このような番組を観るのはとても苦手です。
なんとか観ました。
制作ディレクターの女性(以下、彼女)は、はるばるフランスから韓国済州島にやってきます。
未婚母子施設を取材するためです。
もう一つの目的は、彼女自身の母親に会うことです。
彼女の母親は未婚で出産し、育てることができず国際養子としてフランスの里親へと手放します。
彼女は大事に育てられ映像作家になったのですが、どうしても生みの母に会いたくなり取材を始めました。
韓国は日本と同等もしくはそれ以上、女性に対して厳しい国です。
儒教的な道徳観が強いのでしょう。
両親は絶対的な存在です。
恥の文化です。
未婚の女性が妊娠することは認められません。
経済的に独立していない若い女性が妊娠した場合、養子に出すことにならざるを得ません。
また、つい最近まで中絶は禁止されていました。
彼女は、母を見つけることができましたが会うことはできませんでした。
現在の夫に養子に出した子がいることを話していないという理由です。
今から話してもいいのではないかと思うのですが、それはできない相談なのです。
彼女は、自らが生まれ住んでいただろう「未婚母子施設」を訪問し取材します。
若い母親が出産し、子を愛しながら離別していく現場です。
カメラは別れのシーンを撮影していきます。
つらい別れの後に愛する子がいない部屋に戻る若い女性。
泣き伏してしまいます。
撮影中のビデオカメラをそのまま床に置いて女性を抱きしめます。
床に横置されたカメラは二人の姿を捕えています。
彼女は、母には会えなかったけれど、彼女を手放した母親の気持ちを知ることができたのです。
ドキュランドへようこそ 「私を忘れないで~韓国・未婚母子施設の現場から~」
BS世界のドキュメンタリー
制作したディレクターは、生まれて間もなく国際養子に出され、生みの親を知らずにフランスで育った。彼女は、母親がどんな気持ちで自分を手放したのかを知りたいと、自分が生まれた韓国・済州島の未婚母子支援施設を訪ねる。そこで出会ったのは、社会の偏見の中、自分で子どもを育てるのか、養子に出すのか決断を迫られ、苦悩する未婚の母たちだった。原題:FORGET ME NOT(デンマーク/韓国 2019年)#SDGs
2022年2月4日放、
2019年 デンマーク/韓国 Final Cut for Real/Minch & Films制作