県展を拝見するのは初めてです。
友人が工芸部門で県展賞を受賞されたとのことで出かけました。
友人の作品を語ることは私には無理です。
そこで同時に開催されていた写真部門について考えたことを書いてみます。
圧倒的な点数です。
工芸部門に比べて桁違いです。
それは写真撮影の愛好者が桁違いに多いということになります。
もちろん、県展に展示される方々ですから上級者といっていいでしょう。
そんな上級者の人の周りには、無数と言っていいほどのカメラ撮影者がいるはずです。
その撮影者の増加に大きな役割を果たしているがデジタル化でしょう。
スマホ、コンデジ、一眼レフと、複数のカメラが手元にあるのが普通になりました。
ランニングコストもめっぽう安くなりました。
ほぼ無限にシャッターを押すことができます。
練習という意味では、これほどの環境が手に入ったのは史上初めてです。
練習量の多さは、ダイレクトに技量向上につながります。
またカメラの機能性も飛躍的にレベルアップしています。
シャッター速度や感度はフイルム時代に不可能だったことが可能になりました。
暗部の撮影、超高速撮影、ミクロ撮影が熟練の技能なしでできます。
手振れ機能や自動焦点機能は、超望遠レンズの使用を手軽にしました。
財布の中身の問題になりました。
展示会場には、カメラ機能の向上によって可能になった写真も多くみられました。
さらに色彩も鮮やかになっています。
そして精緻です。
自由な時間の増加したシニア層が写真撮影に多くの時間を費やしていることは撮影スポットに行けばよくわかります。
美術の中で、写真が占めるウエイトがさらに大きくなっていくことは間違いないでしょう。
このような背景の中で、「私だけの写真」を撮影することはなかなか難しいと思いました。
どうしても、他の映像に影響されます。
写真に込められるだろう素材はすでにテレビをはじめ映像作品のなかにあるからです。
どうしても見たことのある写真になってしまいます。
ここで目指すことは大きく二つあると思います。
一つ目は、プロ写真家のような写真を目指すということです。
これはアマチュア写真家にとっては撮影目的になりうると思います。
こんな写真を撮りたいなと写真家の写真集をめくった人は多いと思います。
憧れの写真を撮影すること。
立派な目的です。
二つ目は、自分だけが持つオリジナリティを目指すことです。
これはとても困難なことです。
国内にいるだろう数百万人から数千万人の撮影者の中のごく少数の人しか試みていないだろう写真撮影です。
無謀な試みかもしれません。
現代のドン・キホーテかもしれません。
県展では、一つ目のレベルの人は間違いなくいます。
しかし、二つ目の写真を志し成功している人がいるのでしょうか。
私にはわかりませんでした。
それは見果てぬ夢かもしれませんね。
しかし、そんな写真を見てみたいと思いました。
そうそう三つ目の写真撮影目的がありました。
メモ帖にすることです。
記憶を画像として保存していく。
資料として価値あるものにすることです。
私は、このことが撮影の動機になると思っています。
それにしても、写真時代ですね。
圧倒されました。