Rising Sons featuring Taj Mahal and Ry Cooder / Rising Sons (1992)
若き日のタジ・マハール(Taj Mahal)とライ・クーダー(Ry Cooder)によるバンド、ライジング・サンズ(Rising Sons)の音源をまとめた作品。シングル発表曲を除いて92年までお蔵入りしていたこれらの音源は、92年に3曲(18、19、20)ほどタジによって改めて歌入れされ発売されたもの。録音は1965~66年というから、ビートルズ(The Beatles)を始めとするブリティッシュ・インヴェイジョンの熱気も冷めやらず、まだ世界を席巻していた頃。この頃になるとアメリカでも西海岸のヒッピー文化を象徴するサイケデリックなバンドが台頭し始めるが、それもまだ萌芽期と言える。ライ・クーダーはまだ10代だし、タジだってまだ20歳過ぎた頃。そんな若い2人がこんなマニアックなブルーズ曲を独自の解釈でカヴァーしていたりしているのが凄い。しかも当時まだ珍しい白人黒人の混成バンドだ。ロバート・ジョンソン(Robert Johnson)だって1枚目の「The King Of Delta Blues Singers」こそ発売されていたが、世間に知れ渡るのはストーンズ(The Rolling Stones)等のメジャー・バンドがカヴァーし始めた60年代後半になってからのはずだし。
何でこんなにまとまった音源が、しかも後に彼ら2人が有名になってからも発表されなかったのか分からないが、どの曲の完成度も意外なほど高く、ただのカヴァーのみならずしっかり独自でアレンジも施されていたりしてアイデアたっぷり。時代を反映して、ディラン(Bob Dylan)のカヴァーや、ビートルズのサウンドを彷彿とさせるヴォーカル曲も入っているのが楽しい。自分がライ・クーダーを知るようになるのはストーンズとのコラボ(搾取?・笑)の頃(1969年)のアルバム「Let It Bleed」や、サントラ曲「Memo From Turner」からだが(もちろん後追い)、それらで聴ける印象的なライ・クーダーの端正なスライド・ギターの音色をすでにここで聴くことが出来る。レコード会社の販売方針や、バンドとしての方向性が定まらなかったとか言われているが、骨までしゃぶり尽くすレコード業界において、こんな良質な音源が長いこと放置されていたのは不思議。「Corrina Corrina 」など、後に彼らが単身でカヴァーする曲も含まれているのでアレンジの違いなども興味深い。
中古店にて購入(¥500)
- CD (2008/3/1)
- Disc : 1
- Format: CD, インポート
- Label : Sbme Special Mkts