事務局の大井秀人(20期)です。
前回のブログで今期は「視点のルーツをまとめる」と題して連載を意気込んでみましたが、表題を変えることにしました。新たなタイトルは「先達・先輩から学んだこと」。コンテンツを考えていくと、自分自身のものの見方は、折々の上司・先輩から学んだことが多いと気づいたからです。
ということで、今回はその2回目。新入社員のときに学んだことを紹介したいと思います。
ちなみに前回のブログはこちら。
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視点のルーツをまとめる(第1回)~3S、三現主義、安全最優先
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前回のブログで少し触れましたが、私の最初の勤務先は化学メーカーです。情報システム部門に配属され、当初は海外工場のシステム構築に携わる予定でした。しかし、なぜか1年後には研究所に異動するのですが(その話はまた別の機会に(笑))、この入社直後の1年間はIT運用や工場現場の実習中心で、行く先々でで多くの方にご指導いただきました。その中で、今も大切にしている当時の上司3人からいただいた言葉をご紹介します。
1.「技術者の仕事は成果を文章にまとめて初めて完成する」(by 担当役員)
この言葉は、部門の新入社員歓迎会で隣に座られた担当役員が、飲みながら話された一言です。新入社員の隣に役員なわけですから、、、めちゃくちゃ緊張です。ことさらよく覚えています。
元々研究所長をされていたその方は、「技術者や研究者はDo(行動)に夢中になるが、Doだけでは自己満足に過ぎない」と語っていました。新技術や研究成果をレポートという形にして後世に残すことが、技術者の仕事の使命であるという強い信念を持っていました。
この会社は報告書作成へのこだわりがDNAみたいなところがあり、私もめちゃくちゃ鍛えられました。その影響か研究開発分野では継続的に成果を上げ続けています。そしてこの言葉は、「技術者」を「コンサルタント」や他の職種に置き換えても通用する言葉だと思います。私もその後の転職先で、あるいは診断士活動で、このドキュメント化する習慣とスキルはとても役立っています。特に習慣が重要と思うこの頃です。
2.「ルールはルールだから!」(by 部長)
これは入社して2か月くらいしたときのことだったと思います。部門配属の新入社員全員が講話で集められたときの、部長との質疑応答での一言です。この発言の前後関係はよく覚えていないのですが、同期の誰かが何かの会社のルールに疑問を呈したときの返答だった気がします。
その受け答えはちょっと噛み合ってなかった感じだったのですが、趣旨が印象的でした。「社会人・仕事人たるもの『自律した個』でないといけない。自律した個であるためには、基本動作がしっかりしていることが必要がある」というメッセージが込められていたからです。その文脈で出てきた一言が「ルールはルールだから!」でした。社会人や組織人としての基本動作の1つが「ルールを守る」ということでした。
自律した個とルール、一見無関係で突飛な理屈ですが、よくよく考えると、社会人として信用されるには、基本動作ができルールを守ることが最低条件ということに気付かされました。いくらいいアイデアを持っていても、信用されていなければ案を採用してもらうのは難しい。そういうことをガツンと言われて、学生気分から目を覚まされた経験でした。この言葉は、稼プロ!の「人となり」にも通じる気がしています。
3.「大井さんは何かを残してこれるね」(by 課長)
1年目の後半の半年は炭素繊維工場で生産管理の実習生として働きました。この言葉は、そのときの部門の直属上司が地方の工場まで面談に来られたときにかけていただいた一言です。
私は生産ラインの切替時間分析と効率化を実習のテーマに設定していました。テーマのヒントは指導員の現場の主任さんからいただいたのですが、機械工学出身のプライドもあり具体的な分析方法や改善案は自分で考えて進めました。シフトの主任さんにも協力してもらい切替作業の工程分析もしました。24時間操業の職場なので、深夜の切替のときは辛かったのを今でも覚えています。
そんな話を面談で上司にしたときにいただいた言葉が「大井さんはこの工場に何かを残してこれるね」です。新入社員が短期の工場実習で自らテーマ設定して提案するというのはそうそう無いらしく、シニカルな感じの上司に珍しく褒めていただきました。実習後、私が調べた結果をもとにライン切替作業の見直しが行われたと聞いたときは、とてもうれしかったです。
ここでの学びは短期の期間や実習といえど「成果」や「財産」を残すことにこだわるということです。短期間の実習ですから受け身でやり過ごすこともできるわけです。しかし、そういう場でも一期一会で本気で取り組むと、のちのち語れるような自分自身の知的資産も詰みあがり、他の人との差がつく気がします。
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こうして今振り返ると本当に貴重な時間で、9年半で退職したことが少し後ろめたいですね。このように文書にして少しでも還元することが、せめてもの恩返しと感じています(汗)。次回は、研究所に異動し、さらに新事業部門に移ったころのことを書きたいと思います。