今日は米国大統領という存在の言動の一つ一つの重みをあらためて痛感した。オバマ大統領のここぞの演説力、そしてふるまいの素晴らしさについても。
スピーチライターも優秀なのだろうが、やはり本人の演説力が秀でている。正式な演説という形を取らず、また、あまり演出を過剰にしないという配慮か、プロンプターなしの紙の原稿に基づいての演説だったが、視線はほとんど紙に落とさずに(というか時折紙に落としつつも、印象としてはずっと顔をあげている感じを与えているのがうまい!)、一言一言の言葉は練られて、語り口の速度にせよ、情感と理性のバランスにせよ素晴らしい。何より、やはりあの声がよい。
演説同様、被爆者との対面も周到に準備されていたのではあろうと思う。しかし坪井さんや森さんが何をどのような表情で語るか、言葉を詰まらせるかまでの予想はつかぬ。坪井さんのノーベル賞発言に笑顔で応じ、森さんの肩を抱き寄せる、大統領の言動一つ一つが、日本という国の中にわずかに残っていたわだかまりの大部分を溶かして、真の和解を実現するとともに、日米の友情を深化させた。
オバマ大統領という政治家は、きっと国内の議会対策など眼中にない人に違いない。
現職大統領としてよりも、彼が掲げた遠大な、しかし、人類にとってこの上なく重要な課題の解決に向けて、元大統領としてその人生を賭けて取組んでくれるのではないか、そんな、青い期待が膨らんだ今宵であった。
久しぶりに痺れました。