重い映画だった。
103歳の女性へのインタビュー。
ナチスの宣伝大臣ゲッベルズの秘書だったブルンヒルデ・ポムゼル。
生涯初めてのインタビューだという。
映像は高精度カメラで全編モノクロ。
当時の記録映像が挿入される。
年齢にしては驚くほど記憶力がいい。
どこまで本当のことかわからない。
ゲッベルズは、敗戦直前に自裁している。
すでに闇に葬られて世紀をまたいだ。
彼女がゲッベルスの秘書を務めたのは3年間に及ぶ。
彼が家族を道ずれにして自殺したとの報も身近で聞いた。
しかし、彼女がどのような業務をしたのか、語らない。
ホロコーストに関しては、何も知らないという。
私に罪があるというなら、ドイツ人全員がある。
ナチスに抵抗することなどできなかった。
殺される。
という。
これは日本の戦時中ではないかと思うほど似ている。
彼女は、ドイツの教育(ナチスではない)は、従順を求め暴力的でもあったという。
一言でいえば、全体主義国家であり、その国民である。
全体主義国家では国民の自由な意思は否定されるべきことだった。
この映画を観て、今の日本の政治状況が本当に心配になった。
映画の製作者は、70年前の暴力の嵐を、もう一度思い出せと言っている。
制作は、オーストリアとなっている。
EUは、国境も低くなり人も資本も行きかうように思われる。
このような、「まことに地味で労苦を伴う映画」を創ろうとする人々に敬意を表します。
ありがとうございました。