岩波ブックレット 560円+税 2010年
70p程度のブックレットです。
量的に読みやすく、数時間で読めると思います。
そして、内容は濃いですね。
著者の大沢真理さんは、このブックレットのメッセージとして
「生活が保障され参加の機会が確保されて、誰もがその人らしく生きられる社会。
そういう『包摂する』社会が経済的にも強い」を上げておられる。
強調されるのは、ジェンダーである。
女性蔑視が日本経済を弱体化させているという主張である。
この主張は、大沢さんだけのものではない。
OECDのグリア事務総長からも以下の提案がある。
「日本の25~54歳に女性の就業率は65%と、OECD諸国の中で低く、しかも1994年からはほとんど上昇していない。
さらに問題なのは、女性の学歴が比較的高いにもかかわらず、高学歴女性の就業率がさほど高くないことである。
働いているとしてもパートタイムにすぎない場合が多く、日本は女性人口の才能が活用しきれていない。
立ち向かうべきは、就業しようという女性の意欲を損なうような以下の要素だという。
1. 親たちが家庭責任と雇用を両立することが難しいというワークバランスの問題
2. 非正規労働者の割合が増え、その3分の2は女性であって、雇用があまり魅力的でない
3. 業績ではなく年功と勤続で賃金が決まり、ジェンダー賃金格差が大きい
4. 税制と社会保障制度の中に、共稼ぎを阻害する側面がある」 P.6
小冊子にもかかわらず、ジェンダー、貧困、さまざまな格差、「旧政権が行ったこと、行わなかったこと」など
多面的に書かれている。
私も随分と勉強になりました。
学習会などを開く際などには、このブックレットの利用もあるな、と思いました。
価格といい分量といい、取り組みやすい。
それでいて、資料に裏付けられた内容には新たな発見が多いのではないでしょうか。
この先生の書いたものは難しかった記憶がありますがブックレットは平明なようですね。
私自身も
妻が市役所を7年勤めたところで
私の転勤で彼女が退職を余儀なくされたことが
彼女自身のそして私の人生の最大の禍根と思っているだけに
この問題はずしりきます。
ジェンダーとはいうが
本質は社会の根本の問題で
これほど叫ばれてはいるのに
なぜ解決の糸口が無いのか
環境問題や
国際社会における日本の役割
とならび
最大の克服課題といえますね。
男性と女性の賃金格差と同程度ですね。
介護は女性の仕事というジェンダーバイヤスが
かかっていますね。
配偶者がキャリアアップを諦めざるをえなかったという経験を持つ男性は多いでしょう。
それが今も痛みを伴って思い出される男性も
また多いと思います。
私自身もそうです。
男性稼ぎ主時代の禍根は、社会を変えることでしか償えないのでしょうね