの成果を高めました。内部体制の強みは人財も引き付けるようになりました。外部に依存せず、まず内部に強固な体制を構築することが、成功への近道です。

あなどらず

インド市場は、魅力的な成長市場であり、同時に競争が激しい市場でもあります。競合他社を軽視することは大きなリスクになります。一度の成功に甘んじることはリスクを伴います。特にインドの若年層はデジタルネイティブであり、商品特性によってはブランドスイッチの速さが顕著です。一度の成功に満足せず、常に市場の変化に敏感に対応し、差別化を図り続けることが求められます。

また、インド人スタッフの問題解決能力を過小評価してはいけません。たとえインドの多様なニーズを持つ顧客にリーチすることに成功しても、複雑な流通構造により、納期やアフターサービスの質に対する不満を抱く顧客も少なくありません。バリューチェーンにおける一連の不満を解消し続ける努力が、インド市場での長期的な成功に繋がります。こうした顧客の不満をくみ取り、問題に柔軟に対応できるのが、現地のインド人スタッフです。彼らの創意工夫を引き出すために、適切に権限を委譲し、モチベーションを引き出しながら、顧客との信頼関係を築くことが重要です。

持続可能な成長のために

インド市場への参入は困難ですが、巨大なビジネスチャンスをもたらしてくれます。2050年にはインドのGDPは日本の6〜7倍に達し、世界経済の中心的存在になるという予測もあります。この市場で成功を収めることは、企業の持続可能な成長に直結します。日本企業にとって、インド市場は単なる市場を超え、グローバルな成長戦略の一環として重要な意味を持っています。

インド市場への参入は、多くのリスクが伴いますが、適確な成長戦略と長期的な視点を持って取り組めば、そのリターンは非常に大きいものとなります。インドとのパートナーシップを築き、共創関係によるリターンを拡大したいのであれば、眠れる巨象が覚醒し、踊り始めた「今」がその好機です。将来の経済大国と対等なパートナーシップの基盤を足元で時間をかけて築いてこそ、日本企業はさらなる持続可能な成長を遂げることができるでしょう。

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