歌舞伎とおしゃべりの会(10月の会) (10月6日・可児市文化創造センター・G階 映像シアター)
岐阜県可児市の可児市文化創造センターで行われた「歌舞伎とおしゃべりの会」(10月の会)を初めて見に行った。この施設が様々な文化活動に積極的で魅力的なプログラムを実施していることは以前にも述べたが、この「歌舞伎とおしゃべりの会」は元NHKアナウンサーの葛西聖司氏が司会を担当して歌舞伎を様々な面から解説する講座。以前から一度参加してみたいと思っていたがなかなか都合が合わなかった。この日は歌舞伎役者の中村萬太郎がゲストと前日に知って、是非にと急遽時間を作る。副題は「御園座顔見世で連獅子!ー 歌舞伎役者・中村萬太郎さんと語る、歌舞伎の魅力 ー」。会場は100人程入れるという館内の映像シアターにて。
葛西氏の軽快な喋りに導かれて萬太郎がスーツ姿で登場。自分は彼の舞台を結構見ているので(一番多いかも?)親近感を覚える。今月の御園座での顔見世公演に出演するのだが、夜の部のみ出演なのでこうして昼間に出られたのだとか。顔つきと同様に飄々とした感じで受け答えしていく。歌舞伎に関する知識の塊といった感じの葛西氏が、あれやこれやとエピソードを引き出してそれに答えていくというスタイルだが、歌舞伎の名跡の元に生まれ、兄弟共に役者になり、女形の兄(梅枝)とスタイルの違う役者として精進していく大変さを、そうとは感じさせずにあっけらかんと答えていくのが印象的。にしても葛西氏が、やれ誰と誰が従弟でとか、何代目がどうしてとか、この演目の役は誰でとか、この役はこういう心情でとか、よくそんなに次々と言葉にして出てくるなァと感心する(プロだから当たり前だが)。自分なんて面と向かっていても「あれ?この人の苗字何だっけか」なんていうことがしょっちゅうなのに…(苦笑)。
客の入りは多くなかったが、信じられないのがこういうトークの最中に隣の人と喋ったりする人が居ること。もちろん葛西氏が話を止めるくらい大きな声なので自分の耳にもはっきり入る。堅苦しい講座ではないし、感想が思わず口に出たり、つい隣の連れに声を掛けてしまうのだろうが、人がしゃべっている時、あるいは金を払って人が話を聞いている時に、自分の声の大きさをコントロール出来ないのだ(困ったことにこれが年寄りとは限らない…)。こういう人が難儀なのは”悪気が無い”こと。始末に負えない。
それはさて置き、こういう内側の話や解説、今月の御園座公演の見どころを詳しく聞いてから歌舞伎見物に出かけたら楽しさ倍増だろう。ということで、ずっと前に購入した自分のチケットを確認してみると、自分が今月御園座で観る予定の公演は萬太郎が出演しない昼の部のチケットだった…。夜も行こうかな。