こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

イマドキの物知りには経験が必要

2017年12月13日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

これまで、病理診断の仕事をしていて、分からないことがあって何か調べる必要がある場合に頼るのは自分の経験と医学書だったけれど、今ではそれにネットが加わった。

疾患そのものはよく知られているけれども、頻度がそれほど高くなくて経験数の少ない疾患に遭遇した時に、"たしか、こんな所見でよかったんじゃないかな?”なんて不安になることがある。あやふやな記憶だけで診断は進められないから、所見は何かで確認しなくてはいけない。頼るのは医学書であったり、その分野の専門家だった。医学書の場合、その分野の本が手元にあればいいけれど、なかったらどうしようもない。図書館に行ったりして色々探す。それに、その分野の本が見つかったとしても、調べたいことが書かれているとは限らない。

医学書でだめなら、その分野のエキスパートに相談するということになるのだけど、いつもそんな人が近くにいるわけでもないし、たとえいたとしても、いつも相談に乗ってくれるほど暇なわけがない。

ということで、ネットの登場となる。ネットの中の知識はそんじょそこらの物知りどころの量ではない。圧倒的な量の情報を提供してくれる。ネットさえあれば、クイズ王になんて誰でも勝てる。こうなると、ただの物知りではこの世界渡っていけない。豊富な知識に経験を積んだ人が求められる時代がやってきたように感じる。今時の物知りはこれまで以上に知識が必要とされるようになる。

ところで、グーグルが「医療・健康」の検索結果を変更したそうで、インチキ記事を載せるサイトの一掃が期待されるとのこと。良いことだ。医学関係の情報は日進月歩、専門領域であってもついていくのは大変だ。医者だって、キーワードが合致してしまって惑わされることが起こらないとは限りない。一般の人もいくらでも知識を仕入れることはできる。医者もただ単に知識が多ければ良いというわけではなく、ネット情報を利用し、それに振り回されることのない経験が大事になってきた。

どんな医者が良い医者か

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