久しぶりに東海道と中山道を結ぶ脇往還「美濃路」を散策。西枇杷島駅方面から東海道本線と新幹線の線路をくぐる歩行者用の赤煉瓦トンネルを抜けて街道に出た。散策の後、コロナ禍で控えていた銭湯巡りを再開。ずっと前から入ってみたいと思っていた「二川湯(仁川湯)」で湯を浴び、須ヶ口方面へ。
カラッカラの喉で暖簾をくぐったのは須ヶ口駅近くの交差点にある「あつたや」。こちら大正15年(1926)創業で、もうすぐ100年になろうかという歴史ある店なのだそう。戦前に先々代が熱田からこちらに移って来たのだとか。店に入ると夜営業が始まったばかりの時間にも関わらず、もう先客が何組も居てほぼ満席の盛況ぶり。カウンター席も埋まっていたので唯一空いていた入口近くのテーブル席に案内された。湯を浴びてきた身にはやや暖房が効き過ぎで苦手な温度設定。ご夫婦でやっていらっしゃるようで(後から手伝いの女の子も)給仕の女将さんはあっちから呼ばれ、こっちから呼ばれと大忙し。品書きは手書きでA3用紙にコピーされたもの。迷ってしまうくらいびっしりと品が書かれている。何はなくとも「キリンラガービール(大)」をお願いし、酒肴は「串かつ」と「ニタリクジラ」をハーフでお願いした。
冷えたビールを勇んでコップに注ぎ、グイッと…。ウメーッ。銭湯の後のビールの旨いこと旨いこと。付き出しの胡麻和えだけで1本空にしてしまいそう。「串かつ」は味噌でお願いしたけれど、この味噌、先代が熱田から味噌樽ごと持ってきたものだそう。漆黒で濃い味わい。少し苦味も感じられて旨い。「ニタリクジラ」の刺身は初めて食べたかも。生姜醤油でいただく。しっかりとした赤身で、口に入れるととろんと溶ける感じ。旨いなァ。酒「上撰・二合」をぬるめで、そして「土付きれんこん天ぷら」を追加。天ぷらはざるに盛られて出てきたが、分厚いのが6切れも。抹茶塩が添えられている。衣がゴツゴツとした感じで食べ応えも充分。卓上の山椒で山椒塩も作ったりもしていただいた。本当は締めに何かもらおうと思っていたのだが、この天ぷらのヴォリュームでお腹がいっぱいになったのと、ひっきりなしの注文で遅くなりそうだったので勘定してもらって外に出た。もう外は真っ暗。寒い中を歩いて、いい気持ちで駅に向かった。(勘定は¥2,980)
↓ コロナ第8波もやっと下火になり、念願の「二川湯」(建築詳細不明◇)へ。大きな看板も何も無いので暖簾が出ていない時間だと銭湯だとは全然分からない(写真下4、5枚目)。脱衣場は格天井で古い秤が鎮座。ガラス窓のロッカーには鍵が無いので注意。浴場は真ん中に浴槽があるこの地方ではよく見るタイプ。電気風呂などもある。女湯との間の壁に石鹸の受け渡し小窓があるのは初めて見たかも(もちろんどちらからも向こうは見えない)。いい湯加減で素晴らしい銭湯を楽しんだ。(注・現在土日営業のみだそうです<令和5年2月現在>)※令和5年4月末を以って閉店されました。
↓ 久しぶりに美濃路を散策。風情ある建物がいくつも残っていて往時の賑わいを偲ぶことが出来る。これでもこの近辺では平成12年の東海豪雨で浸水した多くの古い建物が取り壊されたのだそう。
↓ 玄関上に透かしの壁が立っている珍しい建物(建築詳細不明)◇。入ってすぐが中庭にでもなっているだろうか。それともこちらは勝手口に当たるのかな。
↓ 休憩所になっている町屋を改造した「一休庵」(建築詳細不明)◇。中にはこの地方の名産品が売られていた。屋根神様が祀ってある。
↓ 以前にも通ったことのあるアーチ型にレンガを積んである「西枇杷島東六軒トンネル」(※正式名称かどうかは不明・建築詳細不明)◇。東海道新幹線と東海道本線をくぐる歩行者専用トンネル。
呑処 喰処 あつたや
愛知県清須市須ケ口2335
( 清須 きよす すかぐち 名鉄須ヶ口駅 熱田屋 居酒屋 串カツ 鯨肉 みのじ 美濃街道 脇街道 わきおうかん )