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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

The Complete In A Silent Way Sessions / Miles Davis

2019年03月12日 | ジャズ

The Complete In A Silent Way Sessions / Miles Davis (2001)

ジャズの歴史の中でもかなり重要な転機と言って間違いない1969年のマイルス(Miles Davis)のアルバム「In A Silent Way」のComplete Sessionsと名付けられたボックス・セット3枚組。このコンプリート・シリーズはいくつも発表されているが、当初からアルバム単位ではない括りを”コンプリート”なんて銘打つものだから「意味不明」だと、特に高名な評論家を含め揶揄されてきた。自分も初めてこのシリーズを購入した時には、その音源の集め方に上手く順応出来ず、水増しというか、逆にオリジナルの凄さを再認識するツールのひとつとしてしか聴けず、それぞれの音を楽しむという所まで到達出来ていなかった。この「The Complete In A Silent Way Sessions」でも過去に発表されていた「Filles De Kilimanjaro」(1968)、「Water Babies」(1976)、「Circle In The Round」(1979)、「Directions」(1981)、といった編集盤に収録されていた楽曲を含み、果たしてこれが「In A Silent Way」のコンプリートと言っていいのかという疑問が常についてまわる。

ではこれが些末な音源かというとさにあらず。当時のマイルスがいわゆる”ジャズ”という括りから逸脱し、ロックやファンクに接近する時代の貴重な標本となっている。正式に発表されなかった、あるいはテオ・マセロ(Teo Macero)によって巧妙に編集された正規テイクのアウトテイクというだけでなく、才能が溢れてあたかもこぼれ出しそうなマイルスと、それに負けじと猛追する、あるいは追い越しそうになっている周囲のミュージシャンの貴重な記録となっている。参加メンバーはデイヴ・ホーランド(Dave Holland, Bass)、トニー・ウイリアムス(Tony Williams, Drums)、ジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette, Drums)、ジョー・チェンバース(Joe Chambers, Drums)、ジョン・マクラフリン(John McLaughlin, Electric Guitar)、チック・コリア(Chick Corea, Electric Piano)、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock, Electiric Piano)、ジョー・ザビヌル(Joe Zawinul, Electric Piano, Organ)という、泣く子も黙る布陣。マイルスが呼んだという事実だけでキャリアに箔が付くので、彼らにとっては最高最大のチャンスでもあったはず。

このあたりからマイルスの電気化が決定的となり、のちの”フュージョン”の流れとなっていくのは周知のとおり。結果論だが、この流れは依然としてアナログ至上主義が残っていたジャズ界を変えた。この辺り、ボブ・ディラン(Bob Dylan)がアコースティックを捨て、エレキ・ギターに持ち替えた為にフォーク原理主義者からバッシングに遭った史実と重なる部分がある。自分はもう昔のようにじっくり検証しながら聴くなんていう忍耐力は持ち合わせていないので、ダラダラと流し聴きするだけなのだが、にしてもどの瞬間を切り取ってもカッコイイ。緊張感に溢れている。実際にマイルスがラッパを吹く時間なんていうのはごく僅か。他はきっと目配せしたり、指示したりという、いわゆる総合プロデューサー的な役割なんだろうけれど、その音数の少なさがまたかっこよかったりする。確信犯的。それぞれが持ち味を披露した後に聴き覚えのあるテーマ(あるいはフレーズ)に戻る時のゾクゾクするようなかっこよさといったら。

オークションにて購入(¥2,031)

  • CD (2004/5/11)
  • Disc : 3
  • Format: CD, Box Set
  • Label : Sony
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スイス @滋賀県彦根市 (※閉店)

2019年03月12日 | 滋賀県

今回の彦根散策のきっかけとなったと言っても過言ではない店「スイス」へ。創業は昭和47年(1972)。彦根市民のソウルフードといっていい店だそうで、ずっと以前からその人気の程は伺っていたのだが、前回彦根訪問時は時間が合わず叶わなかった。念願の訪問。こんなに交通量の多いロードサイドにある店だとは思っていなかった。聞きしに勝る外観(笑)。夏は緑に覆われるんだろうか。開店時間前に店に着いたが、すごい並びかと思いきや車が1台停まっていただけだったので、時間を潰そうと隣のコンビニに寄って戻ると次々と車が駐車場へ。それでも並びはまだ10人程。自分も列に加わる。開店時間になり店内へ。建物の構えの割にこじんまりとしたスペースで、カウンターは5席程、テーブル席が7卓程。もちろんすぐに満席になった。テープで補修してあるがたついた椅子(笑)に座り、メニューを眺める。並んでいる時も何にしようか最後まで迷っていたが、結局定番と思われる「ハンバーグステーキ」と、店名を冠した「特製スイス丼」を注文した。

目の前の調理場の中にはご夫婦と、若い給仕が2人。年季が入った店内は煙で燻されて焦げ茶色に染まっている。こんな狭いスペースで調理しているのかとびっくりするほど。次々と入る注文はやはりハンバーグが多く、大きなボウルに入ったタネを主人がその場で軽く丸めて焼いていく。カウンターに隠れて手元までは見えないのでどこで作っていたのかも分からないオムライスなども次々と魔法のように出来上がっていく。キョロキョロと店内を見回したりしているうちに自分の注文した「スイス丼」も出来上がっていた。

楕円のカレー皿に盛られた「スイス丼」はメニューの説明通り”豚肉と玉ねぎを特製のたれで炒め煮にした肉丼”。よそでは焼肉丼なんて呼ばれることもあるタイプのご飯物だ。味付けはソースとケチャップを混ぜたような感じ。たっぷりの玉ねぎと豚バラ肉の脂で甘さも感じられる。いい意味で想像通り。パクパクとやっていると熱々の鉄板にのった「ハンバーグステーキ」が登場。こちらにはいわゆるソースはかかっておらず、味付けはごくシンプルに塩胡椒といった感じ。本当に軽く丸めただけという感じなので不格好だが、大きめに刻んだ玉ねぎがたっぷり入っていてふわっとした焼きあがり。しっかり肉の旨味が味わえて旨い。添えてあるのはやや強めに焼きあげられた目玉焼きとスライスした玉ねぎ。黄身はちゃんと軟らかいので途中で潰して肉と合わせたり、卓上のウスターソースを少したらしたりして楽しんだ。昭和54年のオイルショックから値段を変えていない(どころか内税なので消費税が上がると実質値下げ)という安さのバイアスもかかるが、この値段でこの味。彦根の若い学生の胃袋を支えてきたという人気に納得。次は最後まで迷っていた「オムライス」「カツサンド」「カツカレー」あたりを食べてみたい。(勘定は¥900)

この後の記事はこちら

 

 


 

 ↓ 彦根城のお堀端に建つ「滋賀大学講堂(旧・彦根高等商業学校講堂)」(大正13年・1924・建造)。この日は試験で門扉が閉じられ、残念ながら近づくことは出来ず。国登録有形文化財。

 

 ↓ 同じく滋賀大学の構内にある「滋賀大学陵水会館」(昭和13年・1938・建造)。裏の路地から撮影。正面から見てみたいなァ。ヴォーリズ建築事務所による建築。こちらも登録有形文化財にも指定されている。

 ↓ 「彦根地方気象台」(昭和7年・1932・建造)を再訪。改修工事で綺麗になった外観。あまりに整い過ぎて古さを感じさせないが、窓や玄関周りに近代建築の雰囲気を感じることが出来る。

 ↓ 中央町の「金亀会館(旧・藩校「稽古館のち弘道館」)」(寛政11年・1799・建造、大正12年移築)。傷みが激しいのかロープが張られて立入禁止となっていた。

 

 


 

喫茶・食事 スイス

滋賀県彦根市中藪町598-2

※令和4年5月を以って閉店されました

 

( 滋賀 しが 彦根 ひこね スイス 喫茶 喫茶店 レストラン 洋食 コーヒー ハンバーグ 定食 ランチ 近代建築 滋賀大学 学生 閉店 廃業 )

コメント (4)
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