湯島の居酒屋「シンスケ」。こちらも恵比寿の「さいき」などと同じく、昔から「東京の居酒屋」というお題では必ず触れられる名店。創業が大正14年(1925)という長い歴史がある。人気の店なので入る事が出来るか分からなかったが、杉玉のぶら下がる店先から縄のれんをくぐり、店の中を覗いてみた。やはり店内は一杯で、「少し待っていただければ…」という事だったので、本意ではなかったが、待合に座って待つ。1人だったのが幸いしたのか、程なくして呼ばれたのでカウンターに腰かける。カウンターの後ろには片側に座る細いテーブルがあり、皆がカウンターの方を向いて座るのが面白い。奥には普通のテーブル席がいくつか。総じて客の年齢層は高く、心なしか上品な方が多い。店内も満員ではあるが、落ち着いた雰囲気で、着物をお召しのご婦人客も何人か居て、いわゆる大衆酒場とは雰囲気が違う。鉢巻きを締めた主人に樽酒を冷や(常温)で注文した。こちらの酒は秋田の両関。ずっとこの銘柄だそうだ。
漬け場の後ろに置いてある菰樽(こもだる)から主人が酒を注ぐ。樽香が素晴しい。両関を呑んだのは初めてだけど、これもいい酒だなァ。一時は純米酒ばかりにこだわって呑んでいたが、最近は老舗で呑む、いわゆる普通酒の旨さも感じるようになってきた。呑み疲れのないまとまりの良さがいいんです。お通しは烏賊の醤油漬け。このお通しだけでずいぶん呑めてしまいそうだ(笑)。ま、そんな訳にもいかないので、樽酒によく合う葱のぬたを注文した。周りの人が注文している酒肴のどれも日本酒に合いそうで旨そう。こちらの酒肴は値段が安くないが、酒呑みにとってツボを得た品揃えで、もっといろいろ頼んでみたくなる。ただこの日は残念ながら連れとの待ち合わせの時間まであまり無く、早々に店を出る事となった。次はもう少しゆっくりしてみたい…というか連れとここで呑めばよかったのか…。(勘定は¥2,000程)
↓ お店の名刺(イラストが主人そっくり!)と、洒落たデザインのコースター
正一合の店 シンスケ
東京都文京区湯島3-31-5
(正一合の店シンスケ 湯島 湯島シンスケ)