世界で一番背が高いといわれるクリスマスツリーが、神戸港に立っていた。一本、ポツンと、晒されているかのようだ。
富山の森の中から一本抜かれて、はるばる運ばれてきた、樹齢150年、30メートルを越えるあすなろの木。このイベントが終わったら、この木はどこかに植え替えられると思ってたが、これでこの木の運命は終わりだそうだ。一部は神社の鳥居に使われるそうだけど、命がここで尽きることに変わりない。
私はこの姿を見て、深い悲しみに沈んだ。私たち人間は、自然界のありとあらゆるものを収奪してきた。多くの命を奪いながら種を発展させてきた。
ふとNHKの番組「プロフェッショナル」に取り上げられていた花屋さんの「花は人間のエゴで切り取られたもの」という言葉を思い出した。
この木を森から抜いて来たプラントハンターといわれる人にとってはただの仕事でやったことだろう。この木を守ることなく、抜いていくことを許した人もいる。それ以外にもこの計画を思いついた人もいるだろうし、処分した木を商売に使う人もいるだろう。そもそも林業とはそのようなものだ。多くの人がこの木のプロジェクトに何の疑いも持たずに関わってきた、そして、その人たちをどうこういう資格は私にはない。
私の家は多くの木を使って建てられている。
それにしても、この木の姿、人間というのがどれほど罪深い存在であるのか、そのことをつくづく思い知らされる。私にはこの木は人間の罪深さのシンボルに見えてしまう。
あまりにも