いつも読んで参考にさせていただいているブログに残念な知らせが載っていた。名駅在来線1・2番ホームの端にある立ち食いの麺処「かきつばた」が3月27日で閉店すると告知されているのだという。こちら名古屋名物のきしめんを始め、麺類が食べられるホーム上の立ち食い店なのだが、酒とおでんなどのつまみが充実していて、呑みのセットもあるという素敵な店。朝から営業しているのでもちろんそれらも終日注文することが出来る。こういうところで呑むのは(罪悪感と優越感で)平日に限るが(笑)、なかなかそんな機会は多くない。自分はたまにしかJR名古屋駅を利用しないので、休みの日や仕事終わりで機会があれば何度か寄らせてもらっていた。
この日は鶴舞方面に用事があったのだが、全然ついでじゃないのにわざわざJRを利用して鶴舞まで行くことにし、行きがけに「かきつばた」に寄ってみた。ホームに上がって店へ。何でも2番線に電車が止まらなくなって客足が落ちたのも撤退理由のひとつだとか聞くが、確かにこの日も2番線の案内掲示板は全く灯っておらず、自分が居た間も電車は全く入ってこなかった。ホーム上でも一番端で遠いし、酒呑み以外にはここでなきゃという訳でもないので、電車の本数は如実に影響が出るのかもしれない。まだ朝の9時半ということもあって先客は自分を入れて4名。うち2人はもう随分と杯を重ねていらっしゃる。店員のおばちゃんと気安く口をきく所を見ると常連客だろう。惜別に訪れたのだろうか。
もう朝定食(そんなのもあるんです)は終わっていたので、1杯だけとお酒をお願いする。”立ち飲み”とはいえ冷蔵の1升瓶も何銘柄か揃えているという店なのだが、今朝は寒の戻りで寒かったので一番安い燗酒(鬼ころし)をお願いした。つまみに「どて焼」をお願いするも「もう売り切れなの。」とのこと。出来ない酒肴がいくつもあるらしく「出せるのは、これと、これと…」と教えてもらった(日本酒の種類も少なくなっているらしい)。「湯豆腐」をお願いする。このころになると後から後から客が入ってきてほぼ満員に。おばちゃんも「ちょっと待ってねー。」と言いつつ、あれもこれもやって大忙し。それでも丁寧な対応をする方で(人によって違う)、淀みのない所作で次々とこなしていらっしゃった。ガラスコップとプラ桝の「鬼ころし」は燗付け機まかせの熱さ。値段なりの味だが朝一の胃袋には効く(笑)。「湯豆腐」は温めた豆腐に麺類で使うつゆをかけ、上にとろろ昆布がのせてある。しっかりと熱々にしてくれるのが嬉しい。だんだんととろろ昆布がつゆに滲みていき旨い。家でもやろうっと。
この店は何度も利用しているのに、いつも一杯ばかりで麺類を食べたことがないのに気が付いた(笑)。「かけきしめん」をお願いする。駅麺ならではのササっとしたスピードで出てきた「かけきしめん」には蒲鉾、刻みネギ、花鰹がのっている。つゆは濃くも薄くもない中庸な色をしているが出汁感はかなり強く、塩分もビッと効いている。もちろんセントラル・キッチン仕込みだろうが、故・中島らも氏を始め、有名人もこぞって唱えていた”名古屋駅のきしめんが一番旨い”という通説は、こういう味の強さ(分かり易さ)のせいもあるんじゃないか。実際は他に旨いきしめんは沢山あるが、さっと立ち寄って、この名古屋らしいやや過剰な味と香り(しかも水面で追い鰹)の強さを味わうと印象に残りやすいのだろう。もちろんこちらのきしめんも旨かったが。ホームに電車なんて全然入っていないのに客がまたひとり、またひとりとやって来るのはひょっとして皆さん名残惜しさに…。(勘定は¥850)
※平成31年3月27日を以って閉店され、次は別経営の店になるそうです
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名古屋人よりも名古屋の食堂を知るhal9000se(RLR)さんのブログ「Red List Restaurant」
かきつばた (かきつばた1・2番線店)
愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 名古屋駅構内 在来線ホーム1・2番線
( 名古屋 なごや 名駅 めいえき JR名古屋駅 名古屋駅構内 立ち飲み 立飲み 昼飲み 朝飲み きしめん おでん 酒場 駅飲み 閉店 廃業 ジェイアール東海パッセンジャーズ )