岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

旭川の渓谷地域を北上しました。岡山市の災害を考えながら。

2018-07-27 11:07:14 | 2018年7月西日本豪雨災害

前回で、牧山駅(地図中央)の牧山駅まで自転車で入りました。

この地区は、古来、洪水や増水に見舞われることが多く、減災対策はすでに人々の生活の中に活かされていると思いました。

ここでは、水位が10mに上がることを想定しています。

JR津山線が壊れることも車道が壊れることも折り込み済みです。

そのことに比べて、下流の岡山市中心部に住む人々の無関心さ、知識のなさには、目を覆うばかりです(私もその一人です)

衛星写真にあるように、旭川は曲がりくねって峡谷を流れていきます。

ボトルネックになる地域ですから、水は川の至る所から氾濫します。

たやすく浸水する土地はほぼ決まっています。

そのような土地に住むことは、生命にかかわります。

洪水は津波と同じで一定の高さがあれば防げます。

一方、土砂崩れは山際に発生します。

この二つのリスクから身を守り生活を維持する。

渓谷の住民は命を引き換えに学んできたことでしょう。

↓潜水橋※も壊れていません。豪雨後も健在です。※増水時に水中に没し破壊されることを防ぐ橋

水位塔は対岸からも確認できます。住民は危機を知ることができます。

また、この水位塔の数値はネットで見ることができます。

私は豪雨の夜、ここの水位を見ながら、どきどきして夜を過ごしました。

水位10mに達した時には、背筋が寒くなりました。

誰かさんが宴会を開いていた次の夜です。

さらに北上します。道路が壊れています。流れがカーブする地点です。

この路肩を激流がえぐっていきました。

↓前方に牧山クラインガルテンが見えてきました。左の建物が集会所です。

この建物が立っている地面は、水面から5m程度と思われます。

もちろん、浸水します。

道路の山側も崩れています。これは大変です。

川がカーブする地点に来ました。右側の茶色くなったところが水をかぶった竹林です。

左側の道路が低いことが分かります。当然氾濫します。

ではどのように土地利用をしているか。

人は住めません。

平らな土地だけれど、危険な箇所です。

何でしょう。

 

実は、牧山クラインガルデンといって、農園と作業小屋です。人は居住しません。

浸水が起きる場所を農園として利用しているのです。

ならば水没しても被害は限定的であり人命には影響ないはず。

ラウンドスケープとしてはなかなかのものです。

では、この地区の住民はどこに住居を構えているのでしょうか。

そして学校はどこか。

高台にありました。

裏山が気になりますが十分安全だと思います。

学校の下には溜池があります。相当の水がこの池に流れ込んだ様子があります。

オーバーフローしたかもしれません。でも大丈夫。

池の下には住居はありません。先程の農園があるだけです。

学校から見下ろします。住居が見えますが、水面からの高さは10mを確保しています。

水の流れは、ます下流にあたる奥の山際から浸水していくと思われます。最後まで水が来ない場所に住居は建てられています。

農地であったり草地です。要は遊水地です。

さらに北上します。

↓道路沿いに石垣が続きます。

住居の跡だと思われます。浸水地域です。

一時期、家を建てたのでしょうが、自然はその存在を許してくれなかったのかもしれません。

通行止めになりました。

この先、もっとひどい状態なのでしょうが、引き返さざるをえません。

帰り路。

先ほどの集会所です。ずいぶん低地だとわかります。

軒下まで水没しています。それでも事務所は開いています。

浸水することが想定されていました。

↓このカーブは、なんども水流に挑まれ、傷ついてしまった戦士のようです。

孤塁を守り切りました。

線路復旧工事です。

もうすぐ、開通できそうだという感触でしたが、どうでしょう。※8月上旬に開通予定だそうです。

線路の上をトラックが走っています。

ゴトゴト音がしました。列車は走っているはずがないと見ると、

トラックです。

もちろん車輪付きでしょうね。

初めて見ました。

渓谷の出口まで戻ってきました。

山陽道(高速)が見えます。

やはり、高架は有効です。新幹線も同様です。

岡山の街を潤す水は、ここから取り入れられます。

本当に大切な場所です。

私たちの命を支えるために先人たちが残してくれた大切な遺産です。

遡れば400年以上前、岡山の城下を造るときに、この取入れ口はできていたはずです。

私たちの周りには、西川用水、観音寺用水、座主用水があります。

すべて、この旭川から取り入れた水です。

↓片側通行です。

かろうじて、岡山市中心部の水害が守られました。

今後さらに、自然は猛威を振るってくるはずです。

今までの対応では街が守り切れないことも確かです。

いま人々は、旭川や笹が瀬川、足守川が氾濫することを現実のものとしてとらえ始めています。

すでに、ハザードマップで想定されていることです。

これだけの被害に見舞われて、やっと目が覚めたのです。

 

渓谷の人々の知恵を学ぼうではありませんか。

 

「備えよ常に」というボーイスカウトの標語があります。

少年時代に繰り返し学んだこの言葉は、戦陣ではなく、街中で使われるべき言葉です。

 

岡山市内から牧山駅間はこちらに書いています。

 

この日の走行距離は36km。

私は60kmが限界です。まだ余裕があります。


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