岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

【講義】雨宮健教授の語りを聴く。

2004-12-15 11:06:08 | 世界のなかま
14日、なかなか会えない人が京都に来ている。
「古典期アテネの経済思想」を聴いた。
計量経済学の大先生だが、テーマが、とっつき
やすそうなので、なじみの街並みを出町柳から
歩いて聴きにいった。イチョウの葉が黄葉して
きれいだ。うん、まだ葉っぱが付いてる。
12月中だよね。うっそー!

「古典期アテネの経済思想」なんて講義をする
先生は並の人ではなかった。

言葉に端々に含蓄がある。
エーゲ文明といってもピンとくる人は、学生の
街、京都でもそういないと思われたか、ゲルマン
民族の発祥から、紀元前1600年前のミノア
文明、同1200年前のミケーネ文明、暗黒時代、
アテネ、スパルタまできっちり、冗談も交えて
話していただいた。

さて、専門の経済の話になったら、今度はこちらの
反応が悪い。
発達・未開論争、形式主義、実質主義論争の経緯を
聴いて、5,4世紀(もちろんBC)のアテネ経済
の資料説明。しかし資料があるんだ。誰が何を
話していたかという。個人名までしっかりわかる。
日本じゃ、個人名どころが、どこに国みたいな
ものがあったかもわからない頃の話。
歴史家のクセノフォンが『オイコノミコス』(家計)で
書いたことが、エコノミーの語源ということだsouda。

記憶に残ったのは、当時の経済には、人生的価値が
あったとのこと。現代では経済活動をすること自体は、
善悪とは関係ないことになっているが、当時は善悪と
直結していた。例えとして、ビルゲイツのような
金儲けの仕方は悪となるそうだ。
現代の経済学は狭義の経済学で、アテネの経済思想は
広義のそれということになるらしい。

それから、当時の政治家もよく判断ミスをしていた
そうだ。勝てる戦いを幾度も失っている。演説のうまい
政治家によくだまされたということには、日米の今の
状況を憂いておられるのだろう。
言外の意をさとらなくてはならない。
ご存知のように、雨宮さんはスタンフォード大の教授。

先生の授業の特徴でこれから、プラトンと
アリストテレスの倫理思想に入られるところで
時間切れとなった。(ご本人がこれからが佳境です、
といって終った講義は初めてだ)
あとは自分で学ばれよ、ということである。

1分たりとて時間外がないのが、新鮮だった。


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